【料理を好きでいたいから】後編:料理の楽しみは、作って食べるだけじゃない。かんたん「おうちタコス」編
編集スタッフ 小林
料理は嫌いじゃないけれど、まいにち自炊が続くとやる気がいまいち出ないし、なんならちょっと辛い。だんだん自分の味にも飽きてきたな……。
最近そんなふうに、自炊について悩んでいたのです。
そんなときふと、「毎日つくりつづけている料理のプロは、一体どうしているんだろう?」と気になりました。
そこでこの特集ではPerch.の主宰で、料理家のまきあやこさんに、自炊のお悩みを相談。
まきさん直伝の料理を楽しむコツや、真似したくなるレシピをご紹介しています。
前編では「気楽に自炊を続けるためのコツ」を教えていただきました。この後編では「料理をもっと、思い切り楽しむコツ」を伺います。
時間があるときは「ごっこ遊びをしよう!」
まきさんは日頃からすごく楽しそうにお料理をされているな、と感じているのですが、もしコツなどあったら、ぜひ教えていただきたいです。
まきさん:
「わたしがよくやる方法として『大人のごっこ遊びのように、食べることをイベントにしてみる』というものがあります。
例えば『今日は和食の料亭風な日にいたす〜』とか、『パリのビストロのイメージでやってみましょ』とか、『台湾屋台で外の空気を感じながら食べるイメージに!』などなど、何でもいいのでテーマになる世界観を決めてみる。
そしたらそれっぽい食器を選んでみたり、ぴったりな曲や映画を調べて流してみたり、一番雰囲気に合う服を着てみたり、床に布を引いて食べてみたり、外国の小さな旗をつまようじで作ってみたり。
料理も全部作り終わるのを待たずに、一品づつ、だらだらと半日くらいかけて作りながら、ちょこちょこ食べてみたり」
まきさん:
「決して本物とは似ていないものになったとしても、全然OK。その日の気分で思いつくままに、料理とは一見関係なさそうなことも含めて、その世界観を楽しみます。
『純粋な調理』を楽しくするのが難しい日は、プロでもあると思っていて。だからそんなときには、料理の定義をもっと広げてみることで、食の本来の楽しさを思い出せる気がしています。
この『ごっこ遊び』は、料理を広い視野で捉え直す方法のひとつ。
何を着ようとか、どこで食べようとか、ひとつのイベントを通して『料理ってそういえば楽しいものだったな』と思い出させてくれる。
外食に行くよりも若干手間はかかりますが、週末など時間があるときにできると、ふわっと気分が上がる気がしています。
なので今日はすぐにお試しできる『ごっこ遊び』にぴったりなレシピを、ご紹介してみますね!」
今日はメキシコ気分を楽しもう!
かんたん「おうちタコス」のレシピ
タコスはコーン粉でつくったトルティーヤ生地に、いろいろな具材を巻いて食べるメキシコのお料理。
ですがこの「おうちタコス」レシピは、スーパーで買えるシンプルな食材でつくれて、気軽に楽しめるようアレンジしたもの。今回は薄力粉でつくるトルティーヤ生地と、そこにのせて食べるアボカドディップ、スパイシーハニーチキンをご紹介します。
イメージは、何を巻いても美味しくなる、日本の手巻き寿司のようなもの。だからツナやチーズ、トマト、残り物のカレーやきんぴらごぼう、唐揚げなんかをのせても美味しいと思います。
ぜひお好きな具材をのせて、ご家族みんなで楽しんでくださいね。
薄力粉でつくる「フラワートルティーヤ」
材料(約2人分)
(a)
薄力粉… 200g
砂糖…小さじ2
塩…ふたつまみ
オリーブオイル…大さじ1
熱湯…120cc
作り方
1)ボウルに(a)の材料を全て入れたら、熱湯(120cc)を注ぎ、スプーンなどで一気にぐるぐると混ぜる。生地がまとまってきたら、手を使って表面がつるりとするまで捏ねる。
2)ボウルにラップをかけ、30分以上休ませる。
(前日の晩にここまで進めておくのもオススメ。その場合は冷蔵庫で休ませて下さいね)
3)生地を10等分し、ひとつつずつ丸めて、オーブンシートの上で伸ばしていく。
4)できた生地を、低温のフライパンで両面焼いたら完成!
まきさん:
「焼きあがった生地は、食べるまで乾燥を防ぐために、布巾で包んでおくのがオススメ。また、人数が多いときは食べながら、ホットプレートで生地を焼くのも楽しいですよ〜」
子どもも食べやすい!
「簡単アボカドディップ」
材料(約2人分)
アボカド…1個
レモン…1/4〜1/2個
塩…適量
作り方
1)アボカドの皮をむいてタネをとり、ボウルに入れてフォークで潰す。
2)そこにレモンを絞り、お塩で好みの味に調整したら完成!
まきさん:
「本場では生玉ねぎなどが入りますが、お子さんは苦手な場合もあるので、今回はシンプルにアボカドだけのディップで。玉ねぎは別で添えると、家族みんなで楽しめると思います」
食欲をそそる香り
「スパイシーハニーレモンチキン」
材料(約2人分)
鶏もも肉…1枚
(a)
塩…小さじ1/2
胡椒…少々
ガラムマサラ…小さじ1
にんにく…1/2かけ(すりおろす、チューブでも可)
サラダ油…大さじ1/2
レモン…1/2個
はちみつ…小さじ1(なければ砂糖でもOK)
作り方
1)余分な脂肪などを除いた鶏もも肉の両面に(a)をすりこむ。
2)フライパンにサラダ油(大さじ1/2)を引いて、皮目から入れたら火をつけて、お肉に火が通るまで焼く。
3)お肉の入ったフライパンにレモン(1/2個)を絞り、はちみつ(小さじ1)を入れ、よく絡ませたら完成。食べるときは、そぎ切りにして召し上がれ。
まきさん:
「タコスといえば定番はひき肉ですが、このようなボリューム感のある鶏モモでも。
使用している『ガラムマサラ』は、カレーや炒め物にも使えるスパイシーな調味料。ごはんがマンネリするときは、新しい調味料を買うと、簡単に気分転換ができていいですよ。
このスパイスは唐辛子が入っているので、お子さんが召し上がるときには、このレシピの半量くらいにすると良いかな、と思います。
イメージは、鶏の照り焼きスパイシー風。ぺろっと食べれて、ご飯のおかずにもなる味付けです」
まきさん:
「この日はメキシコの言葉で乾杯をしてみたり(ちなみに『サルー!』と言いますよ)、ちょび髭をつけてみたり、メキシコ映画をみながら想いを馳せてみたり、麦わら帽子をかぶってみたり、ベランダで食べたりと、半日ぐらいかけて『メキシコごっこ』を楽しんでもいいかもしれません。
けれど、あくまで無理はせず、やりたい!と思えることをやるのがポイント。
料理は日々の暮らしに直結しているからこそ、より良くするために多くの工夫があると思うけれど、毎日真面目に、すごく美味しいものを作らなくてもいい。
できるだけリラックスしながら、ちょっぴりふざけながら、心地よくやれたらいいんじゃないかな」
作っては食べ、作っては食べで、あっという間に消えていく。そんな日々の繰り返しの中で、わたしは一体何をしているんだろう、と思うときがあります。
けれど、色とりどりの食材が並ぶスーパーを歩くとき、つやつやのトマトを冷たい水で洗う手触り、新しい調味料を初めて開ける瞬間、無心になりながら包丁で刻むときの音、お気に入りのお皿に盛り付ける緊張感、そしてお腹ぺこぺこの状態でごはんを口に運んだときの幸せ。
よく思い返してみれば、確かにそこには、ささやかな手応えと、自分を癒してくれるものがあって。
まきさんは取材中、なんども「料理はどこまでも自由で、本当に楽しいものだから」とおっしゃっていました。
もちろん「そんなふうには思えない!」というヘビーな日もあるけれど、それでも尚、心のどこかで料理を好きでいたいと願うのは、きっとここに理由があるからなんだろうと、小さく頷くことができたのです。
さてさて、今日はなにを食べようか。
いまのわたしは次に料理するときを、ちょっぴり楽しみにしています。
もくじ
まきあやこ
料理家 Food producer / stylist、Perch.主宰。テーマ性のあるオーダーメイドのケータリングやお弁当、イベントでのフードコーディネーションを手がける他、フードスタイリング・レシピ開発などを中心に活動中。著書に「やってみたら思ったより簡単だった!スグうま自炊生活」。
HP : https://www.makiayacoonaperch.com/
instagram : https://www.instagram.com/cateringteamperch/
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