【自由な賃貸】02:ものが多くても、すっきり見せる「しまわない」インテリアの秘けつ

ライター 瀬谷薫子

賃貸で、広さや収納にも限りがある。そんな制約の中でも心地よく整えられた、ユニークな住まい。

今回はアートディレクターの稲数麻子(いなかず あさこ)さんのお家にお邪魔しています。

第1話では、真っ白な箱のようなワンルームを、住みよく整えていくまでの経緯について聞きました。2話目は、そこにしまうものの居場所について。備え付けの収納が少ないという家の中で、見せる収納のアイデアを伺います。

第1話から読む

 

アクセサリーや洋服は、あえて「しまわない」

今の住まいは、備え付けの収納がキッチンの棚と寝室のクローゼットのみ。戸棚のついた、隠せる収納はごくわずかだといいます。

だからこそ、できるだけ出したままでもさまになる状態を作っているのが稲数さんの住まい。家を見回してみても、素敵な「見せる収納」があちこちにあります。

稲数さん:
「アクセサリーやコスメ類は、あえてしまわずにディスプレイしています。

それから、ついつい増えてしまう洋服も。華やかなワンピースなど、出していても絵になるものは外に掛けて。インナーなど実用的なものだけを、扉のあるクローゼットにおさめています」

▲IKEAのラックに夫婦の服をずらりと掛けて、お店のようなディスプレイに

 

食材や日用品は、空き瓶ストックに詰め替えて

部屋の中に、既製品のパッケージはできるだけ置かないようにしている、と稲数さん。言われてみれば、キッチン周りにも食材や日用品の容器がほぼ見当たりません。

調味料も、日々使うものはボトルや瓶へ詰め替えるようにしているそう。

▲オリーブオイルなどの油は、ルイジボルミオリ社のボトルに詰め替えて

稲数さん:
「私にとっては、ものの多さより、そこに自分好みでない見た目のものが混ざっていることの方が気になるんです。

なので日用品や食材も、できるだけ消耗品はストックしないようにしています。そしてパッケージが好みでないものは詰め替えるか、目に入らない足元や扉付きの収納の中にしまうように。

詰め替えるのはひと手間ですが、わたしはそれが出しっぱなしの方がストレスに感じてしまいますし、一度詰め替えればずっと使えるのでそこまで面倒ではないなと。この作業も、意外と楽しんでやっています」

▲愛犬のおやつも空き瓶へ移し替えて、出しっぱなしでもかわいく

リビングにある戸棚の引き出しを開けると、空き瓶のストックがずらり。気になるものがあればすぐに詰め替えられるよう、ここに保管しているそうです。

 

眺めているだけで楽しい、ユニークなキッチン収納

▲ネギを入れたピッチャーは『IKEA』のもの

キッチン周りには、その他にもユニークな収納が。たとえばネギはグリーンのようにウォーターピッチャーに飾り、包丁はアンティークの壺に挿すなど、固定観念にとらわれない自由なしまい方です。

稲数さん:
「ネギは縦向きで保存した方がよいと聞いて、この形に落ち着きました。包丁は市販の包丁立てにあまり気に入ったデザインのものがなく、瓶に挿すことに。底に布をしいて傷がつかないようにしています」

細かなカトラリーの収納にも、空き瓶を活用。右端のワイングラスは、にんにく入れにしていたりと、ちょっとした遊び心にも、稲数さんらしさを感じます。

備え付けの収納が少ない分、キッチンをはじめ家の中には吊り下げ収納がたくさん。それに使うS字フック選びにも、小さなこだわりがあるそうです。

稲数さん:
「実用的な道具を掛けるS字フックは『Amazon』や『無印良品』でシンプルなものをまとめ買いしています。

対してインテリアの飾りとして使うものは、アンティークショップなどで気の利いたデザインを選ぶように。気に入ったものがあれば買っておくと、ちょっとしたときに重宝します」

▲魚のオーナメントを吊るしているS字フックは『グランピエ』で購入。照明のレールに繋いで、アクセントに

 

収納アイテムは「黒」を選ぶ

▲マガジンファイルはIEKAの『チョーグ』や無印良品で購入

収納に関しても同様で、実用的な部分にはコストパフォーマンスのいいアイテムを活用。見せたいところとしまいたいところに、メリハリをつけてアイテムを選んでいます。

稲数さん:
「インテリア全体に茶や黒のトーンが多いので、収納も黒色で統一しています。

シンプルなデザインなのでなじみやすく、IKEAのようにリーズナブルなアイテムでも、黒だと高級感があるのも魅力。動物の小物や華やかな柄ものなど、個性的なデザインの雑貨が多い部屋の雰囲気をほどよく引き締めてくれます」

▲スパイスを収納した可動式のラックもIKEA、保存瓶はAmazonで購入

 

おさまりきらない本は、インテリアに分散させる

家の中でも特に多いのが本。夫婦ともに本好きなので、つい増えていってしまうそう。

リビングにあるメインの本棚におさまりきらない本たちは、ローテーブルの上や、アクセサリー置き場の一角、さらには食器棚の一角にまで、自由に点在させています。

こんなちょっとした意外性が、インテリアに面白みをプラス。まるで雑貨のように部屋の雰囲気を引き立てていました。

 

収納の概念も、もっと自由に

休みの日はリサイクルショップやアンティークショップを周り、家具や雑貨を眺めるのが好きだという稲数さん。

彼女にとっては仕事のためのインプットでもありつつ、好きなものに触れられる息抜きの時間だそう。そこで見つけてきた道具たちを、収納容器として活用しているのだとか。

たとえばこれは、茶器を入れる箱。サイズがちょうどよかったので、小さな本棚にしています。

木のわっぱは、小物入れとして。箸置きやお香など細かなものを収納するのに使っているそう。

稲数さん:
「仕事柄、ある道具の、通常の用途とは違う使い道を考えてみることが好きなんです。宝探しのような気分で不思議なものを発掘して、これ何に使えるかな、と考える時間は楽しいですね」

こんなちょっと意外な収納アイテムも、インテリアに遊び心をプラスしていました。

備え付けの収納が少ないことは、一見デメリットのように感じます。でも、見方を変えれば、形にとらわれず自由なしまい方を模索できるチャンスでもあるのだと、稲数さんのユニークな収納術を拝見しながら感じました。

つづく第3話は、稲数さんの家に多数ある「DIY棚」について。手作りのメリットと、賃貸だからこその楽しみ方について伺います。

【写真】清永洋


もくじ

 

稲数 麻子

アートディレクター・デザイナーとして、イベントの空間装飾や店舗デザイン、インスタレーションアート制作など幅広く活動する。2018年に空間演出チーム「KOTO」を創設。また、「美しいを哲学する」をテーマとした活動体「PHILOSOPHIA」を主宰し、2022年に創刊したインディペンデントマガジン「ELEPHAS」は、蔦谷銀座書店をはじめ全国30カ所で販売されている。Instagram @asakoinakazu 

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