【35歳の仕事論】第2話:「会社の中でやりたいことを叶えるってどうするの? 」(BEAMS鈴木修司さん×編集マネージャー津田)

ライター 小野民

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「あの人」の仕事が、生き生きと輝いて見えるのは、どうしてなんだろう。かつて自分と同じ歳だった頃、「あの人」は何を考え、どんなふうに働いていたんだろう。

転職のラストチャンスなんて言葉もささやかれる、35歳という節目。その年齢を目前にしたスタッフ津田が、人生の先輩に会いに行くシリーズ「35歳の仕事論」をお届けしています。

2話目では、異動や昇進など会社員ならではの経験を活かすための心構えや、組織のなかで自分の夢ややりたいことを叶える方法を、BEAMSの鈴木修司さんにうかがっていきます。

 

バイヤーになりたい。そのためには全速力で先輩を抜かなければ…

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津田: 入社後しばらくは販売員を経験されて、初めて自分から環境を変えようと動いたのはいつ頃ですか?

鈴木さん: 入社後5年ほど経った、27歳くらいですね。BEAMS MODERN LIVINGへ、異動の社内公募に応募しました。

津田: 実際に新しい仕事を始められて、お仕事内容はいかがでしたか?

鈴木さん: それまでとはがらりと変わりました。いち販売員と、ブランドの内側の人として働くのとでは、情報量が全然違いました。

軽い気持ちで応募したけれど、飛び込んだからには、きちんとやりたい。本をたくさん読み、日本各地へ行き、とにかく勉強しましたね。

内勤になるといろいろな責任とプレッシャーがあって、どんどん知識や情報をアップデートしていかなくちゃいけない状況でした。純粋に「好き」だった家具や工芸について、お客さんにちゃんと「伝える」ことができないといけませんでしたから。

プライベートも含め、東京中の家具屋、民芸品や雑貨屋もめちゃくちゃ回りました。あとは、もやい工藝の久野恵一さんと、休みごとに日本中を旅していました。

子供が生まれた頃もそんな調子で、奥さんには「今だから言うけど、ありえないよ」ってよく言われています(笑)。

津田: でも、当時は何も言われなかったんですね。

鈴木さん: 言われなかったんです。必死な姿を見て、なにも言えなかったんじゃないですかね。ありがたい話です。

異動したときは、BEAMS MODERN LIVING立ち上げ当初から関わっている人ばかりのなかに、僕は途中から入った新参者。たくさんいる先輩スタッフを、全部抜いてやるんだって気持ちでいましたから。

それくらいしなきゃ、バイヤーにはなれないだろうって。本当に必死でした。

 

誰よりも努力したから言えた、自分の夢

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鈴木さん: その間、MODERN LINVINGのほかにも3つくらいのブランドの担当になって、マーチャンダイザー(以下、MD)という、商品企画や販売計画、予算管理などを、トータルで管理する仕事をかけもちするまでになりました。

その後、35歳の頃にfennica*というレーベルに異動しました。

*fennicaは、 “デザインとクラフトの橋渡し” をテーマに、日本を中心とした伝統的な手仕事と、主に北欧などから集められた新旧デザインを融合するスタイルを提案するレーベル。 

津田: fennicaへ移るときにも、公募というか、自分から手を挙げたんですか?

鈴木さん: さまざまな業務を兼任していたので、fennicaのMD専任として働いてみたい気持ちは周囲に伝えていました。自分は誰よりも努力してきたと思えたから、はっきりと希望を言えたのかもしれません。

 

遠回りでも、バイヤーへの道はつながっているはず

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津田: バイヤーになりたいという夢を持ちながら、実際にはMDの仕事をやっていた。そのギャップはどのように感じていましたか?

鈴木さん: バイヤーになることが難しいのなら、それ以外をまずは勉強しようと思って、けっこう前向きでしたよ。

どういう状況でも、自分に都合よく考えちゃうんです。やりたいことやゴールに、いずれ繋がるだろう、と。

だから、バイヤー以外の分野で、だいぶいろいろなチャレンジをしました。

その後、37、8歳でB:MING LIFE STOREというBEAMSの新業態へ、雑貨全般のバイイングの担当として移ることができました。その頃には、バイヤー以外の業務はなんでもできるようになっていたし、満を持してバイヤーに名乗りをあげることができたんです。

B:MING LIFE STOREは、洋服だけじゃなくて、ライフスタイルに関わるものを幅広くやってこうというお店です。雑貨や家具を扱える人間は、BEAMSには意外と少ないんですよ。

津田: 会社員にとっての異動って、すべてが本人の希望通りとはいかないものですが、鈴木さんはチャンスと捉えていたと。MDとして実績を出したあと、本当にやりたいバイヤーの仕事につなげていこう、という姿勢がおもしろいです。

鈴木さん: 上司やまわりの人たちには、「チャンスがあればください」と、どんどん言っていました。そうやって言い始めたのは、35歳くらいのときでしたね。

あと実績を出すという面では、社外の人やお客様に、ダイレクトに伝わるような企画や仕事を常に意識してました。外へのアプローチが、僕らしい仕事を生んでいった要因かもしれません。

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第3話では、会社の枠をはみ出した!?鈴木さん独自の動きで生み出した仕事についてうかがいます。

(つづく)

【写真】鈴木静華

 


もくじ

 

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鈴木修司(すずき しゅうじ)

1976年、三重県松阪市生まれ。1998年「BEAMS」に入社。メンズ重衣料からメンズカジュアルを担当後、fennicaの前身であるBEAMS MODERN LIVINGの店舗スタッフに。その後fennica、B:MING LIFE STOREのMDを経て、昨年新たにオープンしたBEAMS JAPANに立ち上げから関わる。2005年、民藝の名店「もやい工藝」のオーナーである久野恵一氏との出会いにより、より深く濃く日本の伝統的な手仕事に傾倒し、民藝品をはじめとして生活雑貨の目利きとして活躍している。

 

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ライター 小野民(おの たみ)

編集者、ライター。大学卒業後、出版社にて農山村を行脚する営業ののち、編集業務に携わる。2012年よりフリーランスになり、主に離島・地方・食・農業などの分野で、雑誌や書籍の編集・執筆を行う。現在、夫、子、猫3匹と山梨県在住。


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