お客様係　江草

ちょうど1年前、高校のころからの仲良しな友人と、交換ノートを始めました。とっておきのノートを用意して、まずは私から。会うたびに手渡しをして交互に回しています。

毎日のちょっとした出来事を中心に、今度一緒にしたいことをメモしたり、ときにはイラストをつけたりクイズを出してみたりと。紅茶をお供にくつろぎながら思いのままに綴るのが、平日の夜のいい息抜きになっています。

お互いにたっぷり書いてくるので、気付けばもう3冊目に入りました。

＊　＊　＊

読み返してみると、楽しかったことやおちゃめなエピソードなど、くすりと微笑んでしまう話が大半なのですが、悲しかったことや「う～ん、どうしたらいいのかなぁ……」と頭を悩ませ、考え込んでしまう話もちらほら。

思えば、一緒にいるときは、そういった暗い話をあまりしなくなったように思います。

たまにしか会えない分、ブワッと舞い上がるように嬉しくなって、会えなかった時間を埋めるように勢いよくおしゃべり。そんななかでは自然と、楽しく過ごせる話題を選んでいるのかもしれません。

でも交換ノートには、感じたことや考えたことを思いのままに書いていい気がして。素直な気持ちを込められるのです。

そういえば高校のときも、友人には良いことも悪いこともどんなにささいな出来事だって、なんでも話していたっけ。

約束なんてしなくても、学校で毎日会うのが当たり前だったあのころ。ふたりで笑い合ったり、一緒に悩んだり、ちょっぴり落ち込んだり。同じ時を過ごして心を共有するなかで、お互いを深く分かり合えていた気がします。

今思うと、なんて幸せな日々だったのでしょう。

もう戻ることはできないけれど、なんてことない日常を交換ノートに綴ることで、あのころを彷彿とさせ、タイムスリップしているような不思議な気持ちを味わっているのかもしれません。

そう思ったら、交換ノートと触れ合っているときの、あのあたたかく懐かしい空気に納得がいくのです。

＊　＊　＊

恥ずかしくなってしまい直接はいえないような、友人を大切に思う気持ちや日ごろの感謝などを、あらためて伝えることができるのも、照れ屋な私にはうれしいです。

時々読み返したくなるような、友人からのやさしい言葉たちも詰まっていて。そんな愛おしい思い出が3冊分溜まったのがなんともうれしく、これからもずっと続けていきたいなぁとしみじみ思います。

次は私の番なので、このコラムを書きながら浮かんだ、あのころの大切な思い出話や友人への愛情を、伝われ〜〜と願いながらぎゅっと込めて、今夜も交換ノートを綴ってきます。

 

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