【お坊さんのお悩み相談室】第18回:仕事だとスイッチが入りますが、プライベートだと人見知りです
編集スタッフ 松浦
家事や子育て、日々の仕事。私たちのくらしには、小さなことから大きなことまで「悩み」がつきものです。
「お坊さんに聞く、くらしの悩み相談室」は、仕事や子育てなど、日々のモヤモヤを、お坊さんに答えていただく連載。 クラシコムのオフィスに「くらしのお悩み箱」なるものを設置し、スタッフのくらしの悩みを集めました。
お答えいただくのは、著書『お寺ごはん』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)なども人気の、浅草・湯島山緑泉寺 僧侶の青江覚峰さん。青江さん自身も、3児の父として、子育てにも奮闘中ということもあり、お坊さん目線、そしてひとりの親目線でお話ししていただきます。
人見知りです。仕事だとスイッチが入るのと、普段の反射からか、自分のスタンスがはっきりしていることもあって、ものすごい社交的になるのですが、プライベートでは全然ダメ。夫の仕事つながりの人など、私が知る世界とはちょっと違う環境にいて仲良くなりたい人がたくさんいるのですが、一人になると相手と共通の話題もそれほどなく結局うまく交流できず……。そんな自分がちょっと歯がゆいことがあります。(スタッフA)
この質問については、僕の個人的な体験に基づいてお返事させていただきます。
以前、私にも同じようなことで悩んでいた時期がありました。あの人と親しくなりたい。いろんな人とお近づきになりたい。そのために頑張ることもありました。笑顔を絶やさず、言葉に気を使い、相手に合わせ、テンション高く相槌を返し。無理をすること、背伸びをすることもありました。
しかし、それで「繋げた」縁というものは、結局長続きすることはありませんでした。無理をして繋げた縁ですから、その後のおつきあいにおいても無理が出てきてしまうのです。一緒にいて、なんとなく息切れがしてしまうような感じというか、精一杯テンションを上げて接し、会合が終わるとすっかり疲労困憊になっているよう。無理をして繋げたものは、その繋がりを継続するためにも、最初と同じように無理をし続けなければいけなかったのです。
それは自分にも負担になりますし、結果的には相手にも本当の意味で有意義な時間を持っていただくことができません。
ところが、その後時間がたち、再び同じ方に出会うことがあります。そのときになって、ようやく自然体で接せられるようになっている、ということが実に多々あるのです。自分が歳を重ねたためか、経験を積んだためか、もしくは単なる偶然かわかりません。もしかしたら、以前は相手に合わせてカッコつけようとしていたのが、なんとなく肩の力が抜けて身の丈のままでお話をすることができたからなのかもしれません。
そのようなことを何度も繰り返しながら、縁というものは「繋げる」ものではなく、「繋がる」ものだということに気がつきました。例えば学生時代にたまたま同じクラスにいた友人と、その後何年、何十年たっても変わらぬおつきあいが続くように、自分が無理したのではなく、自然に繋がった縁は長続きしやすいものだと感じています。
もちろん、つながったご縁に対しては感謝の気持ちを持ち、身の丈にあった範囲で真摯におつきあいをする。そうすることで、つながった縁は細く長く人生をともにするようになるのではないでしょうか。
私は毎日のように自分に言い聞かせています。
縁をつなげようと思ってはいけない。繋がるものだと。
一度つながったご縁はありがたく受け取り、失礼のないように無理せず真摯につながっていきたいものです。
青江覚峰
僧侶 青江覚峰
浄土真宗東本願寺派 湯島山緑泉寺住職。米国カリフォルニア州立大学にてMBA取得。料理僧として料理、食育に取り組む。「暗闇ごはん」代表。超宗派の僧侶によるウェブサイト「彼岸寺」創設メンバー
▼これまでの連載はこちらから
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