【窓辺の相棒】第1話:育てて楽しい、使っておいしい、窓辺で育てるキッチンハーブ
ライター 小野民
暑さもやわらぎ、もりもりと旺盛だったベランダの緑やプランター菜園もひと段落。作業がしやすい気候になってきたこの時期に、ちょっと一手間、家のグリーンを秋仕様にしてみてはどうでしょう。
実は、植物を育てるリスタートに秋はぴったり。窓辺で育てるくらいの気楽さで、植物を育てられたら。さらに育てたものを利用したり、切り花にまでできたら素敵です。
そんな日々の楽しみがほしくて、フラワーアーティストの束花智衣子(そくか ちえこ)さんに、おすすめの植物や方法を全2回で教えてもらいました。
1話では、料理などにも利用できるハーブを。「意外と簡単なんですよ」と背中を押されて、身近で育てやすいハーブを、種から育ててみることにしました。
芽が出る嬉しさは格別! 種からハーブを育ててみる
育てやすさや使い勝手を考えて選んでもらったのは、タイム、フェンネル、ペパーミント、カモミールの4種。どれもホームセンターなどで買えるもので、10月頃に植えても育つもの。特に室内で育てる場合には、寒さを気にしなくても大丈夫です。
▲左上から時計回りに、タイム、フェンネル、ペパーミント、カモミール
タイム
丈夫に育ち、こんもりと小さな葉が密生して花もかわいいのが特徴。肉や魚料理のくさみ消しなどにも。
フェンネル
セリ科のハーブで、香りが豊か。サラダに少し入れたり、ディルを使う要領で魚介類などの風味づけに使えます。
ペパーミント
ミント類は、枝を切って水にさしておくだけも育つくらい丈夫。スペアミント、アップルミントなど種類が豊富なのも魅力。香りがよく、フレッシュな葉をミントティーなどに利用できます。
カモミール
日本ではカミツレと呼ばれるハーブで、りんごのような香りが特徴。花の中心の黄色い部分を乾燥させてお茶としても利用できます。
束花さん:
「種から育てるのはハードルが高く感じるかもしれませんが、まずは難しく考えないでやってみてほしいです。いくつかポイントを守ればきっと大丈夫。種から育てる方が経済的で、手塩にかけて育てる喜びもあって楽しいですよ」
種まきに必要なものを準備する
用意するもの
・培養土…種まき用やハーブ用に肥料が配合されているものが便利ですが、普通の培養土でもOK。
・セルトレイ…少量ずつ種をまくためのもの、卵のパックなどでも代用可。なければプランターなどに直接まいても。
・鉢底ネット…土がセルトレイの底から出ないようにひきます
・シャベル
・霧吹きや穴の小さなジョウロ
▲鉢底ネットは穴の大きさに合わせて切って、セルトレイの穴に被せておきます
培養土には必要な栄養も配合されているので、ぜひ使いたいもの。もしも以前使ったことのある土を使いたい場合は、土のリサイクル材を購入して混ぜる方法もあるので、ホームセンターなどで探してみてください。
種まき
1.培養土をセルトレイの6分目まで入れる
2.種の袋にある指示通りに種をまく
小さい種の場合は1つのセルに4〜5粒くらいが目安ですが、まく数や深さは植物それぞれ。まいた後にどのくらい土をかけるかも違うので、ここはきちんと守るのが芽を出すためのポイントです。
今回まいた種には、ごく薄く土を被せるだけ。かかりすぎないように慎重に。
3.種をまいたら、表面を湿らせておく
種は小さいので流れてしまわないように、霧吹きや小さな穴のジョウロで水をやり、表面を湿らせておきます。下から水が出てくるまでたっぷりかける必要はありません。あとは、芽が出るまで1週間〜10日程度待ちます。
<芽が出るまでは……>
・常に表面は湿っている状態を保つ
・日当たりがいい場所に置いておく
・室内の場合は、場所を移動させるなどして風に当てる
芽が出てからのお世話
▲種まきから2週間ほど。芽が出揃いました(束花さん撮影)
芽が出てからも、水やり、日光、風通しは大事。セルトレイに植えたまましばらく育ててもいいですが、双葉の次の葉が出てきたら、植え替えも可能です。
▲ミントとローズマリーなど樹勢が強いもの同士を一緒に植えないのも長く楽しむコツ。今回ならタイム、フェンネル、カモミールは一緒に植えても大丈夫です
植え替え時の注意は根を触らないようにすること。土を落としたりせずに、用意した鉢と土の中にそっと植えます。根の周りの環境が変わったことを悟られないようにするのが、特に変化に弱い植物には大切だそう。
束花さん:
「小さなプランターや鉢に植えておけば、キッチンに置いたり、窓辺や外に置いたりと移動が楽なのもいいところ。日当たりや風通しを考えて場所を変えられるから、育てやすいと思います。料理などに使うときに収穫しながら、室内なら冬まで楽しめると思います」
テーブルの上で完結。今週末は、グリーン仕事しませんか?
テーブルにレジャーシートを敷いて、思いのほか小さなスペースで完結する種まきや植え替え。庭や広いベランダがなくても、育てる楽しみは十分に味わえるのだなと改めて実感しました。ささやかでも土や緑に触れる時間は、心も軽くなるような。
種をまいてから芽が出るまでの少しソワソワするようなワクワクも、こもりがちな日々にはなんだか程よい刺激です。
次回は、秋の花の苗を手に入れて、寄せ植えと切り花を楽しむ方法をお届けします。お花の鉢植えがあると、家がぱっと明るくなりますよ。
【写真】西希
もくじ
SOCUKA(束花 智衣子)
フラワースクール卒業後、ウェディングフラワーのアルバイトを経て、2001年有限会社anelaに勤務、ウェディングを学ぶ。2002年株式会社H.P.FRANCEにてH.P.DECO花部門を担当。2007年フリーとして独立。
HP→http://www.socuka.com instagram→@socuka
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