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第７回 サンプルが盗まれた？？
デザイナー 村田
■◇◇■ 第７回 「サンプル盗難事件！！」 ■◇◇■
おにぎりカフェを始めた当初、まず最初に実行した、販売促進の為の行動は
おにぎりのサンプルを作る事。
おにぎりという存在を知らない彼らにどういうものかを知ってもらうには、
やはり言葉や写真で説明するよりも実際見てもらうのが一番と思い、
実際に作って外に置いておいたんです。
それが、ある日店を閉める際、外に飾っておいたサンプルを中へ入れようと
すると、おにぎりが一つ減ってるんです。
三つあるはずが二つしか無い。
どこかに転がっちゃって誰かが捨ててしまったのかなと特に気にせず、
次の日また新しく一つ作って出しておいたんです。
すると次の日は別の種類のおにぎりが一つ無い。
次の日もまた一つ作って置いておいたら今度は三つ目の種類のおにぎりが無い。
おにぎりの中身が分かりやすいようにてっぺんに具をちょこんと乗っけていた
のがアダになったのか、おにぎり泥棒は律儀にも毎日一つずつ別の種類の
おにぎりを盗んでいったのです。
おにぎりももう一周したからいたずらも終わりかなと思っていたら、
懲りずにお次はオムレツの巻き寿司へ。
こちらは8等分に切り分けて置いていたんですが、こちらも一つずつこっそり
無くなっていったんです。
やれやれと思いつつも、そのまま一切れ一切れ隙間を広げつつ同じものを
出し続けると、とうとう最終的にはカピカピになった５切れの太巻きを残し、
付け合わせのサラダがお皿ごと無くなってしまったんです。
これには私ももう限界。
新たに作り直し店の中でしばらく提示することにしたのですが、
結局一ヶ月後には姿を消す運命となったのでした。
犯人はいったい誰だったのか、
何がしたかったのか、
単なる嫌がらせだったのか、
あのお皿は使われているのだろうか。
未だに疑問が残る事件です。
もう一つ、おにぎりを知らないとこういう風になるんだというエピソード。
それは、スウェーデン人のおにぎりの食べ方。
やはり、ご飯を手で食べる習慣がないので、説明をされない限りほぼ100％、
ナイフとフォークで上品に食べます。
そして上からお醤油をばしゃばしゃ掛けてぽろっぽろになったお米を
食べにくそうに食べます。（ここは上品ではない。でもスウェーデン人、
お醤油が大好きでお寿司に残った醤油を小皿から飲んだりするんです。）
うーっ、体に悪そっ。
なので私は初めてのお客様には必ずおにぎりの食べ方を
「サンドウィッチのように手でがぶりと頬張るんだよ。
そうすると中から具がちゃんと出て来るからお醤油は決して掛けないで
食べるんだよ。」
と教えてから出していたんです。
大体のスウェーデン人はその通り、私がジェスチャーで両手で食べる真似を
すると両手で食べるし、片手ですればちゃんと片手で食べてくれるのです。
とても可愛いです。
しかし、中にはどうしても手で食べるのに慣れない方もいてやっぱり
ナイフとフォークで食べるのです。
カチャカチャと陶器とステンレスがぶつかり合う、いかにもおにぎりには
似つかわしくない音をさせながら。
そしてご飯粒一つ残さず、綺麗に海苔だけ３枚ぺろんと残して。
どんだけ器用なナイフ＆フォーク捌きなのっ。びっくりです。
海苔の無いおにぎりなんて、縞の無いシマウマと一緒。
「普通のご飯じゃんっ。」
残念すぎるっと思い、海苔の豊富な海からの恵みやミネラル成分について
説明してあげたんです。
すると、いとも簡単に一口で口の中へ！
私としては、彼女らがもうちょっと恐る恐るこの怪しい黒い紙っぺらを
食べるのかと期待して見てたんですが「健康」という言葉を耳にしただけで
意外とあっさり食べてしまったので、これまたびっくりでした。
そう、スウェーデン人（特に女性）は「健康」という言葉に弱いのです。
でも勘違いも多いので結局醤油をジャンジャン掛けちゃったりもするのです。
醤油なだけにね。
スウェーデン人ったら保守的なんだけど、ホント単純なんです。
分かりやすいんだけど、理解しにくい。
これが私の思うスウェーデン人像です。
世の中には色々な人がいますね。
そして当たり前のものが、所変われば当たり前ではなかったりするんですよね。
海外暮らしは慣れない事も沢山あり大変ですが、面白いです。
次回は、ちらりと軌道に乗り始めたおにぎりカフェの様子を紹介します。
どうぞ、お楽しみに！
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