【特集|フィットする暮らしのつくり方】第1話:『常備菜』が生まれる風景を訪ねに、料理家の飛田和緒さんに会いに行きました。
編集スタッフ 二本柳
(聞き手・文:スタッフ二本柳、撮影:鈴木静華)
本日より、自分らしく心地いい暮らしをつくっておられる方を取材し、お客さまにお届けするコンテンツ「フィットする暮らしのつくり方vol.08」を全4話で公開させていただきます。
今回ご登場いただくのは、料理家の飛田和緒(ひだ かずを)さんです。
あの常備菜が生まれる現場に
お邪魔しました。
逗子駅からバスに揺られること数十分、葉山の長い坂道をのぼった先に飛田さんのお住まいがあります。
玄関から朗らかに「いらっしゃーい!」と出迎えてくれた飛田さんは、著書『常備菜』をはじめ、家庭に寄り添うやさしい味のレシピが人気の料理家さん。
身近な食材で作るおいしいレシピは当店のスタッフの間でも大好評で、「2冊以上は持ってます!」といったファンが多数なんです。
先日、店長の佐藤が『常備菜』について書いたコラムにはお客様からもたくさんの反響をいただき、飛田さんのレシピに助けられているのは私たちだけじゃないのだなあと実感することになりました。
(写真:スタッフ撮影)
「これなら私にもできる!」と、ちょっとした自信を与えてくれるような飛田和緒さんの心強いお料理。
そんなレシピを生み出す料理家さんはどんな人なのだろう?
どんな暮らしから、あの優しい家庭の味が生まれるのだろう?と、飛田さんを訪ねに気持ちのいい海辺の街へ行ってきました。
飛田和緒さんはこんな料理家さん。
おいしい記憶を培った子供時代。
(自家製の保存食がずらりと並ぶキッチン)
3年間のOL生活を経てから専業主婦となり、今は料理家として活躍する飛田さん。
「 “ただの料理好き” とか “食いしん坊” じゃダメだというからね、一応肩書きは料理家ということになっています…」と照れながら話す飛田さんは、作るというよりむしろ食べることが大好き。
子供の頃から食への好奇心が旺盛だったそうです。
飛田さん:
「祖母が熱心な食い道楽で、わたしはいつもそんな祖母に付いて歩いていました。大人の好むお寿司やうなぎ、どじょうといった食べ物を祖母の隣に座って一緒に食べていたんです。渋いでしょう?
一方で実家も来客が多く、酒のつまみなど “茶色” の食卓が常だったんですよ。子供の頃から色々なものを食べさせてもらっていたから、初めての味というものに対しても興味津々で、当時から食べることが大好きでした」
そんな飛田さんが本格的に料理を始めたのは、独立して自分の台所を持つようになった10代の頃。
その頃からずっと料理が大好きだった飛田さんがそれを仕事とするきっかけを作ったのは、ある週刊誌の連載でした。
当時アシスタントとしてお弁当を作ったり、家に呼んで食事をふるまったりという付き合いをしていた女流作家さんから「一緒に料理の連載をしないか?」という誘いを受けて始まった、初めての料理の仕事。
その後、主婦業をつづける傍らゆっくりと、飛田さんのもとへ仕事の依頼が増えていくようになります。
生活があってこその料理。
(お料理のほとんどは、雪平鍋で作ります)
料理家然としておらず、取材中も終始リラックスした様子の飛田さんに「自分らしいと思う時って、どんな瞬間ですか?」という質問を投げかけてみました。
飛田さん:
「自分らしさを隠してしまうとすごく疲れちゃうってことが、だんだん分かってきたんです。だから、いつもどこでも自分らしくない瞬間はないかなと思います」
どんな状況でも、自分らしさを偽らないという飛田さんのスタンス。それは料理も例外ではありません。
初めての連載以来、10年かけて少しずつ仕事が増えていき、本格的に「料理家」として仕事をしていくこととなった飛田さん。
そんななか特に気張るでもなく、飛田さんにとって料理は変わらず “生活全体の一部” という存在でそこから離れることはありませんでした。
飛田さん:
「ある取材の時なんかは『作品を見せてください』なんて言われて『え?作品ってなに?』と呆気にとられてしまうような状態…。 あきれられてしまったくらいです」
こんなエピソードからも、飛田さんにとって料理がどんなものであったかが垣間見えるような気がしますね。
「主に家庭料理を紹介している私の場合、自分の生活があってこその料理。だからそれをオブラートに包むようなことはしたくないなあと思っているんです。料理が面倒になることだってもちろんありますしね(笑)」
そう話す飛田さんは、献立を考える夕方の自分がどうしたら明るい気持ちになれるか?と、自身が暮らしていくなかで生まれた工夫もレシピに反映させているのだそうです。
私たちも頼りにしている常備菜は、料理の本質を普段の生活の中に見いだす、飛田さんならではの視点から生まれたレシピなのかもしれませんね。
あの常備菜が生まれる風景は、
「普段の生活」にありました。
「自分の時間がぽっかりできたら、日常的な家事がしたいです。家の片付けとかね…」と話す飛田さんは、料理家である前に、妻として、母として「普段の生活」をしっかりと送ろうとしている様子。
どこか肩の力が抜けた佇まいを目の前に、各家庭で多くの支持を受ける料理の秘密は、こんなところにあるのかもしれないという印象を抱きました。
飛田さんのレシピは、身近な食材で作れる簡単なものばかり。
どこかで食べたことがあるような、家庭の味に親しみを感じている方も多いかもしれませんね。
そこには、飛田さん自身が私たちと同じように独立した大人として、あるいは主婦として、暮らしの一環でお料理をしているという背景があるのかもしれません。
私たちが頼りにしている『常備菜』が生まれる風景も、日々の生活を奮闘するその台所にありました。
第2話からは人気料理家でありながらマイペースに日常を過ごす飛田さんの、その暮らしぶりについて迫りたいと思います。
そこには “欲張らない” という、飛田さんらしい秘訣が隠されていたんです。どうぞお楽しみに!
★飛田和緒さんの著書の一部はこちらです。 ↓↓↓
常備菜 飛田 和緒 主婦と生活社 2011-10-07 |
主菜 飛田和緒 主婦と生活社 2013-05-31 |
野菜のおかず 飛田 和緒 学研パブリッシング 2015-04-21 |
ひだパン: 飛田和緒さんの「食パン」ごはん 飛田 和緒 東京書籍 2015-03-06 |
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