【はじめての家づくり】第2話:新築にアンティーク家具をなじませて。収納は作らず、あるもので工夫

ライター 長谷川未緒

暮らす人の好みが自然に伝わってくる住まいは、とても素敵です。

今回、取材させていただいた山本菜々子(やまもと・ななこ)さんの家もそう。「THUMB AND CAKES」の屋号でニットや雑貨のデザインを手がけており、2018年には東京・代々木上原のマンションを取材したことがあります。

去年、長野県茅野市に移住したと聞き、第1話では、引っ越しを決めた理由や、新居のこだわりなどをお聞きしました。

続く第2話では、インテリアの話を中心にお伺いします。

第1話から読む

愛着のある家具を、できるだけ長く使うための工夫

天然木を多用しているからかリラックス感があり、調湿作用にすぐれているという塗り壁のやわらかい白さのおかげもあって、どこにいても気持ちよく自然光が入ってくる山本さん宅。

インテリアもどこか海外の別荘のような雰囲気ですが、家具は前の家で使っていたアンティークのものをなるべく使うようにしたそう。

山本さん:
「家具には愛着があったので、ほとんど前の家から持ってきました。

たとえば子ども部屋兼ゲストルームにはクローゼットを設けず、私が独身時代に買ったライティングビューローを収納代わりに使っています。当時はキッチンに置いて、食器を入れたり作業台にしたりしていました。

夫婦ふたりで暮らしていた頃は、仕事用の書類を入れてデスクとして使って」

山本さん:
「引っ越して雰囲気が合わなくなる家具はありますが、ペイントし直したりしてインテリアに合わせる工夫をします。

基本的には愛着があるものは長く使いたいという気持ちがありますし、とりあえずで買ったものは、もう手元に全然残っていないですね」

暖炉の前に置いてあるアーコールのソファも、前の家から使っていたもの。

山本さん:
「これはアンティークですが、背もたれのクッションがない状態で、格安で買えたんです。

この家用に、新しく購入したのはリビングに置いているダイニングテーブルとソファー、ペンダントライトくらいでしょうか。

以前使っていたダイニングテーブルはもともとガーデンテーブルなので、庭で使おうと思い、ニスを塗っている最中です」

アンティークは好き。でも、ほっこりしすぎたくなくて

山本さん:
「この家は、木の風合いを活かした家なので、アンティークの木製家具ばかりだと、全体にほっこりしすぎてしまうな、と。

それで、ダイニングテーブルにはリノリウムのラウンドテーブルがいいと思い、ようやく見つけました。マスプロダクションズというイギリス人とスウェーデン人デザイナーが作っている家具です。

私はベーシックなタイプにしましたけれど、天板や脚の組み合わせを選べるんですよ」

この家の建築士事務所を選んだときも、木の使い方がスタイリッシュなところが気に入ったそう。

古いものと新しいものをミックスさせる山本さん好みのバランスがありそうです。 

山本さん:
「アンティークの家具は好きなんですけれど、そればかりだとどうしても重たい印象になったり、ちょっと昔の家っぽくなったり。
それも素敵ですが、私自身はもう少し軽やかさもほしいので、古いものばかりではなく新しいものもミックスして取り入れるようにしています」

新調したソファーは、HALOというブランドのもの。アンティークとモダンがほどよく調和したデザインです。 

山本さん:

「前に使っていたのは、買ったときすでに古くてクタクタになっていたので、新しいものにしました。

以前このソファーを見たときにいいなと思っていたんです。本当は何シートも組み合わせて売られているんですけれど、この家には大きすぎるので、両端のパーツを買い、2シーターのように使っています。

布張りのソファーが昔から好きで、座った時にたっぷり奥行きがあるのもいいな、と。

日本製のソファーもいろいろ見たんですけれど、コンパクトめに作られているものが多いんですよね」

ペンダントライトはデンマークの照明ブランド、レ・クリントのもので、こちらも前からほしかったのだとか。

山本さん:
「プリーツタイプのライトはちょっと懐かしい感じが古いものとも相性がいい気がして好きなんです。本当は壁につけて伸びるウォールランプを使いたかったのですが、つける場所に悩み、結局はダイニングテーブルの上に使えるペンダントライトにしました。

意図したわけではなかったのですが、やはり新しい家の家族が集まるリビングには、新しい家具のほうが合わせやすかったのかもしれません」


地形を活かした間取り、コストを抑えた収納

リビングから、浴室、寝室、仕事部屋へと続く廊下は数段ステップを下がります。

山本さん:
「ここは山型に盛り上がった土地で、家を建てるにあたってある程度平らにしたものの、土を捨てるのはすごくお金がかかるんです。

なので、空間の区切りにもなるし、盛り上がりを活かしてスキップフロアにしましょうということになりました。

そのおかげでリビングは高さがあるので見晴らしがよく、抜けのある景色が楽しめていると思います」

山本さん:
「廊下の床を下げたので、その上には7畳のロフトを設け、個室に収納を作らず、ここに集約しました。商品のストックとかオフシーズンの衣類などを置いています。上に持ってあがるのは大変なんですけれど、予算の関係と、部屋を広く使うためにもロフトにしました」

浴室は扉のないつくりで、洗面台が存在感を放っています。

山本さん:
「洗面台はDURAVITというドイツのものです。両脇の余白がとくに気に入り、この洗面台を軸に浴室のインテリアを考えました」

山本さん:
「カーテンで仕切るだけにして開放感を出し、洗濯をしながら外を見たいので、窓をつけてもらいました。アイロンもここでします。収納はありませんが、必要なものはカゴにしまうなどして生活感をカバーしています

タオルや消耗品のストックなどを入れている棚は、前の家では玄関に置いてスノードームを飾っていたもの。あえて収納や扉を設けなかったことは、開放感だけでなくコストカットにもつながりました。

家のあちこちに素敵なイラストや写真が飾ってあるのも印象的でした。

山本さん:
「アートは夫も私も好きで、どこに置くかは決めずにちょっとずつ買っていたんです。今はここに置こう、あそこに置こうと、あちこち飾って楽しんでいます」

ずっと使い続けているものと、新しく買ったもの。その匙加減が見事で、落ち着くけれど、おしゃれで洗練されたインテリアの秘密を垣間見たようでした。

続く第3話では、キッチンに次いでお気に入りという仕事部屋を拝見。また、移住して変わったこと、これからについて伺います。



【写真】鍵岡龍門




もくじ





山本菜々子

THUMB AND CAKESとしてイギリス菓子やアイシングクッキーの製作や、SWEEPとしてビンテージの仕入れやオリジナルの雑貨デザインなども手がける。訪れた海外でケーキやパッケージの可愛さからお菓子をデザインする事に魅了され、シュガークラフトを学ぶ。2007年より活動を開始し、イギリス菓子やシュガーケーキ、アイシングクッキーなど、雑誌やイベントなどの菓子制作に携わる。2017年よりキルト作家のTIPTOEと共にSWEEPとしてイギリスをテーマに菓子製作やオリジナルの雑貨デザインなども手がける。HPはhttp://thumb-and-cakes.comから。Instagramは@thumb_and_cakesから。


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