【子どもと楽しむ木育の世界】第2話:身近なものがおもちゃになる? いつもの公園で木育をしてみよう
ライター 大野麻里
木に触れることで、子どもの心をのばす「木育」について考える特集を、全3話でお届けしています。
前回は、東京おもちゃ美術館の副館長・石井今日子さんに、幼少期に木に触れることの大切さと、木育が子どもの成長に与える影響についてお話を伺いました。
第2話は、引き続き石井さんにアドバイザーになっていただき、身近な公園で、親子で実践できる木育をご紹介します。
「遊具のない公園で、子どもと何をして遊べばいいの……?」
いままでそんな風に思って、ベンチに座って見守っているだけだったお父さんやお母さんも、遊び方のヒントが見つかるかもしれません。
身近なアイテムで楽しむ「森の空中散歩」
▲鏡で太陽の光を直視しないよう、気をつけて遊びましょう
手軽に手に入るグッズを使って、木育を楽しむのもおすすめです。
石井さんが教えてくださったのは、鏡を使った「空中散歩」。
目の下に鏡を当てて(地面と並行になるように)公園の木々のなかに立つと、鏡の中に周囲の緑が写り込んで360度森に囲まれているような錯覚に。
実際に試してみると、子どもはちょっとおっかなびっくり。ドキドキした顔をしながら鏡をのぞくと、いつもの公園が違う景色に見えたようで興奮した様子でした。
鏡と同様、虫めがねも、ひとつあるだけで楽しみが倍増するアイテム。
木の肌や葉っぱをのぞいてみたり、地面を歩く虫を観察してみると、すべてが大きく見えてまるで虫の世界に入り込んだよう。子どもの好奇心をくすぐります。
お気に入りの木を見つけてみる
木がたくさんある公園に行くことはあっても、実際に木に触ってみたり抱きついてみたりしたことは案外ないという人も多いのでは?
夏の暑い日、親子で木の肌に頬をつけてみると、「ひんやりして冷たいね!」と発見がありました。
「耳を当てたら何か音が聞こえるかな?」「この木はスベスベしているけど、こっちの木はザラザラしてるね」
そんな風に子どもを誘導してあげれば、一つひとつの木が、個性を持っていることを知るきっかけにも。
石井さん曰く、「これが何の木かという知識は、あとで知れば大丈夫」とのこと。教えようとするのではなく、まずは直接木に触れてみて、子どもが何を面白いと思うかを見守ってあげるのがポイントです。
もうひとつ、石井さんのおすすめは、家族それぞれお気に入りの木を探してみること。
「一番抱き心地のいい木」を見つけて、公園を訪れるたびにそれらの木を観察してみると、新たな気づきも生まれます。
同じ1本の木でも、季節によってその姿はさまざま。春には新しい芽をつけて、夏には枝いっぱいに緑が広がり、秋には葉が色づいて、冬には枯れて落ちて……。
子どもが「あれはパパの木」「これは○○ちゃんの木」と覚えることで、ひとつの木を観察しやすくなるメリットも。子どもと季節の移り変わりを感じる、コミュニケーションツールにもなります。
葉っぱや木の実を集めて持ち帰る
落ちた葉っぱや木の実を拾うことは、子どもにとっては宝探し!
自分で絵や文字を書ける年齢の子なら、集めた宝物を自宅に持ち帰って、親子で工作してみるのも楽しみが広がります。以下のアイデアを参考にしてみてください。
・葉っぱのこすり出し:
葉っぱの上にトレーシングペーパー(薄い紙ならば、書道の半紙などでも)をのせて、動かないよう押さえながら色鉛筆やクレヨンでこすると、葉脈が浮き上がります。
・葉っぱのスタンプ:
全体にスタンプのインクを付けて紙にペタペタ押して。いろんな色で試すと楽しい。
・葉っぱのお手紙:
大きな葉っぱを見つけたら、直接油性ペンでお手紙を書いてみる。
採取した葉っぱは、新聞紙に挟んでから、電話帳のような厚い本で1週間ぐらい押しておくと、しんなりした「押し葉」になり、作業がしやすくなります。
特別な場所じゃなくていい。自宅でもできる木育アイデア
日ごろ、自宅でもできる木育もちょっとだけご紹介しましょう。
お皿やスプーンなど、自宅で使う生活用品を木のものに変えてみるのも木育です。
たとえばおやつにプリンを食べるとき、木のスプーンとステンレスのスプーンで食べ比べをしてみます。すると、唇に当たったときのステンレスのひやっとする感じや、木の温かみのある感じが体験できます。
「どちらが好きかな?」そう話しながら体験することが、すべての気づきにつながります。
また、石井さんによると、木製の商品を見たときに、その材料が大きな木だということに結びつけられない子どもも多いのだとか。
「木で生きていたときは、どんな姿だったのかな?」「年輪を見ると、木の年齢がわかるよ」など声かけしてあげることで、子どもの意識が変わるきっかけにもなります。
生活の中で楽しむ木育、いかがでしたか?
どれも特別珍しいことではないですが、実際にやったことがないという方は多いのではないでしょうか。
石井さんのお話を伺って、「自然に触れる=わざわざ遠くへ出かける」というイメージががらりと変わりました。視点をちょっと変えてみるだけで、都会の中でも自然を感じるチャンスがあちこちにあるのですね。
第3話では、拾った葉や枝、木の実などを使った工作を紹介します。
(つづく)
【写真】有賀傑
もくじ
石井今日子(いしい きょうこ)
東京・四谷三丁目にある、認定NPO法人「芸術と遊び創造協会」が運営する「東京おもちゃ美術館(http://goodtoy.org/ttm/)」副館長。長年、保育士として働いていた経験を生かし、子どもに寄り添った木育を広める活動に携わる。自治体や企業に提案し、一緒に木育推進の活動も取り組んでいる。
ライター 大野麻里(おおの まり)
編集者、ライター。美術大学卒業後、出版社勤務を経て2006年よりフリーランス。雑誌や書籍、広告、ウェブなどで企画・編集・執筆を手がける。ジャンルは住まいやインテリア、ライフスタイルなどの暮らしまわり、旅行、デザイン関係などが中心。現在、夫とふたり暮らし。
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