【わたしと本棚】自分の好きなものは何だろう? 迷った時に、立ち戻る本(料理研究家・内田真美さん)
編集スタッフ 奥村
本と人との関係は十人十色。好きな本やそれが並ぶ本棚は、その人の生き方や気持ちともリンクしているかもしれません。
連載「わたしと本棚」は、さまざまな分野で活躍する方に、自宅の本棚とそこにおさまる愛読書を紹介していただく特集。
思い入れのある本にまつわるエピソードから、その人となりを紐解きます。
今回本棚を拝見するのは、料理研究家の内田真美(うちだ まみ)さん。
雑誌や書籍でのレシピ提案だけでなく、長年通い続けている台湾のガイドブックを出版されるなど、旅好きのイメージもあるお方です。
今回はそんな彼女のご自宅にある本たちを見せていただきました。
内田さん:
「この頃は自宅にいる時間が増えたことで、古い料理書や外国食文化の本を見直す時間がとれました。
食の本以外では江戸時代の文化にも興味があって、杉浦日向子さん(江戸風俗研究家)の著書は定期的に読み返しています。
自室に本棚もあるのですが、そこはあまり手をつけられていず混沌としていて、よく手に取るものはどちらかというとリビングに置くことが多いです。
旅に出る機会が多いので、その時すぐに取り出せるように各都市の本は1箇所にまとめて置いています」
食器棚の中や机の上、ソファの横など、本をリビングスペースのあちらこちらに置いているという内田さん。
古い料理書をはじめ、それだけで存在感のある大きさやデザインの本たちが、暮らしになじんでいる様子が伝わってきます。
今回はその中から思い入れのある2冊をご紹介いただきました。
自分の「好き」を確認し、探求できる2冊
「おいしい中国屋台」(浜井幸子 / 情報センター出版局)
内田さん:
「アジアの食文化を中心に、ガイドブックや旅エッセイを数多く出版されている浜井幸子さんの著書。
今まで中国の食の本というと『図鑑』のようなものしか持っていなかったのですが、この本はなかなか行きづらい場所のローカルフードが詳細に載っていて、読みながら旅をしているような気持ちに。
知らない土地の知らない食べ物が好きなので、読んでいるだけで夢見心地になれます。
わたしもアジアを旅するのが好きなので、浜井さんの本にとても信頼を置いていて、中国に行く際にはこの本をかならず読み返しています。本に載っている現地の食べ物を実際に食べられた時は、自分の中に新しいデータが記されたようで嬉しくなります」
「L’Atelier Brancusi Album」(コンスタンティン・ブランクーシ / Centre Georges Pompidou)
内田さん:
「ルーマニア生まれの彫刻家、ブランクーシのアトリエの写真集。パリの『ポンピドゥセンター』敷地内に復元されている彼のアトリエを見に行った際、記念に購入した図録です。
ずっと行ってみたかったアトリエの展示は、偶然性を装いながら必然なものの配置や色、目に入るものすべてが想像以上に好みでずっと眺めていられるほどでした。
もともと彫刻が好きだったのですが、わたしは彫刻が作られるアトリエも好きなのだと、この展示を見て感じました。
自分の好きなものは何だろう?心地よいものは何?と確認したくなる時に手にとる、大切な1冊です」
「読書」は内田さんにとってどんなものですか?
内田さん:
「わたしは幼い頃から、想像や妄想を糧にしている部分があります。
知らない土地に暮らす人々の家や庭園などの風景。そこで食べられる知らない食べ物。そこに対する興味や、想像を膨らませることの楽しさは、昔も今も変わらずに感じていることです。
そんな暮らしの断片を、家にいながらも垣間見られる本は、開くだけでいつでも異世界へ導いてくれる存在。その一瞬が、読書の楽しみだと感じています」
全4話でお送りしてきた「わたしと本棚」。好きな本だけでなく、それを読むシーンや、並ぶ風景からも、不思議とお人柄が伝わってきました。
今週末は、「自分の好き」を確認しながら、本棚整理をしてみるのも素敵かもしれません。
(おわり)
内田 真美(うちだ まみ)
料理研究家。夫と娘の3人家族。雑誌、書籍、
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