【睡眠のヒミツ】前編:あの話も勘違い?実は知らない眠りの世界。
編集スタッフ 齋藤
最近ぐっすり眠れたのは、いつですか?
かれこれ数十年生きてきましたが、いまだかつて眠らなかった日が何日あったでしょうか。それほど睡眠は、わたしたちが暮らしていく上で大切で欠かせないもの。
でもよく考えてみると「眠り」についてどれくらい知っていますか。「いい眠り」というけれど、そもそもそれってどういう状態?睡眠時間は本当に足りているの?
考えれば考えるほど、実はあまり知らないということに気づいてしまったのです。
そこで眠りについてお伝えする特集を、全2話でお届けします。
話をお伺いしたのは、睡眠改善インストラクターの鍛治恵(かじめぐみ)さん。
第1話では、眠りに関する勘違いや「いい眠り」とは何かなど、素朴な疑問を聞いてみました。
この噂は本当ですか?
美肌のためには、22時から夜中2時は寝た方が良い
鍛治さん:
「これは違うんです。
一晩の睡眠はレム睡眠とノンレム睡眠という2つの異なる眠りで構成されています。ノンレム睡眠・レム睡眠の順番で1セットになっていて、一晩で4〜5回繰り返されて朝になるんです。そしてノンレム睡眠には深さに1〜4までの段階があり、寝ついてから朝目が覚めるまでに段階的に深い眠りから浅い眠りへと変化していきます。
肌の修復や脂肪を分解するなどの働きをもつ成長ホルモンは、眠りに就いて最初の深いノンレム睡眠段階になった時にまとまって分泌されます。
つまり何時に寝たかは関係がありません。なのでちょっと就寝時間がずれてしまった時も、心配しなくて大丈夫ですよ」
この噂は本当ですか?
標準的な睡眠時間は7〜8時間くらい
鍛治さん:
「睡眠時間がどれだけ必要かは人それぞれ。性別や年齢でも異なります。そのため自分に合った睡眠時間を探すことが大切です。
7〜8時間くらい眠る人の方が寿命が長いという説もありますが、睡眠時間と寿命に因果関係があるというよりも、これくらい寝るのが適切な人が多いからかなと思いますね。
なのでこれも7〜8時間眠れていないからといって不安にならなくても良いんです」
そもそも「いい眠り」ってなんですか?
平均すれば7時間しっかり睡眠をとっているから安心。早い時間に寝ているから美容も健康も大丈夫。そう思っていましたが、鍛治さんのお話を聞いていてどうやらそうではないらしいということがわかってきました。
ではそもそも「いい眠り」とは、一体どういう状態のことなのでしょうか。
鍛治さん:
「眠りにとって大切なのは『量(睡眠時間)・質・リズム』の3つの要素があることだと思います。
1日の間に『良い目覚め・日中眠気がなく活動的・適切な時間に眠気が起きる・寝つきが良い・熟睡』のサイクルがあるのが理想です。
例えば寝不足だと休日に寝溜めをしてどうにかしようとしがちですが、これではリズムを崩してしまう。また量は得られても質が良いとは言えません。
実はこのリズムを整えるためには、朝起きる時から日中どう過ごすかまでが関係しています」
「いい眠り」ができるかは、朝の目覚めにかかっている。
鍛治さん:
「眠りは朝の時点からスタートしているんです。
『朝起きて、夜眠る』という繰り返しは、体内時計というものが生み出す生体リズムの働きによります。
生体リズムの周期は一年や一ヶ月、一日など様々ですが、体温やホルモン分泌、そして睡眠のリズムは、一日より少し長い周期を持っています。だから後ろにズレやすく、夜更かしってラクにできるんです。
それを体は朝、光を取り入れることで毎日24時間にリセットしています。だからこそ朝起きる時間を一定にしてリズムを整えることが大切。そこから16時間程度で眠たくなるんです」
食欲と同じで、睡眠欲もある。
鍛治さん:
「そしていかに日中を活動的に過ごしたかによって、眠りの質が変わってきます。
睡眠欲求というものがあり、これは食欲に近いでしょう。お腹をしっかり空かせると食事がおいしいように、昼間しっかり活動して睡眠欲求を高めておくことも大切だと思います。
例えば夕方うたた寝をしてしまった場合、夜に眠れなくなってしまいませんか。変な時間におやつを食べて、夕飯の時に食欲がなくなってしまうのと一緒です」
一日のはじまりに、眠りははじまっている。
つい夜中になってから「眠れない!どうしよう」なんてジタバタしていましたが、「いい眠り」のためには朝の目覚めの時点からの活動が大切なことがわかりました。
そして何よりも、時間も含め自分にフィットする睡眠がどんなものなのか把握することが大事なようです。
さてつづく第2話では、眠りに関する相談会を行いました。「眠りが浅い」「授乳中だから寝不足」など、スタッフの悩みに鍛治さんがアドバイス。
誰もが一度は経験したことがあるかもしれない「眠り」に関する悩みたち。果たしてどうしたら解決できるのでしょうか。次回をぜひお楽しみに。
(つづく)
【写真】岩田貴樹
もくじ
鍛治 恵
1989年、ロフテー株式会社に入社。快眠スタジオに配属後、睡眠文化の調査研究業務に従事。睡眠文化研究所の設立にともない研究所に異動。2009年ロフテー株式会社を退社し、フリーで睡眠文化研究を企画する。2010年よりNPO睡眠文化研究会 事務局担当。著書「ぐっすり。」(新潮社)などがある。
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