【北欧に学ぶ、冬の灯り】前編:「すべてを照らさなくていい」照明選び、3つのポイント

編集スタッフ 松浦

まだまだ寒い日が続く一月。夏に比べて日も短く、家で過ごす時間もなんだか長くなりますよね。できるものなら、一日中ブランケットに包まりながら、ココア片手に映画でも観ていたい……

そんな冬の夜の過ごし方は、私たちの大好きな北欧に学びましょう。日照時間も短く、朝9時くらいに、やっと明るくなったかと思えば、午後2時頃には日が暮れはじめる北欧の冬。気持ちもなんだかブルーになってしまうこの季節を北欧の人々はどう乗り越えているのでしょうか。

鮮やかでポップなデザインのテキスタイルや、木のぬくもりのある家具や雑貨、そしてそこに欠かせないのが温かな灯りでした。本を読んだり、おしゃべりをしたり、音楽を聴いたり…… それぞれの心地いい空間にそっと寄り添うように、北欧では優れた照明器具がたくさん生まれました。

この特集では、そんな心地いい灯りのヒントをお届けします。前編では、北欧を代表する照明メーカー「ルイスポールセン」のジャパンオフィスを訪問。北欧と灯りの関係から、照明選びのポイントを紐解きます。

 

北欧の定番「ルイスポールセン」を訪ねました!

心地いい灯りのヒントを学ぶため訪れたのは、1920年代半ばより90年以上ものあいだ愛され続けている「ルイスポールセン」社のショールーム。「PHシリーズ」でおなじみのブランドで、私たちスタッフとしても、いつかは欲しい憧れの存在です。

今回は、そんなルイスポールセン・ジャパン広報担当の中村さんを訪ね、北欧の暮らしの工夫や灯りの使い方など、たっぷりと教えていただきました。

中村さん:
「デンマークでは、街全体がうっすらと青い空気に包まれる
ブルーアワーという時間が日本よりも長く続きます。これは昼と夜の間の不思議な時間。

北欧では、そんな刻々と変わる周囲の暗さに合わせて、灯りをつけていきます。

それも一度につけるのではなく、キャンドルを灯すようにひとつずつ点けていくんです。街を歩いていても、窓からこぼれる柔らかな灯りで、ホッと温かな気持ちになりますね」

 

照明選びで一番気になること。

わたしも家で間接照明やキャンドルを取り入れたいと思うものの、一緒に住む家族からは「暗すぎない?」と言われてしまいます。

中村さん:
「とってもわかります… でも、全てが明るくなくてもいいんですよ。照らさないといけないところだけ、照らされていれば大丈夫!何かをしているときに、暗いな…と思わない光の配置がポイントです。

例えば、このソファでよく読書をしますという人には、ソファの後ろから本を照らすフロアランプがあればいい。周りが薄暗くても、読書に必要な灯りはしっかり得られますよね?

実際私の家でも、両親が照明の暗さを心配していました。でも目的にあった灯りを使うことで、『案外明るいのね!』と、今ではすっかり居心地よくなっています(笑)」

 


北欧の住まいに学ぶ

照明選び、3つのポイント


ここからは、ルイスポールセンのデンマークの社員宅を参考に、照明選びのポイントを3ステップで教えていただきます。今すぐ新調とまではいかなくても、自分の暮らしをベースに「こんな灯りが欲しいな〜」とそんな想像からはじめてもいいかもしれません。

まずは下準備。
シーリングライトは思い切ってOFFに!

Photo: Gregers Mansfeldt

日本のマンションなどに付属しているシーリングライト。部屋全体をまんべんなく明るくしてくれる便利な存在ですが、これひとつでは陰影が乏しい、フラットな空間を作ってしまいます。

北欧の灯りの特徴である、光と影のグラデーションをつくるためにも、まずは灯りを消してみましょう。

中村さん:
「付属のものだから使わないといけないなんてことはありません。この社員の家では、天井に取り付けられた灯りは一つもないんです。その代わり、部屋の隅や、テーブルの上、ソファ横など、小さな灯りがいたるところにありますよね。

こうやって、適材適所に複数の灯りを使うことで、明暗のリズムができ、奥行きのある空間に見せてくれるんですよ」

 

どこに置く?
暮らしの導線で考える、灯りの置き場

次は、灯りの置き場です。リビングやダイニングなど、大きな空間となると余計に難しく感じてしまいます。でも、答えはとってもシンプル。必要なところを照らすだけです。

中村さん:
「まずは、自分の暮らしの導線を考えてみましょう。家族が集う場所はどこ?読書はどこで?こうすることで、自然と灯りが必要な場所が見えてきます。ランダムに置かれているように見えて、全ての灯りに意味があるんですね」

 

デザインと同じくらい大切!
「配光」について知ろう

置く場所が決まったら、次はデザイン。可愛い見た目や好きなデザイナーで選ぶのはもちろん楽しいことですが、ここでもう一つ重要なのが、「配光」です。

中村さん:
「配光とは、その照明器具がどのような光を出すかということ。どういう場所に、どういう光が欲しくて探しているのか? 照明選びで忘れてはいけないことです。

まず、照明の機能は、大きく分けて「タスクライト」と「アンビエントライト」の2つがあります。タスクライトは、読書灯のような、部分的に照らすもの。アンビエントライトは、天井や壁など、周囲を照らし出すものです。

照明選びでは、このタスクライトとアンビエントライトのふたつをうまく組み合わせることがポイントになります」

 

「配光」の種類

では、アンビエントライトとタスクライトの違いを、私たちはどう見分ければいいのでしょうか?

中村さん:
「上の図は、ルイスポールセンを代表するフロアランプ3種の配光を表したものです。左から、(1) AJ、(2) PH、(3) パンテラ。 同じようにシェードがついたものでも、形や素材で配光はぐんと変わりますよね。簡単にそれぞれの照明の特徴をまとめてみました」

(1)
素材:光を全く透過させないスチール製
形:シャープに下に向けられている
配光:光は漏れなく真下を照らす
→ 読書、ベッドサイドなどのタスクライト

(2)
素材:光を程よく透過させる乳白ガラス製
形:緩やかな弧を描いていたシェードが3枚重なっている
配光:弧に沿って上を3割、下を7割照らす
→ ソファサイドに設置すればタスクライト。リビングなどのコーナーに設置すればアンビエントライト

(3)
素材:光をよく透過させるアクリル製
形:半円型の弧を描いている
配光:アクリル素材が光をよく透過させるため、全体に光を広げる
→ 部屋の天井や壁を照らし、空間の明るさをつくるアンビエントライト

 

私たちでもできる配光の調べ方

中村さん:
「配光を調べるって難しそうですが、実は私たちでも簡単に見分けられる方法があるんです。まず店頭で実際に灯りをつけて、シェードの周りで手のひらをぐるりと一周させてみてください。上下、横とそれぞれ明るさが違うのがしっかりわかります」

素材やシェードの角度で少しずつ変わってくる配光。どこを照らして、どこに影が落ちるのか……「全てが見えなくてもいい」北欧の人々が口を揃えていうこの言葉には、心地いい灯りへのヒントが隠されているのかもしれません。

思えば、日本も光と影の文化。「陰翳礼讃 (いんえいらいさん)」という言葉にもあるように、かつて日本人は陰影の中に美を見出していました。和室のつくりにしても、庇や縁側をつくり、直射日光ではなく、反射した柔らかな光を部屋に取り込んでいたといいます。

時代とともにライフスタイルが変わった今でも、日本人が北欧の灯りに親しみを感じるのは、そんな背景があるのかもしれません。

後編では、そんな光と影でつくる、心地いい灯りの取り入れ方を学びます。

(つづく)

【写真提供】ルイスポールセン社(1〜6枚目、12枚目以外)、桑原さやか(4枚目)


もくじ

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中村麻紀子(なかむら・まきこ)

ルイスポールセン ジャパン株式会社、セールス/マーケティング部。ルイスポールセンのものづくりの精神に共感し入社。ショールームでは、照明の選び方についてのセミナーなどを開催している。

 


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