【話し下手なワタシ】第3話:夫婦にとって、ちょうどいいコミュニケーションとは

ライター渡辺尚子

みなさまは、誰かと会話するのが得意ですか? 私は、子どもの頃から、喋るのがとても苦手です。

もっと上手に話せるようになったらいいのに。そう思ったときに、「あの人」の顔が浮かびました。アナウンサーの山根基世(やまね もとよ)さん、私の憧れの人です。

1話目では、話すよりも聴く力が大切だと教わり、2話目では、聴くことが親子の関係を深める理由を教わりました。3回目の今日は、夫婦やパートナーとの会話について教えていただきます。
第1話第2話

 

夫婦の会話は、噛み合わないもの

テレビやラジオで、心に響く対談をなさっている山根さん。

あんなふうに会話できたらいいな、と憧れがつのります。

家では、パートナーとどんな会話をしていらっしゃるのかな。

プライベートの質問はちょっと図々しいので気が引けますが、「なんでもきいて」と言う山根さんに甘えて、思い切って伺ってみました。

そうしたら、山根さん、にやっと笑って「うちの会話なんて、ひどいもんよ」と言うのです。

山根さん:
「こないだなんて、私が亡くなった友人の思い出をしみじみと話しているのに、夫は台所でしいたけを手に『このしいたけ、どうやって食べる?』なんて言うんですよ! 夫婦の会話は噛み合わないものだなあと、つくづく思いました」

 

年に何回か、夫婦でじっくり向き合う

まるで我が家のようだとびっくりしてしまい、思わず「それはあんまりですねえ!」「そうでしょ!」としばらくわいわいと盛り上がってしまいました。

山根さん:
「だけど、年に何回か、ああ、これは聴かないといけないな、とか、私のことをじっくり聴いてくれるときとかがあって。相手の体から出てくる気配とかでわかるから、『聴きましょう』となります。

そういうときは、姿勢も眼差しも、息の仕方も変わる。聴こうというときは、なにもかもが変わって、しみじみと聴くし、じっくり聴いてもらえます」

 

無駄なおしゃべりこそ、豊かな腐葉土

そんなふうに、大事な話は耳を傾け、聴いてもらえる関係こそ、豊かだと思います。

そのために何か準備をしたり、気をつけたりしていることはあるのでしょうか。

山根さん:
「ふだんの会話は、とりとめもない、つまんないことばかりです。たとえば夫が時々話すのは、子どもの頃、川で魚釣りしたときのこと。

『釣りの上手なおじいさんがいて、みかん箱に餌を入れては川に持っていくんだよ』なんて、昨日のことのように細かく話していたり。

それを聴いていると、彼のなかにまだ少年が住んでいるんだな、って思います。

そういう無駄なおしゃべり、世間話みたいなものこそが、ふたりの関係の腐葉土になっていくのかもしれません。

とりとめもない話を聞いていくなかで、相手を理解するし、こちらも自分を語ることになる。そうやって、お互いの背景をなんとなく知ることで、ふたりの関係がただの一本の線ではなくて、広がっていくのだと思います」

 

金魚のあぶくみたいなものを大事にしたい

腐葉土、ということばにホッとしました。私が家族と話すことはいつも、無駄なおしゃべりのようなものばかりだから。

山根さん:
「それはそうですよ。毎日の会話のなかで、『生きるとはなんぞや』『愛とはなにか』なんて、あんまり話しませんよね。そうじゃなくて、『このサラダおいしいね』とか『このしいたけどうやって食べる?』とか、金魚のあぶくみたいなことをしゃべっているでしょう。

そんな無駄な言葉でおりなされていくことが、人生なのかなと感じます。そして、そういった金魚のあぶくを大事にしていくことが、人生を大事にしていくことかもしれないですね」

 

互いの話に耳を傾けて、喜びを分かちあう

金魚のあぶくのような言葉が降り積もって、腐葉土になり、倒れそうな私を守ってくれたり、栄養になって私を生かしてくれたりしている。

「人生は、隣の人で成り立ってるのよ。隣の人と仲良く暮らして、目の前の人を幸せにしていくことで、幸せな人生を送ることができるの。

その人と心を通わせるために言葉があって、その声を聴くことによって良いコミュニケーションを築けるの」と山根さんが言います。

身近な人の声を聴くことが、互いの幸せの一歩。相変わらず話し下手だけれど、そのことを残念に思うよりも、聴くことを通して喜びを分かち合いたいと思いました。

 

【写真】小澤義人

 

もくじ

 

 

山根基世

1948(昭和23)年、山口県生まれ。1971年、NHKにアナウンサーとして入局してから36年間、「関東甲信越・小さな旅」「新日曜美術館」「ラジオ深夜便」ほか、美術番組、旅番組、主婦や働く女性を対象とした番組や、ニュース、ナレーションなどを担当した。2005年、女性として初のアナウンス室長。2007年に定年退職後も、ドラマ「半沢直樹」のナレーションをはじめ、フリーランスのナレーター、アナウンサーとして活動中。同時に「声の力を学ぶ連続講座」を主宰し、地域作りと言葉教育を組み合わせた独自の活動を続けている。「感じる漢字」「ことばで『私』を育てる」「話したい、使いたい 心ときめくことばの12か月」他、著書多数。


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