【きっかけの一冊】転職への一歩を踏み出したのは、この言葉にドキッとしたから。
編集スタッフ 二本柳
文・写真 スタッフ二本柳
生き方を変えた一冊。
「生き方」というとちょっと大袈裟かもしれません。
でも、ほんのちょっとのきっかけに背中を押され、その後の人生が変わることってあるのではないかと思います。
そのきっかけというのは、家族や友人の一言であったり、旅行先や日常生活で起こった出来事であったり。そして、本の中の一節に気づきを得ることも。
こちらの特集では、仕事や暮らし、子育てなどあらゆる角度から、当店のスタッフが「今の自分をつくってくれた一冊」と考えている本をご紹介していきます。
よりよく暮らしたい、という共通の思いを抱きながら、うまくいったりいかなかったりを繰り返して奮闘するわたしたち。そんな姿に共感していただいた方に「この本、よかったよ」と薦める気持ちで本編をお届けできたら嬉しいな、と思っています。
転職 × Book
当店のスタッフは、皆が中途入社。どこか別の場所での経験を経て、そこからここ、クラシコムにやって来ました。
連載第1回に登場するのは、前職に満足してはいたものの、働き方に何かしらの違和感を抱いて「転職」という結論に行き着いた3名のスタッフ。彼らのきっかけを作った大切な本を紹介してもらいました。
01. バイヤー加藤
この一節:
「人は二種類に分かれるのではないかと思います。夢をみてわくわくしている人と、現実だけ見つめている人と。」
-石村由起子『私は夢中で夢をみた』(p.138)
「くるみの木」のオーナーである石村由紀子さんは、夢を見つづけ、道を切り開いていった方でした。そのエピソードは本の前半にも書かれていますが、なかでも私がドキッとしたのは最終章の言葉です。
「人は二種類に分かれるのではないかと思います。夢をみてわくわくしている人と、現実だけ見つめている人と。」
当時、広告会社での営業をしていた私ですが、いつかインテリアや雑貨にまつわる仕事に就きたいという夢をずっと持っていました。でもそのはずが、わくわくどころか、夢に対しては卑屈な気持ちになっていました。インテリアの知識もなければ、いま仕事を変える余裕もない。夢なんて叶えられるはずがない……と。
でもこの本を読んだ後、それって、石村さんのいう「現実だけ見つめている人」になっているのかも、と気が付いたんです。新しい環境にチャレンジするのが怖くて、なにかと理由をつけて先延ばしにしているだけなのでは?
私も石村さんのように夢をみてわくわくしたい、夢を叶えたい。
とはいえ前職での仕事はとても充実して、辞めたいと思うことはありませんでした。でも将来ずっと続けているだろうか?と考えたときに、違うかもしれないという思いはあったんです。
仕事が休みの日は、大好きな雑貨屋さんに出かけたり、作家さんの展示やワークショップに出かけたり。雑貨やインテリア、暮らしのことを考える休日の私が、本当の自分!と思っていて。
石村さんの場合は「夢のことを口に出す、思い浮かぶイメージを周囲に話す」と書いているのですが、私は自分の夢のイメージを紙に書き出してみました。
それから、ちょっと猶予をもって、2年後くらいに転職するというゴールを定め、それまでに身に付けたいことを書いていったんです。まずは暮らしにまつわることで一番興味があった、アロマを習って資格を取ろう、ウェブ周りの知識に自信をつけるためにwebデザインの学校に通おうとか。年間から書いて、月間に落とし込んで計画表みたいにして、将来自分がどうなっているかイメージを書いていきました。
これはとても良かったです。書くと一段とイメージが具体的になっていって、視野が広がった気がしてわくわくしました。
それからは、実際にアロマやウェブの学校に通いながら行動に移していったのですが、そのこと自体が夢に向かって進んでいるように思えて、職を変えることに感じていたなんとなくの不安がなくなり、ポジティブに感じられるようになりました。そして結果的には計画よりもっと早く、1年後くらいには転職したと思います。
02. スタッフ渡邉
この一節:
「選ぶ自分は、いるのか?」
-山田ズーニー『おとなの進路教室』(p.72)
「自分らしくない時間は、ない!(中略)なぜなら私は、自分で考え、自分で決めてきたから」
-山田ズーニー『働きたくない』(p.92)
20代後半に入ったくらいから、周りがだんだんと転職したり新たな一歩を踏み出すのを見てはうらやましくなったり、このままでいいのかなと思いながらも何もできない自分が情けなくなったりということが増えてきていました。
そして、そのころに手に取ったのがこの2冊でした。
どちらもズーニーさんご自身の仕事に対する考え方や、読者の方からのお便りが多く載っているのですが、すらすら読むというのではなく、少し読んでは立ち止まり、自分に置き換えて考えながら読みました。
特に印象的だったのは、『おとなの進路教室』のLesson9に出てくる「選ぶ自分は、いるのか?」というフレーズ。多すぎる選択肢や情報のなかで、それを選択をする自分がしっかりいるのかどうか?
それから『働きたくないというあなたへ』の第1章に出てくる、春姉さんという方のエピソードも印象的です。春姉さんというのは過去にズーニーさんのワークショップにいらした方だそうですが、最も自分らしい時間は?という問いかけに対して春姉さんは「自分らしくない時間なんてない、なぜなら私は、自分で考え、自分で決めてきたから」と答えたんだそうです。
当時、この2つを見て、すごくドキっとしました。これまでの自分を振り返ってみると、自分で進路などを決めてきたつもりだったけれど、実際には流されてきたことも多かったなと。
私も自分で選びたいし、自分で決めたい。
そのために、私はどんな仕事を、どんな暮らし方や働き方をしたいのか?をじっくりじっくり考えた結果、クラシコムへの転職に至りました。
03. スタッフ長谷川
この一節:
「働く側にとって重要なキャリア目標、つまりハッピーキャリアの法則は、次に集約される(中略)。
『コア動機』と『コア能力』、この二つを拡大・交差させた部分で『現実の仕事』を得る(p.61)」
-渡邉正裕『35歳までに読むキャリアの教科書』(p.61)
仕事を辞める人が多いといわれる「三日・三月・三年」に、25歳の僕は直面していました。この本と出会ったのは、入社3年目に好きだった部署から異動になり、仕事と会社に行き詰まりを感じた頃です。
著者が平均3時間×300人強もの20代、30代のビジネスパーソンにインタビューして導き出した、これからの若手世代へのキャリア論が記されています。数ページ読み、すぐさまレジへ向かったのは、本書が提案するキャリアフレームにグッときたから。
「動機・能力モデル」と呼び、「できること(知識・技能)」と「やりたいこと(夢・欲求)」のそれぞれを大きくして、2つが重なる部分で仕事を得ることを大切にしています。本編ではこのモデルで働く人々のレポートがまとまっており、僕を勇気づけてくれました。いいなぁ、こっちに行きたいぞ。
当時の僕は、思い返せば「社会人になろうとしている社会人」でした。スーツはいつまでも着慣れず、誰かの人生に袖を通して羽織っているような感じ。「できること」も「やりたいこと」もそれほど考えずに働いていました。「何のために?」と聞かれたら「何かのために」としか、たぶん言えなかった。
そこから僕は「自分のつくったものが世の中で価値を持つような仕事がしたい」と行き当たり、持っていた能力と欲求を見つめ直しました。よし、編集者やライターになろう。会社ではなく職種を変えるんだと決意して、転職活動に向かったのを思い出します。
(つづく)
本日ご紹介した本の情報。
私は夢中で夢をみた―奈良の雑貨とカフェの店「くるみの木」の終わらない旅 石村 由起子 文藝春秋 2009-05 |
おとなの進路教室。 山田 ズーニー 河出書房新社 2007-03-16 |
「働きたくない」というあなたへ 山田ズーニー 河出書房新社 2010-08-18 |
35歳までに読むキャリア(しごとえらび)の教科書 就・転職の絶対原則を知る (ちくま新書) 渡邉 正裕 筑摩書房 2010-10-07 |
もくじ
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