【45歳のじゆう帖】「北欧、暮らしの道具店」が作るコスメ
ビューティライターAYANA
一緒にコスメを作ってみて
北欧、暮らしの道具店が、KURASHI&Trips PUBLISHINGとしてオリジナルのメイクアップシリーズを展開しはじめたのが去年の春。アイカラー5色、リップカラー3色でのデビューでした。そして今年の1月に、アイカラーの新色が3種類追加に。
これらの開発を私も少しお手伝いさせていただいていて、今回はその裏話というか、私が感じたことをお話してみようと思います。
北欧、暮らしの道具店は、その名の通りひとつのお店であり、またブランドであり、プラットフォームです。事業を多角的に展開する企業としての顔も持ち、スタッフの数は決して少なくありません。
でも、みなさんが共通して同じ理念のようなものを持っていらっしゃいます。私はこれまで何度もそのことについて驚いてきました。
とにかく毎回感じるのが「納得するまで話し合いたい」という姿勢です。
自分たちが本当に欲しいものを作りたい、なぜなら私たちはお客様を代表する存在だから──というのが彼女たちの姿勢で、マーケティング的視点で見れば、プロダクトアウト(メーカー主導の考え方)もしくはマーケットイン(ユーザー主導の考え方)のどちらか?という物差しがあるなか、北欧、暮らしの道具店はそれを両方もちあわせている会社だったのです。
例えば、ファッションデザイナーが「私が着たいと思う服を作っている」と発言し、ファンたちがそれに続いている──という構図は珍しくありません。しかしそれはデザイナーひとりが思っていること。
北欧、暮らしの道具店の場合、これがスタッフ全員なのです。なかなか、珍しいことではないかと思います。
ときめきの瞬間を、何度も見た
メイクアップシリーズを作りたいと、最初に声をあげたのは店長である佐藤さんでした。
きっとはじまりの段階ではスタッフはみんな「店長、何を言ってるんだろう?」と少なからず思ったのでは……と想像してしまうほど、私が関わりはじめた段階では、スタッフの多くが「メイクについて自信がない」「ほとんどメイクはしない」「いつも決まったものしか使っていない」というスタンスでした。
でもそれが、数ヶ月、半年、一年……話し合いを重ねたり、試作品を使ってメイクをしてみたりするうちに、みんなの顔がキラキラし出す、その瞬間を私は何度も目撃しました。
「私にもこんな色が似合うんだ」「やってみたらびっくりするくらい簡単だった」「今日は新しいアイカラーでメイクしてみました!」等々。
そのたびに、ああ、メイクっていいなと実感させてもらいました。ひとりの女性の──もちろん男性でもいいのですが──ごくごく個人的な毎日を、その彩りを、パッと変える力がある。景色が変わって見える。だから目線も上を向く。笑顔が増える。好奇心が育っていく。
「お客様代表」である彼女たちにその実感があると、この感動を伝えたい!という衝動が生まれるのは自然なことです。がぜん商品紹介ページにも熱が入ります。
その様子は、数々の記事の端々から、お客様たちに伝わりまくっているのではないでしょうか。
「メイクに(自分に)自信がない」という立場から「メイクがとにかく楽しいし、楽しんでいる自分が好き」に変わったスタッフが、いったい何人いるのでしょうか。その先にいるお客様たちにも、同じような変化があったらうれしいなと思います。
存在理由を追求して、たどり着くプロセス
KURASHI&Trips PUBLISHINGから生まれるカラーは、とにかく使いやすさにこだわっている、といえます。
それは開発をしている彼女たちが「メイクが苦手」という気持ちをリアルに持っていた経験があるから。「この色、私に似合うかしら?顔から浮いてしまわないかな」という不安に親しんできた過去があるからです。
肌なじみがいい、いつもの自分から浮くことがない。でも、無難じゃない。ここが大事です。
北欧、暮らしの道具店の根底には「こだわり」があります。誰でも似合う無難なものじゃなくて、ちゃんと考えて、吟味して、納得して、自分で選んだものを使いたい。
そこには知性もあるし、センスもある。コスメだって同じなのです。だから彼女たちは、納得するまで話し合うのです。
1月に出た、アンティークブラウン、ミルクティーベージュ、ミモザの3色。このうちミルクティーベージュは、開発の舵取りが結構大変でした。ベージュという肌に溶け込みやすい色はメイクに必要なのか?乗せて表情が変わらなかったら意味がないのでは?という疑問がどうしても拭えず、乗り気ではないスタッフがいたんですね。
そこに対して「あなたは必要ないかもしれないけどベージュは人気のあるカラーだから、出すことには意味がありますよ」ではなくて、「そんなあなたにはこんな使い方をするとベージュが映えますよ」と提案するのが私の仕事なんです。ベージュというまろやかな色が作り出す目もとの立体感、陰影、ニュアンスの価値を理解してもらう。
あるとき、彼女はそれを掴んだようでした。
まぶたに1色だけのせたときに生まれる繊細な陰影。別の色を重ねたときに生まれる奥行き。そこに魅了された彼女のなかには、これまで見てきたキラキラの瞬間がありました。
そうなると「ベージュって意味ないのでは?」と考える人に対して、誰よりも彼女が熱く語れるようになる。これがこのブランドの強みです。
どんな色を選んでも、あなたにはきっと似合う。その理由が知りたければいつでもドアを叩いてね。そう語りかけてくれるのが、北欧、暮らしの道具店のメイクアップシリーズなんだなと、貴重な瞬間に何度も立ち会った私は思っています。
▲上下ともに「SYMBOLIC EYECOLOR / シンボリック アイカラー/07 ミルクティベージュ」
【写真】本多康司
AYANA
ビューティライター。コラム、エッセイ、取材執筆、ブランドカタログなど、美容を切り口とした執筆業。過去に携わった化粧品メーカーにおける商品企画開発・店舗開発等の経験を活かし、ブランディング、商品開発などにも関わる。instagram:@tw0lipswithfang http://www.ayana.tokyo/
AYANAさんに参加してもらい開発した
KURASHI&Trips PUBLISHING
メイクアップシリーズ
AYANAさんも立ち会って制作した
スタッフのメイク体験
スペシャルムービー
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