【つづけるお弁当】前編:お弁当づくりも早10年。気張らずおいしい、たくま家のモットー
編集スタッフ 糸井
新生活が始まって数ヶ月。あたらしい習慣に、お弁当づくりが加わった方もいるかと思います。
まるで筋トレのように続けるお弁当作りも、休み明けなど、リズムがとまったときに再開するのは一苦労。
そんなときでも気を張りすぎず、頑張れるきっかけがあれば。
この特集では、10年以上お弁当を作り続ける料理家・たくまたまえさんにお話を聞きにいきました。
毎朝主人に作るお弁当(通称「たま弁」)をSNSに投稿するたくまさん。前編では、おかずの決め方のコツや彩りづくりについて伺いましたよ。
「今日もおいしかったよ」を聞きたくて
たくまさん:
「昨年、Instagram上でお弁当の悩みを募ってみたところ、届いたお便りは100件以上。想像を超える数に、日々悩んでいる方がたくさんいることを実感しました。
悩みは大きく分けて、おかずの詰め方、彩り、献立の3つ。あとはどのくらいの時間を掛けている? といったものなどもありましたね」
たくまさん:
「具体的な献立の悩みで多いのが、『レパートリーが少ない』ことや『同じようなおかずばかりで……』というもの。
でも、そこは気にしすぎなくても十分だと感じているんです。
個人的に、お弁当づくりで一番大切にしているのは、お弁当を開けたときに、食べる人の『食べたいもの』が詰まっていること。そこを叶えられていたら、たとえ彩りが足りなくても、同じようなおかずが続くお弁当も、相手にとっては完璧なお弁当だと思うんです。
10年作り続けている我が家のお弁当も、入っているおかずに代わり映えはあまりないですよ。当初は『こんなに定番おかずばかりで大丈夫かな……』と悩んだこともあったけれど、案外主人に聞くと『全然これでいい』『いつもたのしいお弁当時間だよ』ってケロッとしているものです」
基本の「ヒアリング」を続けています
たくまさん:
「毎日作り続けるなかで、不安や迷いの気持ちは生まれるもの。そんなときには、基本かつ効果的なヒアリングを。
お弁当作りに不慣れな方は、まず相手に『何が入ってたら嬉しい? 』と聞くのがおすすめですし、今週のお弁当のおかずに迷ったら、食べる本人に聞いてみるのが一番。案外そういうときって、いつも入っているものをリクエストされて拍子抜けすることも。
リクエストを集めた結果、茶色いお弁当になっても◎。無理に彩りのためにと、プチトマトや野菜を入れなくてもいいんじゃないかな。野菜が苦手な人なら、その分朝や夕食でバランスをとればいいですから。あくまでお弁当の時間はたのしく、がモットーです」
たくまさん:
「食べ終わった後の感想もぜひ聞いてみてください。
私はいまでも毎日、夕飯を食べているときに『今日のお弁当どうだった? おいしかった? 』って聞いているんです。笑
そこで何か見つかることはないかもしれないけれど、『いつもお弁当を作ってくれてありがとう』という言葉をきくきっかけにもなりますしね」
万能なたまごは、毎日の助っ人おかず
そんなたくまさんのお弁当に欠かさないのが、たまごです。
たくまさん:
「主人はたまごが好きなので、毎日入れるようにしています。
たまご料理って、朝の忙しいなかでもサッと作れて、お弁当にも詰めやすいからいいこと尽くし。普段はたまご焼き、ゆでたまごがほとんどですね。
ゆでたまごは、ある日試しに入れてみたら好評で。腹持ちもいいし、茹でるだけなので重宝しています。全体の印象もパッと明るくなるんですよ。
逆にあまり入れないのが魚のおかず。主人はあまり魚が得意じゃないので、入れるとしても、鮭やカジキだけにしていますね」
▲そう言い、ゆでたまごをお弁当に詰めるたくまさん。確かに白と黄色の取り合わせは、添えるだけでお弁当の印象が一気に明るくなります。
全体の食感や味つけは、あえて統一しない?
彩りや献立のレパートリーは気にしすぎないたくまさん。でも、食感や味付けは意識しているところだといいます。
たくまさん:
「同じような味が続き、マンネリを感じる場合は、食感と味つけを統一しないでみるといいかもしれません。
柔らかいもの(歯ごたえがないもの)ばかりが入っているなと思ったら、あえて『コリコリしたもの/シャキシャキするもの』を入れるイメージです。おかずとしては、れんこんやきんぴら、お漬物のように野菜がその役割を果たしてくれますよ。
味付けを統一しないというのは、たとえば肉じゃがのように、メインのおかずが醤油と砂糖の味付けのときは、同じような調味料を使う切り干し大根ではなく、すっぱい系やしょっぱい系の副菜にするイメージ。
食べ続けても飽きないようにしたり、普段のお弁当を少し変えたりしたいときには、おすすめです」
ハムとたまごしかない……! ならば、ハムエッグ弁当で
ときには時間が割けなかったり、おかずにする材料を切らしていたりすることも。そこを乗り切るためのレスキューおかずには、どういったものがあるのでしょうか。
たくまさん:
「忙しさが事前に分かっている時は、前日にスーパーでとんかつを買い、翌朝はたまごでとじるだけのカツ丼弁当ですね。青菜をちょっとのっけたらバッチリです。
メインを張れるおかずが何もないときは、詰め方を一工夫。白いごはんにたまごとソーセージだけなら、のり弁にしたり、おにぎりにして見栄えを変えます。たまごとハムしかない日もありましたが、そんな日はハムエッグ丼にしちゃいます。いつもと一風違った雰囲気は、食べる側としても心が踊ると思います。
いっそ普段の容器を変えて、乗り切るのもおすすめです」
マンネリは、デパ地下からアイデアを頂戴
たくまさん:
「とはいえ、毎日作る側のモチベーションも大事ですよね。私もなんだかマンネリを感じて飽きたり、テンションが低下したりすることもしょっちゅうありますよ。
そんなとき、昔はよくお弁当の本を眺めたり、デパ地下のお惣菜を見に行ったりしていました。自分では思いつかないような食材の合わせ方やおかずの種類が学べるし、単純に『こんなものを作ってみたい』という気持ちが湧き出ることもあって。
あとは、お弁当箱自体を変えるものおすすめです。我が家もそうするうちにたくさんのお弁当が集まって……」
そう言って開いてくださった戸棚には、お弁当箱がぎっしり詰まっていました。
たくまさん:
「主人はプラスチックの軽いのが一番っていうんですけれどね。プラスチックのものだと油ものが洗いにくいところがあって、今ではアルミのお弁当箱をほぼ毎日選んでいます」
▲一番奥のアルミのものがたくま家の定番。右のものもアルミ製ですが、こちらは丼ものにしたいときに重宝しているそう。
いただきます、とお弁当の蓋を開ける瞬間がたのしみな時間になっていたら、それが一番嬉しいこと。そんなたくま家の、10年続くお弁当のモットーでした。
後編では、お弁当のお悩み相談でも多かった「詰め方」のコツについてお聞きしました。
【写真】メグミ
もくじ
たくま たまえ
地元産の野菜や果物を中心に、旬の食材を使った保存食のレシピ提案が人気。主な著書に、保存食のレシピをまとめた『たまちゃんの保存食 新版』(株式会社マイナビ)、夫のお弁当作りをまとめた『たまちゃんの夫弁当』(主婦と生活社)がある。現在、オンラインショップ(tama’s store)で保存食や暮らしの道具を不定期に販売中。 Instagram:@tama.tamaben。
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