【少なくっても、大丈夫】第3話:お気に入りの靴がある。それだけできっと、おしゃれはもっと楽しい。
編集スタッフ 岡本
全3話にわたって、特集「少なくっても、大丈夫」をお届けしています。
お話を伺ったのは、スタイリストの玄長なおこ(げんちょうなおこ)さんです。
“着回しの女王”という呼び名もある玄長さん。出産を機に見直した靴は、オールシーズンで8足まで厳選されたとか。
第1話・第2話では、玄長さん愛用のスタメン5足やコーディネートをご紹介しました。
最終話では、玄長さんが、自分らしいファッションを楽しむために心がけていることを伺います。
身長158cm、普通体型だからこそ。洋服からパワーをもらえた
現在、雑誌リンネルや、nina’sなど多数のメディアでスタイリストとして活躍している、玄長さん。
今でこそ靴箱の中は8足にまで厳選されましたが、今年2歳になった娘さんを出産するまで、靴も洋服も、たくさんのモノに囲まれていたそうです。
根っからのファッション好きで、その始まりは小学5年生の頃からだとか。
玄長さん:
「3つ上の姉がいて、少なからず影響を受けていました。小学5年生から見た中1ってすごく年上に感じますよね。身につける洋服や小物が、どれも大人びて見えたんです。
あの頃、CUTiE(キューティ)とかZipper(ジッパー)とか、ポップな洋服が流行っていて。天井に雑誌の切り抜きを貼って、いつも眺めてました」
玄長さん:
「中学生になる頃には、リメイクした自分の服を大通りで売ったり、友達にあげたりして、将来はスタイリストになる!と、心に決めていました」
ファッションに魅了され、“はまる”時期。だれしも一度は、経験があるのではないでしょうか。
でも玄長さんの場合、職業にしたいと思うほど強く長く、ファッションへの情熱を抱き続けていたようです。
どうしてそこまで洋服に惹かれたんですか?と聞くと、意外な答えが返ってきました。
玄長さん:
「きっと、私自身がすごく普通だったからです。
身長158cmで、日本人体型そのものだったからこそ、ファッションを工夫することで、印象が変わるのが嬉しかったんです。
勉強も運動も得意ではないなと思っていたとき、ちょっとおしゃれをしたら一目置かれるようになって。
自分にはこれしかない!って素直に思いました。それからずっと変わらず、洋服の力に支えられています」
目標だったCUTiE(キューティ)をはじめ、これまで関わった雑誌は10誌を超えるそう。
それだけ多くの雑誌やブランドから支持される理由は、人柄はもちろんのこと、コーディネートに表れる玄長さんらしさが、見る人を惹きつけるからではないでしょうか。
できることなら私も、自然体でおしゃれが似合う人になりたい。
玄長さんがファッションを考えるときの、コツはありますか?
「似合うための条件」を知って、たくさんなくても良いとわかった
玄長さん:
「『似合う』を優先させたいとき、私が思う条件は3つ。
ひとつは、キャラに合っていること。無理をしないで着られるかどうかということですね。
ふたつめは、サイズが合っていること。年齢や体型も素直に受け入れて、身に付けるものを選んでいます。
さいごに、着心地がいいこと。肌触りとかボタンの付き方とか、細かい部分も大切です。
見直してみると手持ちの靴や服も、この3つが当てはまるものって、想像以上に少ないはず。
逆にいえば、数を減らしてもそれら全てが条件を満たすアイテムなら、自分らしいファッションは楽しめると思います」
“自分らしいファッション”
新しい服を着て人と会ったとき、「似合ってるね」よりも、「あなたらしくてすてきだね」言われたとき、すごく嬉しかったことを思い出しました。
それはきっと見た目だけでなく、内面も含めた印象を肯定された気持ちになったから。
玄長さん、 “私らしいファッション” って、どうやったら知ることができるのでしょうか。
自分らしいってラクチンだから。
玄長さん:
「むずかしいけれど、『似合う』を知ることを積み重ねたら、自分らしさが分かるようになるのかな。
似合うものも、5年周期くらいで変わるものなんです。例えば、私はストライプパンツをずっと愛用しているけど、定期的にデザインも色も違うものに買い換えています。
買い足すのではなく、買い替えです。それは以前履いていたものが、今の自分に似合わなくなってくるから。
これを繰り返すと、クローゼットには似合うものが増えていき、『似合う』を見極める感度も高くなっていくと思います。
20代のなんでも似合う時代から、年を重ねていくとそれは少しずつ減ってくるかもしれない。
でもその代わりに、自分に似合うものがどんなものなのか、どんどん分かってくるようになる。
その先にあるのが、自分らしいファッションかなと思います」
玄長さん:
「そういえば、最近おしゃれだなと目を惹かれるのが、おばあちゃんなんです。
旅行で新しい場所に行くと、知らぬ間におばあちゃんたちのファッションチェックをしてしまうほど。
それってきっと、時間をかけて似合うを知ったからこそ表れる、その人らしいファッションだからですよね。
私もいつか、ドレスシューズやビルケンを履きこなす、粋なおばあちゃんになりたいな」
この取材を経て、私も3つの条件を念頭に手持ちの靴と向き合ってみました。
眺めるだけじゃなく、ひとつひとつ手にとって、改めて履いてみる。そうした結果、7足を手放すことに。
もう靴箱の片隅で、存在感を失ってしまった靴は一足もありません。
本当に気に入っているものだけになってからは、靴選びの時間が減っただけでなく、足元のおしゃれを考えるのがより楽しくなったような。
出番がやってこない靴をみるたびに抱いていたモヤモヤまでなくなったことは、嬉しいおまけでした。
こんなふうに、「今の自分」にしっくりくるものを選ぶことを積み重ねて、いくつになっても私らしい姿でいられたら。
まずは足元から、お気に入りだけの暮らしをはじめてみませんか?
(おわり)
もくじ
玄長なおこ(スタイリスト)
北海道出身、夫と2歳の娘の3人暮らし。バンタンデザイン研究所を卒業後に独立し、さまざまな雑誌でスタイリングを担当。現在は、リンネルやnina’s(ニナーズ)などで活躍中。日本人の体型に合った、自然体のコーディネートが人気で、多くのモデルや読者から支持されている。
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