【クラシコムのしごと】撮影に丸一日密着してみると…。当店スタッフがつくる「着用レビュー」の裏側。
編集スタッフ 津田
北欧、暮らしの道具店のスタッフたちの働く姿をお届けしているコラム。今回は「着用レビュー」の裏側をご紹介します。
3月初旬の、ある日の撮影に密着してきました。当店のファッションアイテムをご購入くださった方にはきっとお馴染みのコンテンツは、こんなふうに作られています。
「当店のスタッフが着用してみたら?」
着用レビューは、当店でファッションアイテムのお取り扱いをスタートした2015年、お客さまからいただくサイズやコーディネートのお問い合わせに答えるコンテンツとしてはじまりました。
当時から、お客様に代わって身長別のスタッフが試着する、というコンセプトは変わることなく、試着も、撮影も、記事をつくるのも、すべてお店で働くスタッフが担当しています。
制作を担うのはストア編集グループ。この日は青木(入社13年目)と栗村(入社5年目)が、それぞれ担当商品の撮影をしていました。
AM9時、撮影前の準備はこんなふう
3月のある日、午前9時。東京・国立にあるクラシコムのスタジオに行くと、すでに撮影の準備が始まっていました。
この日は、3月から4月にかけて発売されるトップス2つとワンピース1つの着用レビューをまとめて撮影するそう。メインで担当する栗村が、まずは動画チームと相談しています。
田中(動画チーム):「動画で見たいところって、どんなところですかね?」
栗村:「うーん……、実際に、自分くらいの身長の人が着用した時にどうなのかが一番気になりますよね。あと、この服ならではの、とろんと揺れる感じは、写真より動画のほうが伝わるのかなって思ってました」
田中(動画チーム):「じゃあ、前と同じく、どの身長のスタッフにもくるくる一周してもらいましょうか。裾の感じとか、自然と目がいきそうです」
着用レビューの記事に動画を載せるのは、実は今年からあたらしくチャレンジしていること。どんなふうに紹介するといいか、システム面を含めて、まだまだ手探り。「小さく試して、気づきを言語化する」、そんなフェーズにいます。
試着スタッフは6名、順番にスタジオにやってきます
打ち合わせの後は、試着するスタッフが次々とやってきました。
この日は全部で6名。バイヤーの竹内と郡、商品プランナーの市川と斉木、デザイナーの野村、そして店長の佐藤。入れ替わり立ち替わり、みんな、いつもの業務の合間にスタジオに来ているのだとか。
それぞれコーディネートをつくり、商品の着心地などをレビューして、サクサクと撮影を終えていきます。その手早いこと!
試着する数にもよりますが、概ね1人30分から60分ほどで戻っていきました。
どんどん、質問を投げかけていきます
こちらは、商品プランナーの市川が『「品よく、柔らかく」とろみ素材のフレアブラウス』を試着している様子。
実際の商品を着用するのはこの日がはじめて。
生地のこと、サイズのこと、コーディネートのこと、肩まわりの動かしやすさなど、栗村がいろいろな角度から質問を投げかけていきます。
栗村:「こういう『とろみ素材』の服って、普段からよく着ますか?」
市川:「いや、実は一枚も持っていなくて……」
栗村:「そうでしたか! 今回、実際に試着してみてどうですか?」
市川:「これまで選んでこなかったから不安でしたが、エレガントすぎないのがいいですね。ちょっときれいな格好をしたい時ってあるんです。食事に行く時とか、保護者会とか。そういう日に重宝しそう。あとは着てみたら、案外手持ちの服と合わせやすいと思えました」
栗村:「サイズはどうですか? 動かしにくいな〜とか、ちょっとでも気になるところはないですか?」
市川:「(腕を回したりいろんな動作をしながら)動きやすいです。ブラウスって、どうしても窮屈に感じることが多くて。ボタンを留めると袖が突っ張ったり。でも、これは吊り革を持っても平気そうです」
ひとつのアイテムを、いろんなスタッフが試着します
▲身長153cmのバイヤー郡も同じブラウスのSサイズを試着。
▲後身頃の丈はたっぷり、気になるところは隠れるけど、長すぎることはなくて、軽やかな生地のおかげで着心地がいい。「こういう素材のトップスをはじめて着た」という郡が気づいたことを、どうにかして伝えたい……!と試行錯誤中。
▲身長160cmの店長の佐藤も同じブラウスを試着。佐藤自身が服選びで気にしている首元のデザインのことから、こだわったディテールや艶のあるボタンを選んだ理由などをアツく語ります。(聞いていたら欲しくなる!)
「着られないから、聞くしかないんです」
夕方、撮影を終えた栗村に話を聞いてみました。
印象に残ったのが、撮影中のさりげない会話から、みんなの「どんなふうに着てみたいか、着てみてどうか」を引き出していたこと。つくる側として、どんなことに気を配っているのでしょう?
栗村:
「自分が着られないので、分からないことは聞くしかなくて……。肩周りのキツさ、透け感、素材のことなど、実際に着た人はどう感じるのか、僕自身も参考にさせてもらっているような気持ちです。
あと、試着したスタッフが、普段似たような服を選ぶときに、どういうことを気にしているのかを積極的に聞いてます。
人それぞれ基準があって、たとえば首の開き具合はもうちょっと詰まっている方が好きと聞けたりすると、なるほどなあと。お客さまの参考にもなるだろうから伝えたい、と思います」
栗村:
「コーディネートは、試着してくれるスタッフにお任せするのがほとんどです。今回のブラウスも『一番合わせやすいもので』とお願いしていました。
商品ページは、モデルさんやスタイリストさんたちの力を借りて、ちょっとワクワクする雰囲気。なので、着用レビューはどちらかというと安心感。自分もこんなふうに着られそうだなとイメージできることを大事にしています」
試着したときの違和感も、大切なこと
ワンピース(4月上旬発売予定)の撮影に立ち会っていた青木にも話を聞いてみました。
青木が現場で気にしていたのが、どの身長のスタッフがどのサイズを選ぶかについて。
商品の推奨サイズはあるけれど、あいだの身長のスタッフには両サイズとも着比べてもらいながら、身幅の具合、全体のシルエット、ボトムスが覗く加減など、こまかやに確認していたのが印象的でした。
青木:
「サイズ選びについては、どうやってお伝えしようかなといつも迷っていて、試着したスタッフたちからヒントをもらうことも多いんです。
みんな想像以上に正直、といいますか。『ここが気になる』というのを隠さないですし、『ゆったり着たいからワンサイズ上げたい』というのも言ってくれます。なので着用レビューは、試着したスタッフの言葉や口調を、なるべく生かせたらいいなと。
今日も、撮影が進むにつれて、身長も体型も年代もちがうスタッフたちと、ひとつの商品についてたくさん話せて、ふと『お客様に、こう紹介したい』と腹落ちする瞬間がありました。
私自身、お買い物の失敗は避けたいし、届いたときに『違ったな』と思いたくない。完璧にはむずかしくても、できるだけ、お客様の代わりになれていたらいいなと思います」
これからも、私たちみたいな誰かに向けて
迷いながらも、等身大に。着用レビューの一つ一つがこうして、現場での気づきを大事に、違和感をスルーしないで作られていることに、あらためて驚かされました。
これからも、私たちみたいな誰かに向けて、私たちらしくアパレルをご紹介していけたら。
お客さまの「知りたい」に答える着用レビューのあり方を、チームの垣根をこえて、スタッフみんなで模索し続けていきたいと思います。
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