【変わることって案外たのしい】後編:自分の「好き」を掘り下げれば、何歳になっても世界は広がっていく
ライター 嶌陽子
当店の連載「45歳のじゆう帖」や、オリジナルメイクアップシリーズの開発アドバイザーとしてもおなじみのビューティライター、AYANAさん。
先日、初のエッセイ集『「美しい」のものさし』(双葉社)が出版されたのを機会に、AYANAさんにじっくり話を伺っています。
AYANAさんが思う「美しい」や自分の外見との向き合い方について聞いた前編に続き、後編では年齢と共に訪れる変化について聞いてみました。
年齢を重ねたからこそ気づけた、「変わることは悪いことじゃない」
現在、45歳のAYANAさん。20代、30代の頃と比べて、やはり変化は感じているといいます。
AYANAさん:
「朝なかなか起きられなくなったとか、視力が落ちたとか。年齢だけでなく、生活スタイルや環境などに因るところもあるでしょうけれど、前とは違うなと思うことはたくさんあります。
鏡を見ても、前はなかったはずのしわやほうれい線に気づいたり。もちろん落ち込むこともありますよ。
3年前に離婚し、同じ年に “ビューティライター” と名乗るように。そんな大きな転機もあり、40代になってからは特に変化を感じるようになりました」
AYANAさん:
「一方で、45歳にもなると、20代、30代と比べて過去をしっかり振り返ることができるなと思うようになりました。
若い頃って、特に熱量や純粋さなどについては “変わらないことの価値” を重視する気持ちもあったような気もします。でもこの歳で振り返ると、変わらざるを得なかったことも含めて、変わることは悪いことじゃないって思えるんです。
変化というと『しわが増えてきた』とか、ついネガティブなものに目が向きがちですがけれど、『去年と違う考え方ができるようになった』『こういう言葉が理解できるようになった』っていう変化もありますよね。
そうとらえると、見た目の変化なども含めていろいろなことを許せる気がしています」
「なぜ好きか」を考えた瞬間から、相手との関係が生まれる
AYANAさんが本の中で書いていて印象的だったのが「憧れの対象がいるのは幸せなこと」という言葉。憧れの対象は、自分がどうなりたいかを映す大きなヒントになるから、というのがその理由です。
ただ最近、年齢とともに憧れの対象や自分がどんな人になりたいかが、以前と比べてあやふやになっているのも事実。そんな思いをAYANAさんにぶつけてみました。
AYANAさん:
「年を重ねれば重ねるほど、ロールモデルの数は減っていくんですよね。たとえばテレビに出ている人たちを見ると、明らかに20代が多くて、憧れの対象を探し出すのはなかなか難しい。もちろん年下のロールモデルがいるのは全然ありだとは思いますけれど。
しかもこの年齢になると、外見だけでなく考え方もより大事な要素になるというか。そういうものが表情に出ているような人をロールモデルにしたい。そうなると、よけいに見つけるのは難しくなってくる。だから探す努力っていうのは若いときよりも必要な気がします。
AYANAさん:
「もちろんロールモデルは人じゃなくてもいいと思うんです。雑誌で見た暮らし方、音楽、小説、何でもいい。自分の変化に沿った理想の空気みたいなものをとらえていくこと、それを更新し続けることは大事だなと思っています。
ただ、その際に欠かせないのは『どうして自分はそれが好きなのか』を考えること。『好き』や『いいな』だけだと、自分の関係のないもので終わってしまいますよね。
なぜ好きなのかを考えることで、その対象が自分と関係してくる。それに好きな理由を探ることで、自分はどういう人間なのかも分かってくると思うんです。
私は20代の頃から音楽や映画、ファッションや人など、好きなものの系統がわりと似ていて。そういうスタイルなどを少しずつ真似していくうちに、『自分はこういうふうになりたいんだな』と気づいていった気がします」
AYANAさん:
「人って自分と全然違うものには惹かれないはずなんですよね。好きな対象が一見全く自分とは違う世界の人やモノだと思っても、必ず自分との共通点はあるはず。それを明らかにして、そのスタイルを取り入れてみる。そうやって自分の糧にできたらすごくおトクだなあって思って。
それこそが年を重ねてからの “変化” だと思うんです。若い頃の『A地点からB地点へ行く』変化とは違って、もっと広がっていくイメージ。『私ってこうです』と決めつけていたのがもっと多様になって、視野も広くなっていくというか。そんなふうに変化していけるなら、年を重ねるのも悪くないのかなと思います」
日常の中の「好き」を逃さず見つめたい
年齢による変化に戸惑いを感じつつ、「どうすれば自分自身も、周りの人に対しても心地よくいられるんだろう」と考えることが多くなっていた日々。AYANAさんの話を聞いて、そのヒントは自分の身近にたくさんあるのだなと気づきました。
日々の暮らしの中で自分が『好き』『美しい』と思った瞬間を逃さず、その理由を立ち止まって考えてみる。そんなふうにして自分の世界を少しずつ広げていく行為は、年齢を重ねれば重ねるほど深みを増す、大人の醍醐味なのかもしれません。
日々ままならないこともたくさんあるし、落ち込むこともあるけれど。AYANAさんの話を思い出すたびに、この先さらに年齢と共に変わっていくことがあっても、なんとか自分とうまく付き合っていけそうな気がするのです。
【写真】丸尾和穂
もくじ
AYANA
ビューティライター。コラム、エッセイ、取材執筆、ブランドカタログなど、美容を切り口とした執筆業。過去に携わった化粧品メーカーにおける商品企画開発・店舗開発等の経験を活かし、ブランディング、商品開発などにも関わる。
11月18日に初の著書『「美しい」のものさし』(双葉社)が発売。
instagram:@tw0lipswithfang http://www.ayana.tokyo/
AYANAさんに参加してもらい開発した
KURASHI&Trips PUBLISHING
メイクアップシリーズ
AYANAさんも立ち会って制作した
スタッフのメイク体験
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