【インテリアの楽しみ方】第3話:家がもっと好きになるアイデア
ライター 長谷川未緒
アンティークセレクトショップ「REFACTORY antiques」店主・渡邉優太さんに、古道具を取り入れて、自分らしいインテリアを楽しむ方法について伺っている本シリーズ。第1話では、お店を訪問し、古道具の選び方や、使い方のヒントを、第2話では、自由に楽しむ家具選びやプチ模様替えの仕方、好きなスペース作りや植物の楽しみなどを拝見しました。
つづく第3話では、家をさらに居心地よくする工夫や、インテリアが素敵になる照明使いのポイント、雑貨の楽しみなどを伺います。
気に入らない部分をカバーする方法
好みの部屋づくりを実現している渡邉さんですが、じつはこの家に住みはじめたころ、好きではなかった部分があると言います。
渡邉さん:
「リビングの壁が焦げ茶色で、窓枠のアルミサッシが目立って好きではありませんでした。そこで、自分で窓まわりの壁の色をクリーム色っぽい白に塗ったんです。
▲塗装前のリビング。(写真提供:渡邉さん)
サッシ感が目立たなくなって、落ち着くようになりました。サッシと絡まない壁のほうは、アトリエっぽくてかわいいので、元のまま残しています」
▲コーヒーコーナーの壁面は、元のまま。
部屋が洗練された空間に見える工夫もありました。
渡邊さん:
「生活感があるのはいいと思っているのですが、ありすぎるのは避けたいので、コードがばらばらにならないようにまとめたり、壁のスイッチも好きな布で隠したりしています」
▲布を持ち上げると、中にはスイッチが。
住まいには、どこかしら気に入らない部分や、味気ないと思うところがあるもの。そういう場所は、DIYしたり、ポイントで工夫したりすることで、住まいの心地よさやお気に入り度が、格段にあがりそうです。
雰囲気を一変する間接照明づかい
シンプルなデザインながら、使い勝手がいいインテリアの中でも、渡邉さんの好みがよく現れているのが照明でした。
空間をやわらかく照らし、落ち着いた雰囲気を生み出す間接照明が、巧みに使われています。
渡邉さん:
「照明でインテリアの雰囲気はずいぶん変わります。煌々と明るいより、光源が直接目に入らない間接照明のほうが、僕はリラックスして過ごせます。目は暗さに慣れるので、ふわっとした明るさがあれば、ふだんは十分見えますよ。
ただ、手元を明るく照らしたいときもあるので、位置も高さもそのときの過ごし方に合わせて変えられる照明を気に入って使っています」
リビングに置いているクリーム色の照明は、バーを調整すれば照らす位置を変えられます。
使わないときは壁に沿わせておいて、ロッキングチェアに座って本を読むときには壁から離し、窓際の丸テーブルで作業するときはそちらに伸ばして使っています。
リビングの一角に作られたコーヒーコーナーに置かれた照明も、壁付けかと思いきや、じつはテーブルランプで、壁にはひっかけているだけでした。
渡邉さん:
「夜、コーヒーを入れるときとか、思いついたことをメモできるようにあちこちにペンとメモを置いているんですが、何か書くときには壁からランプを外してテーブルに置いています」
▲アメリカの60年代のミッドセンチュリーのランプ。
間接照明は部屋が広く見えるし、リラックスした空間にはなるけれど、手元が暗いのがネックでした。でも、必要なときに必要な場所を照らすことができれば、ぜひとも取り入れたい。
とはいえ、渡邉さん宅のような素敵なランプも、DIYする力量もありません、と訴えたところ、「クリップライトはどうでしょう?」と。
たしかに、窓枠や棚板などさまざまな場所にクリップで取り付けられる照明なら、工具いらずで好きな場所を好きなときに照らせて便利ですね。
▲サンルームのランプは、滑車をつけてレールをスライドできるようDIY。クリップ照明を使って工夫しても。
自分ならではのストーリーで、好きな雑貨を自由に飾る
寝室には、これはなんだろう?と思うような雑貨が飾られたコーナーがあり、アイテムについて尋ねると、1つ1つ渡邉さんの思い入れがあるものばかり。
たとえばなんとも言えない魅力に溢れているガラスでできたものは、ふすまの滑りをよくするために使われていた道具なのだとか。
渡邉さん:
「目につかない部分だから、人が見てきれいに見えるように作ったわけではなく、職人さんが機能を大切に考えて自分の美意識に従い、作ったのだと思います。
こういうものを置くことでインスピレーションが湧いてくるし、職人さんの心を感じたり、モノ作りに対する姿勢のようなものが受け取れます」
▲仕入れ時に見つけたこけしになる前の素地。造形にひかれ、穴を開けてドライフラワーの一輪挿しに。
蚤の市や骨董市で見つけた雑貨は、買うときはかわいいと思ったはずなのに、家に持ち帰って飾っているうちに、いつのまにかほこりをかぶってしまうことも……。
渡邉さん:
「つぶれた空き缶や拾った木など、他人からみたらゴミみたいなものでも、自分にとっては捨て置くのは惜しい、気になったものばかり。こういうものを手元に残して飾ることで人となりが感じられる、本人にとっての落ち着く空間になるのではないでしょうか。
スタイリストさんがストーリーのある舞台を作ってスタイリングするように、自分の中でのストーリーを持ち続けることも大事だと思います」
▲はじめての買い付けで訪れた秋のイギリスで、街路樹を歩いていたらヘリコプターのようにくるくる空から降ってきたというカエデの種を、古材で作った額に入れて。
植物で季節のしつらえ
渡邉さん宅では、季節のしつらえも大切にしています。
渡邉さん:
「ラグやクッションも季節ごとに変えますが、いちばん簡単に季節を感じられるのは、植物ですよね。
寝室に置いたネコヤナギは、枯れ枝っぽいけれど芽を出していて、冬から春に向けた次の季節への変化を感じられていいな、と思い、飾りました」
撮影だからふだんより多めと笑いつつ、植物を使うと、いつものインテリアを新鮮に楽しみ続けることができるということでした。
続く第4話では、いまの暮らしにぴったりの古道具の選び方やリメイク、DIYで実現する自分好みの部屋づくりなどをご紹介します。
(つづく)
【写真】MEGUMI
もくじ
渡邉優太
大学卒業後、「ザ・コンランショップ」やインテリア内装業、古道具の修理等を経て、2012年アンティークセレクトショップ「REFACTORY antiques」をオープン。国内外から古道具を買い付け、修理、販売をするほか、個人宅や店舗、施設等のリフォームや空間デザインなども行う。Instagram(@refactory_antiques)。3/27〜28、4/17〜18「森と湖のマルシェ」(飯能メッツァヴィレッジ)参加
ライター 長谷川未緒
東京外国語大学卒。出版社勤務を経て、フリーランスに。おもに、暮らしまわりの雑誌、書籍のほか、児童書の編集・執筆を手がける。リトルプレス[UCAUCA]の編集も。ともに暮らす2匹の猫のおなかに、もふっと顔をうずめるのが好き。
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