【ストックできる冷凍スープ】第1話:容器ごとレンジでチン!「野菜を食べる」スープレシピ
ライター 嶌陽子
冷凍スープで、気持ちにゆとりを。
「私ね、スープは “煮物” だと思ってるんです。添えものというより、工夫次第では一皿でも完結するお助け料理なんですよね」
そう話すのは、「スープ作家」として365日スープを作りつづける有賀薫さん。昨年の『冷凍スープで朝ごはん』が大変好評いただき、この冬も第二弾となるレシピを考案いただくことになりました。
有賀さん:
「スープって、主食や他の食材を手軽に足せるから、食事としていくらでも調整できるでしょう? ご飯を入れれば雑炊やリゾット。うどんやパスタにかけてもいいし、シンプルにパンを添えても成立する。
忙しい毎日、買ってきたお惣菜で食事をする日があってもいいと思うんです。でも、そこに作っておいたスープが一品加わるだけで、食卓がぐっと豊かになる。
時間がない人こそ頼りにしてほしい存在です」
そんな有賀さんが教えてくれたのは、ストックできる冷凍スープ。電子レンジで温めるだけで、心も体も満たしてくれる滋味深い味わいです。
今回使ったのはジップロックのスクリューロックとコンテナー。電子レンジ対応の容器なので、冷凍庫から出してそのまま加熱できます。
それではさっそくレシピへ。第1回目は、アレンジの幅も広い「トマトときのこのスープ」です。
ごはんを加えて絶品リゾットに。
「トマトときのこ」のスープストック
【材料(4人分)】
・好みのきのこ3~4種 300~350g(*)
・トマト缶 1缶
・たまねぎ 1/2個
・オリーブオイル 大さじ2
・塩 小さじ1と1/2
*きのこは3〜4種類使ったほうがより旨みが出るのでおすすめですが、今回は一緒に合わせる玉ねぎやトマトも旨みが強いので1種類でもOKです。
【作り方】(所要時間:約25分)
1.きのことたまねぎを小さく切る
きのこはいしづきをとって2〜3cmほどの食べやすい大きさに切り、たまねぎはみじん切りにします。
きのこは、可能なものは手でちぎった方が、味が染み込みやすくなります。
2.きのことたまねぎを炒める
厚手の鍋にオリーブオイルを入れて中火にかけ、たまねぎを炒めます。
3分ほど炒めて、独特の辛味のある匂いが消えてきたら、きのこを一度に加え、水100mlを加えて、ふたをして蒸します。
2分ほどでふたをあけ、全体を混ぜながら、水分を追い出して旨みを封じ込めるつもりで3分ほど炒めましょう。
3.トマト缶を加えて煮る
鍋にトマト缶(ホールの場合は手でつぶしながら)を加え、缶1杯分(400mL)の水、塩を加えて煮込みます。沸騰したらあくをすくいます。
5分ほど煮込んだら完成!冷まして、ジップロックコンテナに入れて冷凍します。
有賀さん:
「冷凍庫で約 2週間はもちますが、あまり長く置いておくと忘れてしまいがちなので、早めに食べきるのがおすすめです」
▲使ったのはジップロックのスクリューロック(473ml)、1人分強が入ります。
食べる際の加熱時間は600Wのレンジで1人分が8~9分が目安です。
加熱の際にコンテナのふたを開け、少しずらすことをお忘れなく。
ボリュームを出すなら、リゾットがおすすめ!
スープとしてもおいしいですが、ごはんを加えれば、これだけで立派な一品料理に。
チンしたスープを鍋に入れて、ごはん1/2膳(100g)を入れ、再度軽く温めればリゾットになります。
好みでチーズを加えたり、食べる直前にオレガノなどのドライハーブを加えたり、オリーブオイルを少し垂らしても美味。
リゾット以外にも、アレンジの仕方は自由自在です。
有賀さん:
「ショートパスタや細めのパスタを加えたり、他の野菜を加えてミネストローネ風にしたり。ベーコンなどのお肉を入れてもいいですね」
冷凍スープに向いている食材とは?
▲材料の「きのこ300〜350g」は大体このくらいの量です。玉ねぎは1/2個でOK。
有賀さん:
「スープには水分がたっぷりあるので、電子レンジで温めても加熱ムラができにくいんです。“冷凍してチン” に向いている料理だと思います。
ただし、冷凍には弱点もあります。そのひとつが、食感がなくなりがちなこと。
そんな中、きのこは繊維が強く、細胞が壊れにくいため、冷凍しても味や食感がほとんど変わらないのでおすすめです。また、葉物野菜などは食感が気にならないよう、くたくたに炒めるという手もあります」
一般的に、そのまま冷凍するとあまり向いていないとされるのが、水分や繊維質の多い野菜。レタスやきゅうり、人参や大根、ゴボウなどの根菜類などです。冷凍すると食感や味が大きく変わってしまうため、なるべく細かく刻んだり、加熱してからすりつぶすといった工夫をした方がよさそうです。
▲ジップロックコンテナには様々なタイプが。丸型のスクリューロック(473ml)で1人分強、四角いコンテナー(700ml)で2人分、1100mlで約3人分。食べたい量などによっても違うので、使い勝手などを考えながら選んでみて。
試食したスープは、きのこのシャキシャキ感が楽しめるとともに、「味付けは塩だけなのに、なぜこんなに旨みが?」と驚くほどのコク。
どれも旨みの強いきのこ、トマト、玉ねぎは、有賀さん曰く「最強の組み合わせ」。繰り返し作りたくなる一品です。
次回は旬のこの時期にぜひ作りたい、長ネギたっぷりのスープをご紹介します。
(つづく)
【写真】佐々木孝憲
もくじ
有賀 薫(ありが・かおる)
1964年生まれ、東京都出身。スープ作家。ライター業のかたわら、家族の朝食に作り始めたスープが毎朝続き、2018年5月時点で約2300日以上になる。その写真やレシピで個展を開くほか、スープの実験イベント“スープ・ラボ”を主宰。著書に、レシピ、写真、文章、イラストを手がけたスープのレシピ本『365日のめざましスープ』(SBクリエイティブ)、『スープ・レッスン』(プレジデント社)など。新著『朝10分でできる スープ弁当』(マガジンハウス)も発売中。note:https://note.com/kaorun、instagram: @arigakaoru
▼有賀さんの著書はこちらから
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