【のり巻き研究所】第1話:巻き簾がなくてもできるんです!お家でできる「のり巻き」入門編
海苔巻きをお家で美味しく作るコツを聞きました。のり巻きで必須の酢飯のレシピから具材選び、巻き方のコツまでたっぷりとお届けします。「のり巻きを家で気軽に作りたい!」という想いをぶつけた相手は、「ごはん同盟」のシライジュンイチさん、しらいのりこさん夫妻。巻き簾を使わなくてもきれいに巻ける簡単なアイデア、ぜひご自宅でも試してみてくださいね。
ライター 小野民
のり巻きは「買うもの」と思ってたけれど……
具材、酢飯、のりの三位一体は、なんと素晴らしい組み合わせなのでしょう。しかも手を汚さず手づかみで気軽に食べられ、納豆やきゅうりという至極シンプルな具材から、豪華な海鮮巻まで、そのバリエーションの豊かさも魅力。そんないいところ揃いとは……そう、「のり巻き」。
誰にとってもなじみ深いのり巻きは、今回の取材陣のひとり、スタッフ二本柳の大好物でもあるそう。多いときは週2で仕事帰りに買って帰るという愛好者ですが、「自分で作ろう」とは思ったことがなかったとか。
わたし、ライター小野の育った家でも、のり巻きは食卓にのぼっていました。しかし実は、大人になってから作ったことはありません。そこには、なんだか面倒くさそう、難しそうという先入観がどうしてもつきまとうのです。
でも、もしものり巻きをおうちごはんの定番にできたら? 子どももパクパク食べてくれるこのメニュー、今こそものにしたい!と、1日「のり巻き研究所」を立ち上げました。
「ごはん同盟」のしらいのりこさん、シライジュンイチさんが教えてくれました。
「のり巻きを家で気軽に作りたい!」という想いをぶつけた相手は、「ごはん同盟」のシライジュンイチさん、しらいのりこさん夫妻。
共に米どころ新潟県出身で、ジュンイチさんの実家は米農家。「おかわりは世界を救う」という楽しいモットーを掲げ、おいしく楽しく、ご飯にまつわるレシピや情報を発信しています。
▲「ごはんと言えば」なお二人。ご飯のことなら炊き方からさまざまな食べ方まで守備範囲広し、です。
今回の企画を持ちかけると、「巻き簾(まきす)を使わない気軽なのり巻き、やりましょう! みなさんが思ってるよりも、ずっと簡単なんですよ」と快く応じてくださいました。
夏は、のり巻きに絶好のシーズンなんです。
ジュンイチさん:
「初夏から夏にかけては、のり巻きにぴったりのシーズンなんですよ。お米も収穫からだいぶ経って乾燥してくるから、すし酢が染み込みやすいんです。逆に、新米のおいしい時期には、わざわざのり巻きにしなくても、ご飯自体のおいしさを味わったらいいと思います。
夏は、炊いたご飯が傷みやすい時期。昔の人は酢の防腐効果を利用してお寿司をつくってました。だから、のり巻きは一石二鳥の食べ方です」
のりこさん:
「のり巻きは本当に懐が深い。
具はきゅうり一本でもいいし、たくさん食材を入れたら豪華になる。もともとはハレの日の食事ですし、“巻く” という行為自体にイベント性がありますね。大勢で作ったら、大人も子どもも盛り上がりますよ」
ごはん同盟の酢飯レシピ(2合分)
それでは、まずは酢飯から。「すし酢は市販のものを使ってもいいし、のり巻きの具によっては酢飯でなくてもOK」とのことですが、せっかくなので、ごはん同盟仕様のすし酢レシピを教えてもらいました。
【材料】
・米…2合
<A>
・米酢…大さじ3
・砂糖(上白糖)…大さじ2
・塩…小さじ1
Aをあらかじめ合わせておき、30分程度休ませる。炊きたてのごはんにAを加えて切るように混ぜ、すし酢がなじんだらうちわであおぎ、上下を返してさっと混ぜて、再度うちわであおぐ。ぬれ布巾をかけ、人肌まで冷ましたら完成です。
混ぜるとあおぐは交互に。同時に行う必要はありませんから、あわてずに……
巻き簾を使わなくても、ほら、こんなにキレイ!
今回、のり巻き初心者でも気軽にできると教えてもらったのが、「巻き簾を使わない」という方法。そう聞いただけでぐんとハードルが下がります。
のりこさん:
「巻き簾を使う理由は、巻く力を均等に伝えるため。だから、『のりを半分にカットして、幅を狭く』すれば、手だけで簡単にできちゃうんですよ」
基本の材料(長さ10cmの太巻き1本分)
・酢飯…100g
・のり…1/2枚
・好みの具材…それぞれ直径1.5cm長さ10cm目安
※具材は、お刺身セットや手巻き寿司セットを使うのもおすすめ。今回は、まぐろ、サーモン、きゅうり、厚焼きたまご、かにかまぼこ、アボガド、いくら。
※のりは、タテ21×ヨコ19cmの一般的なものを使用。縦半分に切るときは、包丁を使うときれいに切れる。
※まぐろとサーモンは、わさび醤油で漬けにしておく。
STEP1. 余白を残しながら、のりに酢飯をしき詰める
それではさっそく巻いていきましょう。
ご飯をしき詰めるときのポイントは、のりしろ用の余白を残すこと。
上の部分は2.5cm幅で残し、左右と下の部分も0.5cmほど余白を残して、のりに酢飯をしき詰めます。
STEP2. 手前に、芯となる「山」をつくる
手前には1.5cm高さの山を作り、全体は米の隙間ができないように均等にしくと、それが「芯」となり後々巻きやすくなります。
このとき酢飯が手にくっつくので、調理用のポリ手袋(エンボス加工)があれば楽ちん。
STEP3. 手前から硬い具材順に並べていく
手前の山の隣から、きゅうりなどの「硬い順」に具材を並べていきます。
この順番も上手に巻くためのポイント!
STEP4. 手前から隙間ができないように巻く
手前から、具材が滑らないよう押さえながら巻いていきます。隙間ができないように、ぎゅっと巻いていく感じ。
STEP5. のりの端を下にして、しばらく置いておく
巻き終わりはぎゅっと手前に寄せるようにし、のりの端の重なり合った部分を下にしてしばらく置きます。
こうするとご飯の湿気でのりづけされて、ばらけにくくなります。
しらいさん:
「今回は豪華にたくさんの具を入れましたが、具を少なくするほど、簡単に巻けますよ。例えば、きゅうり、シーチキンやカニカマ、マヨネーズという組み合わせは子どもに絶大な人気です。
『芯になるような硬いものを入れると巻きやすい』、『水気の出るものは向かない』という注意点さえ覚えておけば、あとは自由です」
きれいに切れる、切り分け方のコツ
盲点だった「切り方」も教えてもらいました。ポイントを押さえると、きれいな断面でうまく仕上がります。
まず、包丁をぬれ布巾で湿らせましょう。
最初に切るときは「中心」から。二等分されたものを切るときも、それぞれ中心から切り分けていきます。端から切っていくと崩れやすくなるそうなので注意。
刃元から刃先まで包丁の腹全体を使うように、すっと大きくスライドさせるもポイントです。そのためには、菜切包丁などではなく幅が狭い包丁を使ったほうがきれいに切れますよ。
1回切ったら、都度ぬれ布巾で汚れをふき取ります。
この後、「みなさん、今日はたくさん巻いてもらいますよ〜」と、のりこさんによる、カメラマン含む取材陣へののり巻きレクチャーがスタート。
やってみるとたしかに意外と簡単。1本目からちゃんとかたちになって、嬉しくなりました。でも、「もうちょっと隙間が埋められそう」「よくばって具を入れすぎたかも」など、向上の余地がありそうなのもなんだか楽しい。初めて自分で巻いたのり巻きはおいしさもひとしおでした。
さて、次回は具材を変えて実践編。のり巻きのバリエーションを知るべく、韓国ののり巻き「キムパ」と目にも楽しい「レインボーロール」の作り方を教えていただきます。
(つづく)
もくじ
ごはん同盟
ご飯好きの、ご飯好きによる、ご飯好きのための、炊飯系フードユニット。試作係(調理担当)のしらいのりこ、試食係(企画・執筆担当)のシライジュンイチ夫婦による。ご飯にまつわるレシピ紹介やイベントなど多数。著書に、『忙しい朝でもすぐできる ごはん同盟のほぼごはん弁当』、『パラパラじゃなくていい!最高のチャーハン50』(共に家の光協会)など。
ライター 小野民
編集者、ライター。大学卒業後、出版社にて農山村を行脚する営業ののち、編集業務に携わる。2012年よりフリーランスになり、主に地方・農業・食などの分野で、雑誌や書籍の編集・執筆を行う。現在、夫、子、猫4匹と山梨県在住。
【写真】木村文平
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