【北欧に暮らすひと】04:スウェーデンの春といえば…。おばあちゃんのレシピでつくる伝統菓子

松浦摩耶


北欧に暮らすひと
#04 おばあちゃんのレシピ

「あそこの店ではもう売り始めたみたい……」「ここは今週末からかな……」年が明けるとスウェーデン人の間ではこんな会話が聞こえてきます。彼らがそこまで心待ちにしているのが、スウェーデンの伝統菓子Semla(セムラ)。

オリジナルドキュメンタリー番組「北欧に暮らすひと」4話目となる今回は、そんなセムラをスウェーデン・ストックホルム在住ソフィアさんのおばあちゃんのレシピでつくります。

スウェーデンの春のお菓子
「セムラ」とは?

「mormor(モルモル)は、とっても料理上手でレシピも細かく記録していく人だったの」冬休みで実家に帰省していたソフィアさんが、そう言って本棚から取り出したのは、モルモル(スウェーデン語で母方のおばあちゃん)のレシピノート。

細かく綴られたレシピを読み解きながら、この日はスウェーデンの伝統菓子セムラを作ることにしました。

セムラとは、カルダモンの入ったパンにマンデルマッサと呼ばれるアーモンドペーストとホイップクリームをサンドしたお菓子。

「セムラを食べれば春はすぐそこ」と言われるほど、暗くて長い北欧の冬に、春の訪れを告げる伝統菓子としてスウェーデンの人々に愛されています。

そんな春のお菓子セムラ。歴史を辿れば、もとはイースター前の断食期間(四旬節)に入る最後の火曜日「Fettisdagen(フェッティスドーゲン)」に食べられていたお菓子。クリームたっぷりの甘いセムラで断食に備えていたそうです。今では、断食はほぼなくなり、セムラを食べる習慣だけが残っています。

この季節になると、街一番のセムラを決めるセムラコンテストが行われ、「あの店はパンが美味しい、あの店はクリームが美味しかった」とセムラの食べ比べに夢中になる人も。

ソフィアさんの家では、パンを少し小さく作るのが伝統。「小さかったら2つ食べれるでしょ?そのほうがハッピーだわ」とおばあちゃんもよく言っていたそうです。

この日は、そんなおばあちゃんのレシピでふつうよりちょっと小さめなミニセムラを作りました。

食べ方は簡単。帽子みたいな蓋をとって、クリームをたっぷりつけてまず一口。そのあとは、かぶりつくだけ。なかには、温かい牛乳に浸して食べる人もいるとか。

日本のお雑煮のように、家によってそれぞれ食べ方があるのもなんだかいいですね。

 

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もくじ



松浦摩耶(まつうらまや)

『北欧、暮らしの道具店』を経て、現在はコペンハーゲンを拠点に映像や写真を中心に活動中。プライベートでは、デンマークのテキスタイルアーティストKarin Carlanderを追ったドキュメンタリーなどがある。日々の様子はInstagramで更新中(@mayanoue)


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