【好きな服をずっとそばに】くたくたでも、着古しても。服と人と縁をつなぐ「お気に入り相談室」って?

ライター 小野民

「お気に入りの服ってある?」 そんな問いを投げかけてみると、みんな嬉しそうに答えてくれます。

「ポケットが気に入っていて」「すごく着やすいの」「色が絶妙でしょう」愛着の理由とともに出てくるのはその服の思い出たち。お気に入りの話は十人十色で、人となりがあらわれるよう。そして、みんな一様に口にするのが「着古しても捨てられない」ということです。

さて、こんな質問をするようになったきっかけは、ライフスタイルブランド群言堂とのお取り組みで「お気に入り相談室」の存在を知ったから。ここには、10年、20年と着続けられた群言堂の洋服が集まってきて、さまざまに仕立て直され、また持ち主の元へと帰っていくのだそう。

裾上げなどの一般的なお直しに止まらない「お気に入り相談室」に興味がわいて、島根県大田市大森町の群言堂本社へ。「お気に入り相談室」を立ち上げた長見早苗(ながみ・さなえ)さんに仕事について聞くとともに、今回初めて利用するお客さんにも会いに行きました。

(この記事は、群言堂の提供でお送りする広告コンテンツです)

 

「おかえりなさい」と服に向き合う、お気に入り相談室の仕事

窓の外には、しっとりと濡れて青々とした木々の葉。社屋を出れば、世界遺産でもある石見銀山の街並みが目の前に広がります。

ゆったり時間が流れるような環境のなか、てきぱきと手を動かしているのが、「お気に入り相談室」を1人で切り盛りする長見さん。専用の部屋があるわけではなく、パタンナーをはじめとしたさまざまな服作りに関わる人に囲まれながら働いています。

正式にお気に入り相談室ができたのは、2020年。それ以前は、長見さんが生産管理業務を行いながら、相談された服の修繕やリメイクをしていました。

長見さん:
「群言堂では30歳をすぎた頃から働いていて、60歳になった時に、会社から『これから何がやりたい?』と聞かれたのをきっかけに、お気に入り相談室を作ってもらい、専業になりました。

今は、送られてきた洋服と向き合って、手を動かして。毎日楽しい楽しいって気持ちで過ぎていきますよ」

▲お客さんの希望を叶えるべく、パタンナー日吉さんと相談中。「今度はどんなことやっているの?」と周りの人もいろいろと意見を言ってくれるそう

お気に入り相談室にやってくる服の多くは10年以上着込まれたもの。長見さんが20年以上前に「いってらっしゃい」と送り出した服との再会も珍しくないといいます。

長見さん:
「群言堂の服は糸1本にも向き合い、生地屋さん、織物屋さんともつながりがあって、一着一着すごく思い入れがあるんです。いい素材や縫製だからこそ丈夫にできているので、染め直したり、仕立て直したりすることでさらに長く使ってもらえたら嬉しいな、と思うんです。

お気に入り相談室に直接送られてくる服もあれば、全国の群言堂のお店を通して託されるものもあります。『おかえりなさい』と迎えながら、さて、どうしようかとあれこれ考え始めるんです」

 

お客さまの「大事な一着」に寄り添って

▲空箱に端切れの布を使った、長見さんお手製の針箱。奥の仕立てばさみは和裁を始めた19歳の頃からの相棒

擦り切れた部分を取り替えるような部分的な修繕から、長年着た服を、小さな孫用の服に仕立て直すことも。お客さんの希望をメールや電話で聞き、やりとりを重ねてどんなふうに手を加えるか決めていくので、期間や値段も一律とはいきません。

ひとつとして同じものがないからこそ、特別な一着の背景にある物語に、いつも心を動かされると言います。

長見さん:
「最近では、ある女性の依頼で藍染の3重ガーゼのシャツを仕立て直しました。10年間、ご主人が気に入って擦り切れるくらい着たシャツを、今度は自分が身につけられるものにしたいという希望でした。

実はご主人は闘病を始める頃にシャツを買われて、今年に入って亡くなられて。生地を裏返したら優しいオレンジ色が印象的なチェックだったので、そちらを表にして仕立て直しました。

つい先日できあがりをお送りしたんですが、『着ると励まされる』と書き添えて着ている姿の写真を送ってくださって。そういう声が、すごくありがたいんです」

お気に入り相談室の詳細はこちら

 

よそいきジャケットを普段のバッグに。お気に入り相談室体験

取材に行った日にも、お気に入り相談室からお客さまのもとへと戻るのを待つ肩掛けバッグがありました。

持ち主は、大森町に暮らす吉田美穂子さん。20年前ほど前に購入したお気に入りのよそ行きジャケットを「普段使いのバッグにしてほしい」と、群言堂本店へ持ち込んだそうです。

長見さん:
「特に襟、ポケット、裏地がお気に入りでバッグにしても生かしてほしいと聞いて、いろいろと考えて思いついた完成図をパタンナーにも相談してかたちにしました」

今回は、長見さんから完成したバッグを手渡すことになり、ちょっと緊張の面持ち。美穂子さんは娘の彩乃さんとともにお店へやってきました。

美穂子さんの第一声は、「わぁ、かわいい!」、彩乃さんは「ジャケットそのままの面影があるね」と思わず拍手。その言葉を聞いて、長見さんは「よかった」とほっとした表情です。

美穂子さん:
「このジャケットは、40歳になる頃、子育てがひと段落して仕事を始めるときに買ったものです。出張など大事な時に着る服として重宝していましたが、最近では出番がほとんどなくなっていました。

去年退職したのを機に、持ち物を整理したんです。この服はお気に入りなので娘に譲ろうかとも考えたのですが、彼女には彼女の着たいものがあるだろうし、私の好きなものなんだから手放さないでもう一度使える方法はないかなって。

そんなとき、お気に入り相談室のことを思い出しました。服も第二の人生を与えられて、私の再スタートに一緒に連れて歩けるのが嬉しいです」

 

お母さんが、ひとりの女性に見えた服

美穂子さんがジャケットを購入した20年前、彩乃さんは中学生。今回久しぶりにジャケットを見て、当時の記憶が蘇ったと言います。

彩乃さん:
「それまで家庭にいた母が仕事をするようになり、ここぞというときにこの服を着ていて、いつものお母さんがひとりの女性としていきいきしていた姿を思い出しました。

母が大事にしていたのを知っているから、新しいかたちに生まれ変わって、また付き合っていけるのは素敵だなと思います」

▲彩乃さんがこの日着ていたワンピースは結婚を機に群言堂で手に入れたお気に入り。少しフォーマルに装いたい時も、カジュアルなシーンにも活躍しているそう

彩乃さん:
「わたしも群言堂の服で、大学生の時から着ているものもあるんですよ。まだまだ着られるからお気に入り相談室を利用するのは先だと思いますが、素敵に仕立て直されるのを見ると、いずれこういう選択肢もあるんだと前向きな気持ちになります」

「このバッグを持って大森町を散歩したい」と美穂子さん。静かな雨にふわっと広がる植物のにおいを感じるこの町が大好きなのだそう。

かつてのお気に入りから、新しいお気に入りへ。長見さんが、お客さんの想いに寄り添って手がけた仕事が実を結ぶ場面には、あたたかい時間が流れていました。

 

わたしの「好き」を手放さず、暮らしていく

長見さん:
「くたくたになるまで着古しても捨てられない、その気持ちが嬉しいから、寄り添いたい。群言堂のこともずっと好きでいてくれたらいいな、と思いながら、手を動かしているのが楽しいんです。

だからお気に入り相談室の仕事が大好き。ここではだいぶベテランですし、毎日にこにこ笑って働いて、楽しさのバトンを若い人たちに渡していきたい気持ちもあります」

「お気に入り相談室」をめぐって、異なる立場の人たちに話を聞いてみると、それぞれの想いが群言堂のテーマである「根のある暮らし」に通じていることに気づきました。

お気に入り相談室の人である長見さんはもちろん、美穂子さんのようなお客さんにとっても、「何をどんなふうに使い続けたい?」という問いから始まる体験は、自分の「好き」の根っこを大事にした、前向きな気持ちを感じたのです。

人も服も、時を重ねていくことは物語が増えていくこと。くたびれたりほころびができたりしても、繕ったりかたちを変えたりしながら永らえていけるのです。

「お気に入り相談室」の仕事を通して、長い時間をかけてお気に入りの一着を大切にする豊かさを、知ることができました。

 

▼お気に入り相談室・群言堂について詳しくはこちら

【写真】神ノ川智早

 

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