【おたすけビーフン】第1話:ご飯を炊くよりスピーディー。簡単、おいしい、ビーフンってえらい。

ライター 小野民

ビーフンは最高の「お助け食材」でした。

パスタ、うどん、そば…… 麺類のスタンダードといえば、きっとこんなラインナップでしょう。一日一度は麺を食べるという人も多そうです。

一方で、しっかり市民権を得ている麺類たちに比べて、ビーフンの存在感は正直ちょっと薄め。私も子どもの頃に食べたきり、記憶の彼方に。つい最近まで自分で料理をしたこともなく、水で戻したり、なんだかめんどくさそうな印象を抱いていたのです。その印象は、クラシコムのスタッフに聞いても同様でした。

でも、とある料理本で見つけたビーフンレシピがおいしそうでチャレンジしてみたら、ビーフンの扱いは想像以上に簡単。たっぷりのお湯を沸かして茹でる、という工程もいらないことを知って、「時短」の観点からもすごく便利な食材かもしれないと気づいたのです。

麺類大好きな我が子に食べさせることを考えても、小麦製品ばかりじゃなくて「米の麺」を取り入れられたら嬉しいと思いました。

これまで気にもとめなかったけれど、スーパーにはほぼ必ずビーフンが置いてあることも確認(小野の近所のスーパー3店調べ)。

目立たない存在にしておくのはもったいない。ビーフンのポテンシャルを生かすべく、とびきり簡単でおいしいビーフンレシピを開拓したいと考えました。

 

料理家・近藤幸子さんが教えてくれました。

私がビーフンを使うきっかけをくれたのは、料理家の近藤幸子さんの『重ねて煮るからおいしいレシピ(主婦と生活社)』に掲載されていた「あさりと白菜の塩ビーフン」でした。

近藤さんの本に出合ったのは、ごはんを作るのが億劫になっていた時期。心も体も余裕がなかった私にとって、「材料全部を鍋に入れるだけ」というレシピの共通点は救世主のよう。

家にある食材とレシピを見比べて、片端から本に載っている料理を試すうちに、「私でもおいしいごはんが作れる!」と少しずつ「料理ができない」というコンプレックスがほぐされていったのでした。

それからも、週に2、3度は近藤さんのレシピに頼ることで、毎日のごはん作りはだいぶ助けられていると実感中です。

近藤さんの手にかかれば、きっと手軽でおいしいビーフン料理を身につけられるはず。そんな想いで、「おたすけビーフンレシピ」を考えていただくことになりました。

近藤さん:
「私、作り置きってどうも苦手なんです。事前に手間をかける必要があるから、結局自分の時間や労力を節約することにはならない気がして。それなら、一つひとつの料理の手間や無駄を省いていく工夫をしたい。

やっぱり、作りたての料理が好きだし、今回ご紹介するビーフンレシピも、フライパンひとつで短時間で作れるものばかりですよ」

 

のせて煮るだけ。時短したいときの、基本の調理法。

ビーフンのパッケージを見ると、「基本の戻し方」が書いてあります。たとえば、焼きビーフンやスープビーフンは4分、サラダや和えものに使う場合は8分ほど沸騰したお湯で湯で戻す、という具合。さっと炒めたり、その後そのまま使う場合は「戻し時間」を取る必要があります。

今回は時短のため、少量の水で具材と一緒に麺を煮て、「麺を戻す」と「調理する」を同時に行う手順を考案。熱湯で戻すよりも、ビーフン自体に具材の味が染み込むという、一石二鳥の方法でもあります。

Step1 さっと水に通す

下準備はさっと水に通すだけ。麺が細く絡まったタイプのビーフンは、水の中で少し手でほぐすようにすると、料理中に麺がほぐれて扱いやすくなります。

Step2 ほぐしながらフライパンに敷く

水を切って、ほぐしながらフライパンの一番下にビーフンを敷き詰めるようにします。

Step3 ビーフンの上に具材をのせる

この上に肉や魚介類、さらに野菜をのせるのが基本。

Step4 少量の水と調味料を入れる

調味料もこのとき一緒に入れてしまいます。

Step5 ふたをして蒸し煮にする

すべて入れたら、ふたをして材料すべてを蒸し煮に。水分と一緒い重ねた具材のうまみをビーフンが受け止めて吸収する仕組みです。

これで、事前に戻すよりも味がしっかりしみ込むのです。

さて、おいしいビーフンレシピの基本を押さえたところで、第2話は実際の料理編。準備からいただきますまで20分もあればできちゃう、あさり麺とナポリタンの作り方をご紹介します。

(つづく)


もくじ


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近藤幸子

料理研究家。仙台の料理学校でアシスタント、講師を務めた後、料理研究家として独立。現在は料理教室『おいしい週末』を主宰し、テレビや雑誌等でも活躍。2児の母でもある。著書に『近藤幸子のしあわせ絵本レシピ』(白泉社)、『重ねて煮るからおいしいレシピ』(主婦と生活社)、『がんばりすぎないごはん』(主婦と生活社)がある。

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ライター 小野民

編集者、ライター。大学卒業後、出版社にて農山村を行脚する営業ののち、編集業務に携わる。2012年よりフリーランスになり、主に地方・農業・食などの分野で、雑誌や書籍の編集・執筆を行う。現在、夫、子、猫4匹と山梨県在住。

 

【写真】鍵岡龍門

▼近藤さんのレシピはこちら


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