【快眠ラバー】第1話:すっきり起きてバテずに動ける「よい眠り」への近道って?

編集スタッフ 岡本

熱帯夜で寝苦しい夏。

汗でべたついたり、冷房をつけてもしばらくすると寒くなってしまったり、なかなか快適な眠りに辿り着けません。暑さでなにもしなくても体力を奪われるこの季節だからこそ、夜はしっかり眠って体を休めたいところ。

この特集では、寝苦しい夜にさよならするためのノウハウと、夏の夜の味方になってくれる安眠グッズをご紹介します。

お話を伺ったのは、睡眠コンサルタントの友野(ともの)なおさん。

第1話では、知っておくとためになる睡眠のメカニズムについて教えていただきました。

 

「脳と体」は順番に休んでいる?

友野さん
「私たち人間は、レム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しながら眠っています。

レム睡眠とは、体の休息時間。体の力は抜けていてリラックスしているけれど、脳はゆるやかに働いています。夢を見るのはこのレム睡眠のタイミングですね。

日中に得た情報や感情の整理をしていて、心の健康を保つのに大切な時間です。

一方ノンレム睡眠は、脳の休息時間。1〜3まで深度が分かれていて、3が一番深い眠りの状態です。

『成長ホルモン』が分泌される時間帯で、子どもにとっては文字通り体や心の発達させるためのホルモンですが、大人にとっても美容成分など健やかな体をつくるのになくてはならない存在なんです」

 

目覚めのいいタイミングってあるの?

友野さん
「このレム睡眠とノンレム睡眠の1セットをだいたい60〜120分間隔で繰り返して朝を迎えます。

よく睡眠時間を90分刻みで考えると目覚めがよいと言われることがありますが、それはあくまで平均値。90分周期を意識しなくても大丈夫ですよ」

寝ているあいだに情報を整理したり、ホルモンを分泌したり。私の知らないあいだにも、脳や体は心地よい状態を目指して調整してくれているんですね。

ここで気になることがひとつ。「よい睡眠」ってどんな状態を言うのでしょう。

 

睡眠は「量」と「質」で考えて

友野さん
「よい睡眠については、『量と質』で考えると分かりやすいですよ。

量については年齢によって若干差が生じますが、18歳〜60歳くらいまでの大人であれば7時間程度が理想です。子どもは10〜13時間くらい。

睡眠は大人にとっても大切ですが、子どもにとっては心と体をつくるのにとても大切な時間です。たっぷり寝かせてあげてください。

そして、『睡眠のゴールデンタイム』と言われる0〜6時をまたぐように眠ることでホルモンや体温のリズムが整いますよ」

 

睡眠の質は「昼間の自分」が答えに

友野さん
「質については、暮らしの中に答えが隠れているんです。

人は日中活動するために睡眠をとっています。なので朝スッキリ起きれる、昼間バテずに働けるなど、起きている時間の自分の状態に満足しているかどうかで、質の高い睡眠を取れているかが分かります。

夜中に何度も起きたり、夢をたくさん見たりしていても、日中の体が元気で気持ちも前向きならば良質な睡眠がとれている可能性が高いでしょう。逆に、夜中一度も起きずに朝を迎えたのになんとなくだるいのであれば、改善すべき点があるのかも。

大切なのは、昼間の自分に満足できているか、充実していると感じているかという点です」

妊娠出産を機に、夜中に2,3度目覚める習慣になっていたここ数年。ちゃんと眠れていないのかなと気になっていましたが、朝はわりと気持ちよく起きれているから大丈夫かもとこのお話を聞いて少し安心しました。

睡眠がいかに身体や心の健康と結びついているかが分かります。では、心地よい眠りに入るためのポイントはあるのでしょうか。

 

熱を逃すのがニガテな大人には……

友野さん
「眠りの入り口として、手足が温まっていることが挙げられます。

人間の体温には、『皮膚の温度と内臓の温度』の2種類があります。そのうち内蔵の温度のことを深部体温といって、この深部体温が下がると眠気が訪れます。

子どもって眠くなると手足が温かくなりますよね。あれは手足から熱を逃すことで(放熱)、深部体温が下がっているからなんです。

でも冷え性の人など、大人は熱を逃すのが苦手な場合も。

そんなときは、お風呂にゆっくり浸かったりレッグウォーマーをつけたりして、外側から手足を温めてみましょう。

深部体温は体温計などで測ることができないのでどれくらい下がっているかを気にするのではなく、『手足が温まっている=眠りやすい状態』という認識を持って入眠のきっかけづくりにしてみてくださいね」

眠っているあいだの体の変化や、理想の眠りについてお届けしました。

レム睡眠って? ゴールデンタイムっていつ? など、一度は聞いたことがある言葉をきちんと理解してみるとぐっと快眠に近づくかもしれませんね。

次回はいよいよ、夏ならではの寝苦しさを解消するコツについて教えていただきます。

(つづく)

【写真】滝沢育絵

 

もくじ

友野 なお

睡眠コンサルタント、産業心理カウンセラー。睡眠を見直すことで体質改善に成功した経験から睡眠を専門的に研究。睡眠の専門家として講演会やグッズ開発、執筆活動などを行う。4歳と2歳の子どもを育てる二児の母。著書に「ぐっすり眠れる不思議な塗り絵」(西東社)「ねこ先生クウとカイに教わるぐっすり睡眠法」(KADOKAWA)など。HPはこちら http://tomononao.com/


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