【お灸をはじめてみたら】前編:手のまわりだけで完結。今日からできる簡単セルフお灸を鍼灸院の先生にききました
編集スタッフ 糸井
毎年、季節の変わり目に体調がぐずつきやすいです。
あるとき知人に勧められて、気になっていた「お灸」。自宅にいながらセルフでできるものもあるようで、初心者でも簡単にはじめられるのだとか。
そこで、特集「お灸をはじめてみたら」では、目白鍼灸院の院長・柳本真弓(やなもとまゆみ)さんに、お灸のはじめかたや、これからの季節におすすめのツボについて聞いてみました。
手軽で、あたらしい習慣になる「お灸」
柳本さん
「お灸ときくと、『熱くて怖いイメージ』が浮かぶ人も多いと思うのですが、今ではいろいろなお灸があって、刺激量もコントロールできます。
お灸でツボを温めることで、血行が改善。肩こりや冷え性、睡眠などの慢性的な症状の体質改善にとても役立つ、古来からの治療法です。
鍼灸院で行うお灸は、円錐形の透熱灸がメインですが、いまは自宅でも手軽にできるセルフお灸をされる方もとても増えています。鍼灸院に通ったことがなくても、はじめられる手軽さがいいんです」
▲こちらが「透熱灸」と呼ばれるタイプ。お灸の原料は、よもぎの葉でつくる「もぐさ」というもの。
柳本さん
「セルフお灸におすすめなのが、台座灸。裏にシールのついたタイプで、皮膚にピタッと張り付きます。
種類も豊富で、自分好みの温度や香りを見つけやすくなっていると思います。
ちなみに、温度の種類を示すのに、ソフト、ハードなどの呼び名があるのですが、メーカーによって温度が違うこともあります。初めての方は、それぞれのメーカーのなかでも一番温度の低いものを試してみるのがおすすめです」
▲こちらが「台座灸」と呼ばれるタイプ。
柳本さん
「ひとによっては、『お灸あたり』といって、効きすぎて気分が優れなくなる人も。はじめは少しからはじめましょう。
運動後や飲酒後など、血行が良くなっているときは避けましょう。また妊娠中も避けるのが安心です」
お灸に必要なものは、これだけ
・お好みのお灸
・火をつけるもの(ライターやマッチ。お灸専用のものもあります)
・水をはったお皿(終わったお灸を入れるため)
・タオル(お灸が落ちたときの灰を受け止めたり、払ったりするため)
柳本さん
「使い方は、簡単。シールを剥いだお灸に、まず火をつけ、置きたいツボに貼り付けるだけ。取るときは、指でそっと台座をつまみ上げます。種類にもよりますが、大体3分前後で燃え尽きると思います」
手のあたりには、ツボがたくさん。
おすすめ、お灸スポット
それでは、初心者でも手軽にできる手の周りのツボを教えてもらいながら、お灸を試してみました。手首や関節周りにはツボが結構多いそうですよ。
元気がでない、そんな日中に
柳本さん
「まずは、聞いたこともある人が多そうな場所から。合谷(ごうこく)は、肩こりや免疫力のアップ。日中の身体がだるいときによく効きます。
早速据えてみましょう。使うのは、比較的低温のソフトタイプにしましょう」
糸井
「据えはじめは、あまり温度を感じませんね。カイロのように、はじめから終わりまで温度が一定で温かいものだと思っていました。煙もある程度出ていますね。
(2分ほど経った頃)もぐさが燃え尽きかけたあたりで、『キューッ』という熱さを感じてきました 」
柳本さん
「お灸は、燃え尽きる頃に急激に温度が上がります。取り除くタイミングはいつでも構いませんよ。台座はやや熱くなりますが、指で触れないほどではないから大丈夫です」
▲終わったら、手で取り水を張った器などに入れましょう。
柳本さん
「ちなみに、ツボは身体の左右対称についているものがほとんど。バランスよく調えるために、左のツボに据えたら、右も同じように行いましょう」
合谷のツボの見つけ方
①親指をたてて、水かきのところにあてる
②親指の第一関節をお皿に当てて、折り曲げる
③折り曲げた指先の部分が、合谷
④お灸に火をつけ、のせる
ゾクッと寒い、風邪のひきはじめに
柳本さん
「次は、外関(がいかん)。肩こりや、風邪のひき始めなどのゾクゾクと寒気を感じるときに特におすすめしています」
糸井
「(3分ほど経ち、燃え尽きた頃)もう冷えてきた気がします。取ってからも、あまり効いたのかわからない感じがします」
柳本さん
「ちょっと物足りなさを感じるときは、同じ場所に、2、3度続けてお灸を据えても◎。左右によって、温かさを感じにくい方に、多めに据えてもいいですね」
外関の見つけ方
①手のひらを外側にぐっと反らせて、シワをつくる
②シワの部分を起点に、指を3本置く
③人差し指の側面の端が、外関(骨と骨、筋と筋の間のくぼんでいるところ)
デスクワークが続くときには……
柳本さん
「最後は、曲池(きょくち)です。上半身の血行が良くなり、首や肩のコリにも効きます。今回は、ソフトよりも一段熱めのレギュラータイプにしましょう」
糸井
「(2分ほど経ち)今回は、かなりピリッとした熱さを感じますね」
柳本さん
「熱くてピリピリしてきたら取ってくださいね。起きぬけに身体が重い日なんかは、こんな風に、少し熱めのお灸を据えるとおすすめですね」
曲池の見つけ方
①肘を深く曲げる
②曲げたときにできる、シワの先端の、少しくぼみになっているところが曲池
③肘をのばし、ツボにお灸をのせる
糸井
「なんだか効いている感じはするのですが、身体の変化まではまだ感じない気もしていて……」
柳本さん
「すぐ効いたと感じる人もいれば、もちろん、あまり感じない人もいます。お灸は、鍼よりは穏やかな変化が特徴。何ヶ月も続けることで、いい体質変化が起こるイメージで続けてみましょう。
でも、たとえばお灸を据えた方の肩をちょっと上げてみてください。すこし軽い感じがしませんか?
始める前と比べると、顔の血行も良くなっていると思います。微細な変化ですが、身体に効いてるのを確認するのも楽しいですよ」
意外とツボは見つけやすい?
糸井
「この時点でいろんな箇所にお灸を据えましたが、1日の回数制限などはありますか?」
柳本さん
「特に制限はないのですが、やはり人によって効きやすさが変わってくるもの。まれに『お灸あたり』を起こし、身体がだるくなったり、めまいや気分が悪くなる場合もありますから、最初は3箇所程度に、1個ずつまでで試してみましょう。
そうそう、ツボの見つけ方というと、なんだか難しく感じるかもしれませんが、慣れてくると、結構感覚的にわかることがあって。
たとえばスーッと指でなぞったときに、軽く指がひっかかったり、わずかにへこみを感じたり、くすんでいたり。ここなんじゃないかな?と分かってくると思いますよ。家族がいらっしゃる方は、ご家族の背中を眺めてツボらしき場所を探してみるのも面白いと思います」
そんな、はじめてのお灸。後編では、この冬に向けて労りたい、足まわりのツボを紹介してもらいます。
(つづく)
【写真】鍵岡龍門
もくじ
柳本真弓
広島県出身。鍼灸あん摩マッサージ指圧師。目白鍼灸院院長。著書に「簡単BEST30ツボ」(東京新聞) 、「『
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