【ロングなふたり】後編:いまこの経験は、きっとどこかに繋がっているなぁって。(青木 × 齋藤)

ライター 長谷川賢人

ふだんはせわしなく、仕事と向き合うクラシコムのスタッフたち。ゆっくり、じっくりと、お互いのこれまでを振り返って話す時間は……実はそれほど多くありません。

でも、あらためて話してみると、人となりがもっとわかったり、新鮮な発見が得られたりするもの。そこで、スタッフ同士でインタビュー(というより、おしゃべり?)してみる機会を持ってみることにしました。

今回の出番は、“よしべ” ことスタッフ青木と、スタッフ齋藤。ふたりとも、クラシコムで10年以上、仕事を続けてきました。社歴が “ロングなふたり” のおしゃべり、後編は齋藤がクラシコムに入社するところからはじまります。 前編をよむ

 

「その人の半径1メートルを良くするような仕事」がしたい

青木:
齋藤さんって、もともと建築設計事務所に勤めていたんですよね。どういうきっかけで、建築やインテリアが好きになったんですか?

齋藤:
母の影響があるかもしれません。雑誌を借りて見るうちに、部屋の模様替えが好きになって。妹の部屋を大晦日にDIYもしました。

青木:
大晦日に?!

齋藤:
押し入れを真っ白のペンキで塗って、カードや照明を飾ってみたり。雑誌で見てやってみたかったんですね(笑)。

大きなきっかけになったのは、高校生のときに家庭科の選択授業で「衣食住」のどれかを選ぶ機会があったんです。私はよしべさんと違ってお裁縫は苦手だし、料理も得意ではなかったけれど、家という存在がすごく好きで。

もっと勉強してみたくて、家政学部にある建築専攻に進みました。「住む」や「暮らす」というキーワードが身近にある学びで、日々の課題や模型づくりに奮闘していました。でも、卒業制作を提出するまでは就職活動に本腰を入れられず、それを終えても進路はなんだか悶々としてしまって。

そんな私に、研究室の先生が知り合いの建築設計事務所を紹介してくれて、働くことになりました。5人ほどの事務所で、戸建て住宅や保育園の設計監理をしたり、歴史的な建築物の改修をしたりしていました。ほんとうにゼロからのスタートでしたね。みなさんのお手伝いからはじめてみるような感じです。

青木:
でも、そこから始めていけるなら、あたたかい職場ですねぇ。クラシコムに入ろうと思ったのは、何かしら気持ちの変化があったんですか?

齋藤:
勤めて3年が経った頃から、もっと暮らしに寄りそった、「その人の半径1メートルを良くするような仕事」が自分には向いているかもしれない、と感じてきたんです。

青木:
家という箱の設計じゃなくて、もっと暮らしと身近な関わり方にしたかったんだ。

齋藤:
そういえば大学の卒業制作でも、寄り道が楽しくなるような「地下の活用」をテーマにしていて、その頃から「視点や見方を変えると、日々が変わっていくこと」に興味があったのかもしれないです。

青木:
「こうすると、見える世界が変わるよ〜」っていう提案ですね。

齋藤:
同じような家に住んでいても、どこかに手をかけたり、お気に入りの物を置いたりするだけでも全然ちがって感じられますよね。当時の自分がそんなふうに暮らせてはいなかったかもしれませんが、そういうことに携わっていきたい気持ちが大きくなっていました。当時使っていたノートの端っこにも「私は今、何をしたいんだろう?」と書いていたり。

あとは、当時の仕事で、70代くらいのご夫婦が住むお家の改修工事で見た景色にも大きく影響されました。そのお家には『暮しの手帖』のバックナンバーがきれいに並んでいたり、訪れるたびに奥さんが手作りのシュークリームやプリンを差し入れてくださったり、季節ごとに玄関飾りが変わっていたりして、そのどれもが気持ちよかったんです。

「家」に関わる仕事は一緒でも、住む人が無理なく、楽しく、気持ちよく暮らせることを手伝えないかな……と調べはじめ、ある日クラシコムの求人に出会いました。その内容が、私が思っていたこととぴったり合ったんですね。

 

スタッフに多いのは、居るのが上手な人?

青木:
当時だと、どういう職種として入社したんでしょう?

齋藤:
「アシスタントバイヤー」というかたちで、商品ページの作成をしたり、発注や在庫管理、電話対応をしたり。人数が少ない分、だいぶ幅広いですね(笑)。クラシコムでも、またゼロからのスタートみたいな感じでしたが、どの仕事でも自分が好きだったコトやモノと繋がっている気がして、気持ちがよかったのを覚えています。

青木:
最初に会ったときから、齋藤さんは「いつも堂々と居るなぁ」って印象がすごくあったんですよね。

齋藤:
えー?! そうなんですか?

青木:
実店舗のお店番として来てくれたとき、店内業務を一緒にやっていたじゃないですか。店舗で働く齋藤さんを見ていて、「居るのが上手な人」だと思っていました。

齋藤:
初めて言われました。居るのが上手かぁ……。

青木:
言い方が合っているかわからないから、伝わるといいけれど(笑)。

齋藤:
「自分のことだけでなく、周りの人や環境もふくめて大事にしたい」という真面目さみたいなものが、どこかにあるんでしょうか。

青木:
周りの人との関係性を考えるのは大きいかもね。若い頃は何も持っていなくても、どうにか頑張って、自分の居場所を作っていくようなところがあると思うんです。でも、それは自分の力だけではなくて、実際は周りに生かされていることも多いものじゃないですか。

齋藤:
ふと声をかけられたり、手を差し伸べてもらったり。

青木:
そういう佇まいがある人っていうのかなぁ。それは、もしかしたらスキルみたいなものといえるかもしれないし、その人が持つ「知性」の一つなんじゃないかな、と思ったんです。

「居るのが上手」って、とても難しいことなんですよね。ただ、ふしぎと、クラシコムには居るのが上手な人は結構多い気がしています。

 

働くほどに、“巡り” がもっとよくなりました

齋藤:
クラシコムも社員が増えて、会社としても大きくなっていって。私はずっといるから、周りからも「変わったでしょう?」と聞かれることもあります。

青木:
そうだよね。オフィスも引っ越したり、スタジオが増えたり、ハードな部分は変わってますね。

齋藤:
でも、お店や会社として「大事にしていること」が変わっていないな、と信じられているんですよね。あとは、お客様に対する気持ちや、クラシコムで働く人に対しても、安心感があります。だから、そういうところの変化はあまり感じなくて。

青木:
そうですね。確かに変わってるんですけどね。でも、確かに変わってないかも。

個人的に求めてることは変わりました? 仕事だったり、プライベートだったり。「大人になったらこうなりたいと思っていた」みたいなことだったり。年を重ねて、持っているスキルも変わっていって、できることが増えていくと、欲も広がっていくんじゃないかなって。

齋藤:
それでいうと変わってないかもしれないです。クラシコムでの仕事を重ねていく中で、自分が向き合いたいと思っていたことが「こんな形でもできるようになった」と感じるんです。

お客様からの反応を吸収して、考えて、発信して。あらゆる場面で、チームや会社でコミュニケーションを取りながら、また次の方向へ進んだり、ときに方向転換したり。そういう “巡り” を思うようになりました

青木:
おー! それは「循環する」という “巡る” ですか?

齋藤:
そうそう。巡ってきたな、とすごく感じます。「もっとこうしたい」という欲よりも、今まで自分の中になかったものが増えたり、スキルとして全然持ち合わせていなかった角度ができていったりすることで、「誰かに対して関わっていきたい」という入社前に抱いた思いを変わらずもっと、このクラシコムという場所で一緒にやっていきたいです。

また仲間が増えることで、やれることがもっと増えて、自分のやりたいこともそことマッチしている。それが “巡り” としても気持ちいいなぁ、と思えるようになりました。

青木:
年々、その “巡り” の輪が大きくなったり、よいサイクルが回ったりしていってるイメージですね。「同じ職場で仕事を続けて飽きないですか?」と聞かれたこともあるけれど、齋藤さんなりのそれへのアンサーみたいな感じも受けますね。

 

今、この経験は、きっとどこかに繋がっている

齋藤:
プライベートでは、子どもが生まれて家族が増えたり、歳を重ねる中で「起きたら腰が痛い」みたいなつらさが起きたり(笑)、いろいろありますよね。でも、昔から「今のこの経験は、きっとどこかに繋がっている」と思っているんです。

青木:
私もまったく同じ!そうそう!「これも、あとで可愛い思い出になる」みたいな。

齋藤:
その時、その時は、つらさや後悔があるもので、それが起こらなかったらベストかもしれないけれど、起こったことが悪ではないはず、という思いがあります。

青木:
起こったことは悪じゃない、っていうのは本当に、本当にそうですよね。クラシコムではよくある景色ですけど、失敗は失敗でも、「ここからどうしようか」と共に考えていける。そのことに、より余裕を持って臨めるのが、会社という存在なんだと思っています。

ミスは起こらないほうがよいけれど、「ミスは起こるものだ」とマネージャー以上の人や社歴の長い人たちは、特に思っている節があって。そう思っているから、新しく入った人がミスに対して青ざめていても、「大丈夫だよ〜」と声をかけて、それを本当に大丈夫にしていけるんですよね。これも齋藤さんの言う “巡り” の一つで、多くの人が関わり合う会社というまとまりがあるから、よりサポートし合えるのかもしれない。

齋藤:
そうですね。今はその “巡り” の感覚が、家庭やプライベートの方にも浸透してきたなぁって、思います。

青木:
そうね。失敗したことを前より引きずらなくなった。気持ちの上では引きずるけれど、表現としては、あっさりしている方が助かる場合もあるんだな、というのが見えてきて。淡々と助け合うみたいなことがわかってきたかもしれません。

齋藤:
クラシコムで仕事をする10年以上の中で、何回も何回もその経験があったのは、私にとってよかったことです。私は産休に2回入って、戻ってくる時には人生で初めて経験する新しい感情だったなぁ、と向き合いましたが、年月を重ねる中で「その感情も宝だな」と思うようになれたかもしれないです。

青木:
傍からは、たぶんなめらかに上手にやってきた、と見えてしまいそうだけれど、実感を持って齋藤さんがそう言えるのは、日々がんばってきたからこそ思えるんでしょうねぇ。

齋藤:
やっぱり本人なりには必死なんですけどね(笑)。でも、この “巡り” の良い時間が続くといいなぁ、とは思います。

青木:
部屋の植物も、3日くらいお出かけして元気がなくなっていると、すこし心の距離ができてしまうものですけれど、だからこそ「手をかける」っていうことが大事で、それは自分が居る世界も同じなんでしょうね。

私にとっては自分の幸せが、周りの「大丈夫」に支えられてるいる感覚があるし、その世界の一部になるのが、やっぱり現時点でのピュアな願いであって、自己実現なのかも。この大事な世界がないと自分が困るんだよなぁ、と思っていて。

齋藤:
本当に、そうですよね。最近は、建築設計事務所で働いていた頃の至らなかった自分に、先輩たちがかけてくれた言葉や教えてくれたことを、ふと思い出すことがあります。当時の先輩たちの年齢を自分が超えて、新しく入ったスタッフに教えたり話したりする機会も増えて、マネージャーとしてメンバーと密にコミュニケーションを取ったり、自分で判断しなければいけないシーンも出てきます。

仕事をすることにしても、人としても、成長できているのかなぁ。でも、よしべさんが言うように「点」で見ていくと、やっぱり確実に変わっているんでしょうか。

青木:
最初の頃から「居るのが上手」といった印象は変わらないけれど、齋藤さん自身の仕事や役割は増えていて。それでも雰囲気は変わらないというのが、実は自信を支える裏付けになっているんじゃないかなと思いました。うん、大丈夫。

(おわり)

【写真】川村恵理

 


もくじ

 


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