【あの人のクローゼット収納】前編:おしゃれ欲をかきたてるためにも、洋服収納システムは大事なんです(村上直子さん)
編集スタッフ 糸井
クローゼットを開けると、どんな気持ちになりますか?
おしゃれの身支度に、洗濯物の片付け。毎日使うクローゼットがもっと使いやすく、自分好みの見た目になったら、慌ただしい朝にひとさじの嬉しさが加わりそうです。
ドラマのようにはいかないかもしれないけれど、そんなクローゼット収納をしたく、特集「あの人のクローゼット収納」では気になるあの人たちのクローゼット事情やおしゃれにまつわる収納術について聞くことに。
前編ではまず、整理収納アドバイザーでインテリアスタイリストの村上直子(むらかみ なおこ)さんのご自宅を訪ねました。気楽に実践できるヒントをうかがいましたよ。
暮らしの変化は、洋服収納の「変えどき」です
村上さん:
「毎日の身支度は、朝の家事が終わったタイミングです。服は好きなので多いほうだと思うのですが、近年は大分減らしてきました。その分変わったのは、アクセサリーを使うようになったこと。
そんな風に、暮らしの変化に合わせて収納方法も都度見直しています。たとえば、これまではどんなアイテムも見えないようにきっちりしまうタイプでしたが、時間的な余裕も以前と比べてなくなり、ストイックになりすぎないで済む塩梅を探しています」
かける収納で、衝動買いも冷静に
4人暮らしの村上さんは、洋服収納も家族それぞれ。1階にあるこのクローゼットが村上さんのスペースです。
水色の絨毯が敷かれ、インナー類やデニムなどの一部のボトムスを除き、ほとんどの服をハンガーにかけています。冬になるとニットもかけることが多く、季節問わずこの収納スタイルなのだとか。
▲ベルトやスカーフも、すべてハンガーを使って収納。
村上さん:
「洋服収納には紆余曲折がありましたが、いまはボトムス類もできるだけかけるように。左からワンピース、シャツや羽織り、スカートやパンツの並びにしています。
たたんで入れると、片付けのときが大変なんです。面倒くさがりなので、できるだけ動作を減らすようにしています。
自分にとっての洋服収納は『次の買い物の指針にしやすいこと』が大切かもしれません。クローゼットをパッと見たときに、手持ちの服を把握しやすい状態にしておきたくて。
ハンガー収納なら、色や長さ順に並べ変えやすいので、黒いアイテムが増えてきたことや、ワンピースの数が一目で分かります。白シャツもまとめることで、今年はいらないなと冷静に踏みとどまれるんです」
下の引き出しは、元々お子さんが小さい頃に使っていたベッドの付属品だったものを再利用。
村上さん:
「今年の衣替えはもう終えたのですが、そのときに奥へ収納したのは厚手のニットやコートだけ。季節の変わり目にも困らないように、左の引き出しには薄手のニットやカーディガンなどの暖かい洋服を常備するようになりました」
散らかり防止の、一時置き場スペース
1日着た服をさっと脱いだり、アイロンをかけた服を置いたり。一時置き場として重宝しているが、クローゼットの隣にある「コートラック」です。
村上さん:
「ずっと使っているコートラックなのですが、こういった場所がいくつかあると、片付けのハードルが下がるんです。床のかごバッグには、片付けたい服をポンッと入れておくこともできますしね」
▲薄手のカーディガンなど、かけるとシワになりやすい服はハンガーに布カバーを。
村上さん:
「バッグはそこまで多くないので、クローゼットの奥にしまっています。昔は沢山持っていて、収納に苦労していましたね。特にかごバッグに目がなくてコレクションしていました。
バッグって、形もサイズもまばらでスペースも取るもの。大きいバッグに小さいものを入れても、使うときに結局散らかったりしますしね……。
収納場所をこれ以上広げるのも難しかったこともあり、手放すことを決意。一番使いまわしが効くもの1つに絞ったんです」
アクセサリーのおしゃれがはかどるように
一時置き場はリビングにも。洗面所前の廊下には、日々の化粧やアクセサリーの身支度スペースがつくられています。
朝の混雑する水回りのストレス軽減に、最近追加した収納アイテムが「ポケット収納」です。
村上さん:
「身支度に使うものは結構多いもの。ヘアターバンやドライヤーのように毎朝使うものも、だからといって出しっぱなしにしておくと散らかる原因に。そんなものもすべてざっくり収納できる場所を増やしたかったんです」
▲下の段は家族のスペースも。リビングに息子たちが置き忘れたりするちょっとしたものを入れておく場所としても重宝しているのだとか。
それぞれのポケットには、基礎化粧品やコテを収納。さらに、お気に入りのアクセサリー類もここに保管するように変更したところ、手に取りやすくなり毎日のおしゃれがはかどるようになったのだとか。
村上さん:
「アクセサリーは毎日つけています。歳を重ねる中で、洋服がどんどんシンプルになりました。髪もショートになり、化粧もそこまで得意ではないので、アクセサリーをポイントにできたらなと思うようになったんです。『それどこの?』という会話がつながることも増えて楽しいですしね。
最近のお気に入りは、大ぶりでハンドメイドのピアス。ひとつひとつを小さな巾着に入れて保管しています。柄も異なるので、なんとなく何が入っているか分かるのもいいですし、気分も上がるんです」
▲ピアスはお気に入りのお店「sister market.」で購入。アクセサリーを買うと、好きな巾着をひとつ選べるのだとか。
お気に入りだけを一箇所に集める
▲その日に使ったアクセサリーは、トレーに保管。翌日まで置いておくこともしばしばで、次のアクセサリーを出すときに、合わせて片付けるようにしているそうです。
とはいえ、ここに置くアクセサリーはお気に入りのものたちだけ。それ以外は別の場所に保管しているといいます。
村上さん:
「元々は、あまり使わない時計やパール類も合わせ、すべてを一緒のケースに入れていました。
収納のコツとしてアイテム別に分類することや使用頻度を考えて置くことが大切ということは仕事柄痛感しています。とはいえアクセサリーって、分類するほど量があるアイテムでもないからと一箇所にまとめていたんです。
でも毎日使うものをその度にケースに収納するのも億劫になったり、開けるたびに使わないものが目に入ったりするのもモヤモヤ。散らかることも増え、大ぶりなアクセサリーも増えたことから、一軍と二軍に分類しました」
▲こちらが、あまり使わないアクセサリーを保管している引き出し。
この方法に変えてから、都度片付けするのも億劫でなくなり、アクセサリーをつける時間が楽しくなったのだとか。ほんのちょっとのことなのですが、毎日使うものには、そういう小さなことが大切なんですよね、と村上さん。
村上さん:
「収納に関しては、やはり使用頻度で分けるのが大事だと思います。使わないものは場所を変えることで、着替えの度にそれらを変に触らなくて済み、目に入って思考が鈍ることもない。
お気に入りのものだけになることで、テンションが上がるものを毎回眺めることにも繋がりますしね」
最近では重ね付けのおしゃれにもチャレンジする気持ちの余裕も出てきて……と嬉しそうに話していました。
収納からうまれる、おしゃれ欲
「おしゃれをしよう」という気持ちは、不意に吹いてくる風のように自然と生まれるものだと思ってきたのですが、村上さんの話を聞いて思うのは、そこに「アイテムの取り出しやすさ/片付けやすさ」がとても関係していること。
ちょっとアクセサリーをつけてみようかな、と思う気持ちを作るには、それがすぐ手に取れる環境にしてあげることも大切。そうすることで、身につける頻度が増え、おしゃれが楽しくなっていくものなのかもしれません。
そんな村上さんのクローゼット収納でした。後編では、衣装製作の仕事をしている遠藤美南(えんどう みなみ)さんのワンルームを訪ねました。
▲靴箱にも、分類のコツが。お子さんのかさばるスニーカーは、靴箱とは別にバケツに保管してスペースを分けていました。
(つづく)
【写真】木村文平
もくじ
村上直子
整理収納アドバイザー、インテリアスタイリスト。アフタヌーンティーリビング事業部でディスプレイを担当後、独立。現在はフリーランスで活動中。カタログスタイリングや装飾美術も手がける。22歳と18歳の2人の息子をもつ母でもある。Instagram:@kikiuchireset
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