【ケーキが一台焼けたなら】平日の夜でも気負わずに、ケーキは焼ける?

編集スタッフ 奥村

「ケーキが一台焼けたなら」。そう思ったことはありませんか? 憧れはあっても、ケーキ作りのハードルはなかなか高いものではないでしょうか。

わたし奥村はお菓子作りが好きですが、それでも時には「めんどうだな」と感じてしまうのが正直なところ。

道具が多くて洗い物もかさばるし、材料を計量するのもめんどう。手間の多さがハードルになって、平日に作るのは敬遠していました。

 

10年探して、やっと出合えた「簡単」レシピ

▲少しずつ買い集めてきた吉川さんのレシピ本は、気づけばたくさんに

そんなわたし奥村が「ケーキって簡単に作れるんだ」と思えたきっかけは、菓子研究家・吉川文子(よしかわ ふみこ)さんのレシピに出合ったこと。

ふだん冷蔵庫にある身近な材料で作れて、工程も楽チン。なのに、驚くほどおいしくできる。

10年以上いろいろなレシピを試してきた中で、ケーキ作りにはじめて「気軽さ」を感じられた経験でした。

▲菓子研究家・吉川文子さん

そんな吉川さんに、今回は「平日夜でも作れるくらい」というちょっぴりわがままな希望をのせて、気負わずにケーキを焼くコツを教えて頂くことにしました。

今までなんとなく「ケーキ作りは難しい」という印象を抱いてきた方にも、読んでいただけたら嬉しいです。

 

「オイル」で、ケーキはぐっとカンタンになる?

お仕事柄、毎日のようにケーキを焼いている吉川さん。平日夜でも作れるくらい、気軽にケーキを焼くコツってありますか?

吉川さん:
「バターではなく、オイルでケーキを作ることです。

バターは固形なので、常温で柔らかくしたり、ホイップ状に泡だてたりする手間がかかります。でも、オイルは液状なので生地に混ぜるのも楽チン。

ふだんの料理に使うのと、同じオイルで作れる気軽さも魅力ですよ」

▲吉川さんがふだんケーキ作りに使用するのは、キャノーラ油と太白ごま油

また、オイルで作るケーキは、バターよりもふんわり軽やかな仕上がりに。焼き菓子を食べ慣れない人でも口に合いやすいから、贈り物にもおすすめだといいます。

吉川さん
「ケーキ作りに向いているのは、香りの強くないサラダ油やキャノーラ油、菜種油、太白ごま油などです。今回は、そんなオイルを使ったバレンタイン向けのケーキレシピをご紹介しますね」

けれどレシピを教わる以前に、ケーキ作りそのものに「めんどう」と感じてしまう工程は多いもの。そういった手間を少しでも減らすことはできるものでしょうか?

まずは吉川さんに、そんなホンネを打ち明けてみました。

 


ここが「めんどう」!
ケーキ作りのQ&A


1.材料を買い揃えるのがめんどう!

▲(左上から時計回りに)小麦粉、牛乳、オイル、卵、砂糖、ベーキングパウダー、ヨーグルト

吉川さん:
「基本のケーキに必要な材料は写真の通り。『ベーキングパウダー』以外は、ふだんから家にありそうな身近なものばかりなんです。

どれもスーパーで気軽に買えて、ケーキ以外の料理でも消費できるから、使い切れずに余ってしまっても安心ですよ。

小麦粉は、薄力粉を選びましょう。スーパーで売っている銘柄の中でおすすめなのは『バイオレット』。製菓用に製粉されているので、生地がきめ細かく仕上がります」

 

2.材料を1つ1つ計量しておくのがめんどう!

▲1つの材料を計り終えたらリセットボタンで0gに戻し、新しい材料を加えます

吉川さん:
「材料は、前もってすべて計量しておく必要はありません。

ボウルをはかりの上に置いて、材料を加えながら計量していきましょう。1つの材料を加えたら、はかりの目盛りをリセットボタンで0gに戻し、次の材料を加えて。

こうすれば、ぐっと効率的になりますよ」

 

3.道具の準備と洗い物がめんどう!

吉川さん:
「私のケーキレシピは、ワンボウルで作れるのがポイント。洗い物の負担も少ないんです。

ケーキ作りには特別な道具が必要というイメージを持たれがちですが、例えばボウルや泡立て器はふだんの料理に使うもので大丈夫。

ゴムヘラはなければ大きめのスプーンで、粉ふるいは目の細かいざるで代用できます。

ケーキ型とはかりは、スーパーや100円ショップで買える手軽なものでもOKです」

▲オーブンシートを敷いて使うと、ケーキがスムーズに取り出せます

吉川さん:
「ケーキ型は紙のものでもいいですが、長く使えるものを買いたい場合には、縦18×横8×高さ6cmのパウンド型がおすすめ。汎用性が高く、幅広いケーキレシピに対応しています。

素材は、はじめての方にはブリキ製のものがおすすめです。500円以下とお手頃で熱伝導も良く、ムラなく焼き上がりますよ」

 

「はじめてでも失敗しにくいケーキだってあるんです!」

せっかく時間をかけて作ったケーキの生地が、膨らまなかったときは本当にショックですよね。わたし奥村もそんな失敗をして「もういやだ!」とがっかりしてしまった経験があります。

吉川さん:
「手作りのケーキレシピには、膨らませるのに技術がいるものと、いらないものの2種類があります。

卵を泡だてて作るシフォンケーキやスポンジケーキは、技術がいるレシピ。

対して、今回ご紹介するパウンドケーキは「技術のいらない」レシピです。材料にベーキングパウダーを入れることで、誰が作っても、混ぜるだけでちゃんと膨らむ仕組みになっているんですよ。

はじめての方は、失敗の少ない後者のケーキから挑戦してみるのがおすすめです」

次回はそんな「技術のいらない」ケーキレシピを、教えていただきます!

(つづく)

 

【写真】木村文平(2枚目を除く)


吉川文子

菓子研究家。1995年より自宅で洋菓子教室を主宰。伝統的なフランス菓子をベースにしながら、新しい風味や作りやすさを追求したレシピで人気を集める。“バターを使わないお菓子”を提案し、著書も多数、そのおいしさに多数のファンを持つ。http://kougloflove.blog120.fc2.com/

 

▽吉川文子さんの近著はこちら


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