【せいろのある食卓】前編:パンもおかずも同時蒸し。5分で幸せ、ホカホカ朝ごはん
ライター 片田理恵
簡単、あったか、やさしい味。せいろがあれば叶います!
日ごとに肌寒さが増していく秋の日。朝、布団から出るのが億劫になってきたという方もいるかもしれません。ひんやり底冷えのする台所で慌ただしく朝食の支度をしながら思うのは、心と体のどちらも温めてくれるあたたかなごはんが食べたい!ということ。そんな時にうまく活用したいのが、蒸し料理の代表的な道具である「せいろ」です。
ここ数年、スタッフの中でも所有率が上がっているせいろですが「実はうまく使いこなせていない」という声もチラホラ。調理を簡単にする、料理をおいしくする、食事の支度全体をラクにするためには、どのように使えば効果的なのでしょうか。
(この記事は2019年11月に制作し、以降公開しております。改めてこのタイミングで多くの方にお読みいただければ嬉しいです。)
素材そのものの味を引き出してくれるから、おいしい
そこで私たちが訪ねたのは、料理研究家・野口真紀さんのアトリエ。ふたりのお子さんを育てるお母さんでもある野口さんが提案する食卓は家庭的で温かみがあり、旬の味わいがたっぷりと生かされているのが魅力です。
せいろとの出会いは前職の編集者だった頃、取材先で蒸したジャガイモを食べさせてもらったことがきっかけだったそう。その後料理研究家に転身してからは蒸し料理の本を2冊出版するなど、せいろの便利さと楽しさには今なお夢中だといいます。
▲軽いけれど場所を取るせいろは、とかく置き場所に困るもの。湿気が最大の敵なので戸棚にしまい込むのはNG。野口さんのように冷蔵庫の上に置くのがおすすめです。
野口さん:
「せいろは素材そのものの味を引き出してくれるんです。蒸しただけなのにどうしてこんなにおいしいの?って、私も最初は本当に驚きました。うちの子どもたちもせいろ蒸しの料理が大好き。フタをしたまませいろごと食卓に出して『今日はな~んだ?』と聞き、中身の当てっこをする。小さい頃はそんな親子のやりとりを毎日のように楽しんでいました」
もちろん現在でも、野口家の食卓には頻繁にせいろが登場。そこで今回の特集では、せいろを使った「時間がないけどしっかり食べたい朝ごはん」と「簡単だけど華やか、人を呼ぶ時にもぴったりの夜ごはん」の2つの食卓の整え方を教えていただくことにしました。
定番の朝ごはんは「旬の野菜とハード系のパンを蒸しただけ」
材料(写真はおよそ2人分)
・ハード系のパン…適量
・ウインナー&ベーコン…適量
・旬の野菜…適量
〈食べるときにお好みで〉
・オリーブオイル…適量
・塩…適量
※使用したせいろは横浜中華街で購入した「照宝」の直径16cmのもの。あらかじめ鍋に多めの水を入れて湯を沸かし、沸騰している状態でせいろを乗せること。水がなくなって空焚き状態になってしまうのを防ぐため、別に熱湯を用意しておき、すぐ注ぎ足せるようにしておくとよい。
※パンはふかふか&もっちりと蒸しあがるハード系がおすすめ。今回はバゲットとレーズン&ナッツ入りブレッドを使用。食パンなどのソフトなパンはベチャッとしやすいので避けた方がベター。
※ベーコンや肉など、脂が出るものを蒸す時には底にクッキングシートを敷くこと。せいろの油汚れ、匂いうつりを予防してくれる。せいろは「なるべく汚さない」ことが上手に付き合うコツ。
※野菜は好みのものを。今回はブロッコリーとパプリカを使用。芋類や根菜は蒸し時間が長くかかるので、使う食材によっては時間差でせいろに入れたり、段を分けて後から重ねたりするとよい。
〈STEP1〉使用する食材をカットし、3段に分けてせいろに入れる
食べやすくカットした野菜と肉、パンをそれぞれせいろ1段ずつに並べる。せいろは全体に蒸気が回るので、多少食材同士が重なりあっていても問題なし。
〈STEP2〉せいろを鍋にセットし、3段重ねで5分蒸す
上段がパン、中段が肉、下段が野菜。パンは濡れてベチャッとするのを避けるために一番上へ、野菜は出る水に色がつくので一番下に。肉はシートを挟んでいるので下の段への影響が出ず、どの位置でも大丈夫と判断。
〈STEP3〉野菜の火の通りを確認して食卓へ
▲ブロッコリーが少しかたいかも?ということで、野菜の1段だけ1分ほど追加蒸し。再加熱したいものだけできるという自由さもせいろのよさですね。
5分経ったらフタを開けて、せいろをそのまま食卓へ。野菜だけ火の通り具合を確認し、必要そうなら1~2分追加を。野口さんのご自宅では分厚い木のダイニングテーブルを使用しているため、せいろの下に皿を敷いたりはしないそう。テーブルクロスを使用している場合など、熱や水分が気になる方は皿の上に置くと安心。
作り始めて食べるまで15分。気持ちもお腹も満たされます
冷蔵庫を開けてからおよそ15分で食卓が完成しました。蒸している間に取り皿とフォーク、グラスを並べておけばますます効率もアップ。野菜にはオリーブオイルと塩をかけて食べますが、素材そのものの味わいを楽しみたい場合はもちろんそのままでも。ベーコンやウインナーの塩気で一緒に食べるのもおすすめです。
せいろで5分蒸すだけの朝ごはんが、こんなに豊かで素敵だなんて。1日をおいしく始めるための食卓の整え方が、どうかあなたのキッチンにも届きますように。後編ではおもてなしにもぴったりの夕飯のおかずを2品同時に作ります。
(つづく)
【写真】佐々木孝憲
もくじ
野口真紀
料理雑誌の編集者を経て料理研究家に。17歳の女の子と9歳の男の子のママでもあり、子育てと仕事を両立させる毎日を送る。『野口さんちの365日のおかず』(KADOKAWA)、『きょうのごはん』(主婦と生活社)など、著書多数。近著に『わたしの好きなトマト料理』(誠文堂新光社)がある。
ライター 片田理恵
編集者、ライター。大学卒業後、出版社勤務と出産と移住を経てフリー。執筆媒体は「nice things」「ナチュママ」「リンネル」「はるまち」「DOTPLACE」「あてら」など。クラシコムではリトルプレス「オトナのおしゃべりノオト」も担当。
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