【おうちで作る本格カレー】第1話:市販のルウは使わない。便利な “カレーの素” でつくる、本格的なスパイスカレー

ライター 嶌陽子

暑い時期、本格的な味のカレーを短時間で作りたい

少しずつ、汗ばむ陽気になってきました。

この時期から夏にかけて無性に食べたくなるのがカレー。スパイスの香りが、体も心もしゃきっとさせてくれます。

市販のルウで作るカレーもいいけれど、本格的なスパイスカレーを自宅でも手軽に作れたら……。そんな願いを叶えてくれるのが、料理家の植松良枝(うえまつ・よしえ)さんに教わる “カレーの素”。

さまざまなカレーの土台となり、味に深みを与えてくれる、なんとも便利で頼もしい存在。まとめて作って冷凍保存しておけるので、食べたいときに本格カレーをすぐ作れます。

植松良枝さん:
「私も夏場はよく本格的なスパイスカレーを食べたくなります。でも、そのたびに玉ねぎや香味野菜を刻んで炒めるのが面倒で。特に暑い時期は火を使う時間が長いと辛いですよね。

だから一度にまとめて “カレーの素” を作って冷凍しておくんです。カレーが食べたくなった時に取り出せば、短時間でおいしく作れる。すごく楽ですよ」

3回にわたってお届けする今回の特集では、便利なカレーの素の作り方と、カレーの素を使ったレシピ、カレーに合う副菜レシピをお届けします。第1回は、カレーの素、そしてカレーの素で作る和風カレーのレシピです。

 


これさえあれば、本格カレーがすぐできる!
おいしさの土台になる “カレーの素”


【材料】(2〜3人分×3回作れる量)

・たまねぎ(粗みじん切り)大2個分(正味500g)*1
・しょうがのすりおろし 20g(大さじ2)
・にんにくのすりおろし 25g(大さじ2と1/2)
・トマト缶(ダイスカット) 1缶(約400g)
・クミンシード 大さじ1  *2
・塩 小さじ2
・サラダ油 大さじ5

*1:たまねぎは、あまり細かいみじん切りにすると水分が出すぎてしまい、仕上がりに影響するので粗みじん切りで。形も不揃いで大丈夫です!

植松さんはフードプロセッサーのパルス(ポンポンと 軽くスイッチを叩いて食材を弾ませながら刻む機能)を使ってたまねぎを切っています。水も出にくく、細かさも確認しながら使えるので とても便利だそうです。

*2:クミンシードはスーパーなどのスパイスコーナーで300円ほどで売られています。

 

【作り方】

1. クミンシードを熱して、玉ねぎを炒める。

鍋に油とクミンシードを入れて弱火にかけます。

クミンシードから細かな泡がしゅわしゅわと出て香りが立ってきたらたまねぎを加えて中火にし、20分ほど炒めます。

植松さん:
「20分といっても、ずっとつきっきりで炒めなくても大丈夫。他の調理の準備をしたり洗い物をしたりしながら、様子を見て時々鍋底などに焦げ付いた部分を絡めとりつつ、ほんのり茶色になるまで炒めていくイメージです。

途中、あまりに焦げそうになったら少し水を加えてください。鍋はなるべく平らで底の面積が広いものがおすすめ。水分が早く飛んで作りやすいです」

 

2.しょうがとにんにく、トマト缶を加えて炒める。

すりおろしたしょうがとにんにくを加えて全体になじませます。

香りが出てきたらトマト缶を加え、5分ほど炒めて水分をとばし、塩を加えます。

 

3. トマトの色が濃くなるまで煮詰める。

トマトの水分が飛んで色が一段と濃くなったら火を止め、粗熱をとったあと、3つの保存袋に分けて入れて密封します。

冷凍庫で半年ほど保存可能です。

植松さん:
「ひき肉さえあれば、このカレーの素とあわせるだけでコクのあるキーマカレーができます。

根菜とひき肉と一緒に炒めるドライカレーにも使えますし、ご飯と一緒に炊き込んでビリヤニ風にしてもおいしいですよ」

いろいろな使い道がありそうなカレーの素。今回は和風だしと合わせて作る、さらさらカレーのレシピを教えてもらいました。

 


忙しい平日の夕食にもぴったり。
いろいろ蒸し野菜と豚肉の梅風味カレー


【材料(2~3人分)】

・蒸し野菜(れんこん、にんじん、ブロッコリー、かぼちゃ)適量 (*)
・豚バラ薄切り肉(しゃぶしゃぶ用がおすすめ) 200〜250g
・だし汁 600ml
・カレーの素 1パック(1/3量)
・カレー粉 大さじ3・ごま油 小さじ1
・しょうゆ 大さじ2〜3
・みりん  大さじ2~3
・梅干し 雑穀ご飯 各 適量

*蒸し野菜はキャベツ、ズッキー二、プチトマト、なす、かぶ、オクラ、いんげん、じゃがいも、大根、カリフラワーなどでもOK。冷蔵庫にあるものを使ってくださいね。

【作り方】

1.豚肉を熱湯にくぐらせる

豚肉は3センチ幅に切って熱湯にくぐらせ、色が変わったらざるにあげてしっかりと水気を切ります。

植松さん:
「湯通しすることで、豚バラ肉の脂や臭みを取り除きます。この処理をしておくだけで旨みはそのまま、さっぱりいただけますよ」

 

2. カレーの素にカレー粉を加えて炒める。

鍋にごま油をひき、カレーの素とカレー粉を入れて香りが出るまで炒めます。

植松さん:
「カレー粉はお好みのものを使ってください。我が家ではエスビー食品の赤缶カレー粉が定番。和風だしとの相性がいいんです」

 

3. だし汁を入れ、煮立ったら豚肉を加える。

香りが立ってきたらだし汁を入れます。

植松さん:
「時間がなければ顆粒だしを使ってももちろん大丈夫です。私はかつお節と昆布からとっただしを使っています」

煮立ったところへ湯通しした豚バラ肉を加え、3分ほど煮込みます。

 

4. 調味料、梅干しを加える。

3分ほど煮たのち、しょうゆとみりんを加えます。最後に適当な大きさにちぎった梅干しを種ごと加えてなじませ、火を止め、器によそいます。

植松さん:
「梅干しはどんなタイプのものでも大丈夫。家にあるものを使ってください。梅シロップの梅を入れたり、梅酒を少し加えるのもおすすめ。よりフルーティーな味わいになりますよ。梅干しが苦手な場合は、入れなくても十分おいしく食べられます」

植松さん:
「カレーと一緒に、蒸した野菜をせいろごと食卓へ。大きめの皿にごはんをよそい、蒸し野菜とカレーを適量のせ、なじませながらいただきます。ごはんは雑穀米や玄米がおすすめです」

カレーのコクの中に梅干しの酸味がきいて、蒸し野菜との相性もばつぐん。和風だしをベースにしたあっさりした味わいなので、食欲がない暑い時期でも食べられそうです。

カレーの素を使ってカレーを作っている間に野菜をせいろで蒸しておけば、短時間でボリューム、栄養ともに満点の食事が作れますよ。

第2回では、バターやヨーグルトを贅沢に使ったエビカレーをご紹介します。同じカレーの素を使っても、全く違う味わいになるのです。

 

【撮影】佐々木孝憲

 

もくじ

植松良枝

料理研究家。野菜を使った季節を感じさせる料理が得意。旅好きで、料理には各国のエッセンスがセンス良く取り入れられている。料理教室を主宰するほか、代々木八幡にあるベトナム料理店「ヨヨナム」をプロデュースする。近著に『春夏秋冬 ふだんのもてなし』  (KADOKAWA)。Instagram:@uematsuyoshie


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