【はたらきかたシリーズ】出版ユニットnoyama 第2話:『つながる外ごはん』ができるまで。
編集スタッフ 津田
自然とアウトドアをテーマにした出版ユニット”noyama”として活躍する、木工アーティスト・しみずまゆこさん、編集者・高橋紡さん、写真家・野川かさねさん、料理家・山戸ユカさんに、働きかたについて全3話でお話を伺っています。
第2話では、アウトドアという共通の趣味をきっかけに知り合った4人が、2010年に初めての書籍『つながる外ごはん』を発行するまでの、本づくりの裏側についてお聞きします。
もくじ
書籍『つながる外ごはん』ができるまで。
↑写真家・野川かさねさん
自分たちが読んで楽しいアウトドア雑誌を作りたい。もっと多くの人に自然のなかで過ごす楽しさを伝えたい。
まだ”山ガール”という言葉もなく、アウトドアを楽しむ女性に向けた雑誌や書籍が少ないなか、高橋さん・野川さん・山戸さんは、その共通の思いから出版社へ企画を持ち込み、noyamaというユニット名で本づくりをはじめます。
野川さん(写真家):
「出版社にプレゼンに行くときには、企画書だけでなくサンプルの写真も添えていました。自分たちがどんなことを、どんなテイストで表現したいと思っているのか、私たちもしっかり持っておきたかったので」
写真があることで、ぼんやりと思い描いていた「noyamaとしてやりたいこと」が具体的になっていった、と4人は口を揃えます。
じつは当初の企画では、料理だけでなくキャンプのノウハウ全般的なことを盛り込もうと考えていたそう。
高橋さん(編集者):
「でも出版社のかたから、もっと内容をしぼった方がいいと言われたんですよ。
それで私たちらしく作れるコンテンツって何だろうとみんなで考えて出来上がったのが、1冊目の『つながる外ごはん』だったんです」
↑編集者・高橋紡さん
BBQじゃない外ごはんの本を作りたい。自然の中だからこそ旬の野菜を食べたい。その方向性がはっきりと見えたことで、本づくりも本格的にスタートしていきます。
そして書籍を発行したのは2010年4月。撮影をはじめた頃から含めると、制作期間は約1年になりました。
山戸さん(料理家):
「私たちも出版社のかたも、本を作りながらイメージを固めていった部分が多かったので、通常よりも完成までに時間がかかりました」
野川さん(写真家):
「全部撮り終わったー!と思ったら、やっぱりこういうのも欲しい、という話が出たり。写真も撮りすぎてしまって、ページに収まらないからとボツにしたものもありました(笑)」
高橋さん(編集者):
「本作りってリレーなんです。
編集の方から提案されたのが、
手さぐりだったnoyamaとして初めての本づくり。思いのほか年月はかかったけれど、できあがった1冊は四季折々の風景と料理が収録され、装丁や紙質にもこだわりぬき、全員が納得出来るものが出来上がりました。
noyamaとして何をつくるかは、全員で考える。
↑noyamaの著書
4人には「アウトドア」という共通の趣味や伝えたいことがあったとはいえ、その楽しみ方は4者4様だったそう。
noyamaとしてひとつのカタチにまとめるにあたり、一体どのように企画や内容をすり合わせているのでしょうか。
しみずさん(木工アーティスト):
「ひとりひとりが個人の仕事を持っているし、キャンプが好きだったり山に行くことが多かったりと楽しみ方も違うのは確かです。
でも、自然や屋外で過ごす楽しさを伝えたいという思いは共通しているので、それを伝えるために、“noyama”らしさを出すためにするべきことは何だろうって、いつもみんなで話し合っています」
このことを、編集者の高橋さんは「全員でnoyamaを編集している」と表現します。
高橋さん(編集者):
「わたしたちは1冊目の『つながる外ごはん』も、2冊目の『noyamaのおつまみいろは』も料理にまつわる本を作りました。
料理やレシピをつくるのは山戸さんですが、ほかの3人も『こういう料理があったらいいな』という意見を出しますし、掲載するメニューを決めるのは全員の話し合いなんです。ページ構成も通常では編集者が考えることが多いですが、noyamaでは全員で考える。
そういう意味では、それぞれの仕事や得意としていることの枠を超えて、みんなで考えて編集している感じです」
↑左:料理家・山戸ユカさん、右:編集者・高橋紡さん
2冊目の書籍『noyamaのおつまみいろは』では、そんなnoyamaの本づくりの特徴的ともいえるエピソードがありました。
山戸さん(料理家):
「企画段階でわたしがメニュー名を出したら、みんなから『正直がっかりした』『もっと出来るはず!』など、すごく厳しいコメントをもらいました。
たまたま旅行中にやり取りしてたんですが、そんな返信メールをホテルで見たときはガクーっと落ち込んで。もう徹夜で作り直しましたね(笑)
でも、そこが楽しい部分だとも思います。自分ひとりでは、想像すらできなかった料理が生まれたりもしますし」
↑料理家・山戸ユカさん
↑木工アーティスト・しみずまゆこさん
しみずさん(木工アーティスト):
「わたしはこの本でイラストを描いているのですが、それもみんなの後押しがあったからなんです。
自分では苦手だと思っていたイラストも、思い切って挑戦してみると、ほかの3人から『いいじゃん!』って言ってもらえたり。
noyamaらしい作品づくりを突き詰めていくなかで、自分の可能性をみんなに広げてもらうこともあるんですよね」
↑noyamaの共著の一部
もっとこうしたい。どうにかして、こういうものは作れないだろうか。
料理やイラストにかぎらず、写真のスタイリングや書籍のデザインでも、4人の間ではいつも率直な意見を出し合ってきたのだそう。
だからこそ、全員が納得できるものを作れたときの喜びは大きいのかもしれません。
ページをめくる毎に感じられる”noyamaらしさ”は、4人がそれぞれの仕事の枠を超えて全員でnoyamaを編集していくなかで、少しずつ形づくられたものだったことが分かりました。
明日の第3話では、本づくりにとどまらないnoyamaの活動や、このユニットにかけるそれぞれの思いについて伺っていきます。
(つづく)
▼noyamaさんの著書の一部はこちら。
つながる外ごはん (be peaceful books) noyama 小学館 2010-04-07 |
noyamaのおつまみいろは noyama 大泉書店 2013-04-02 |
外あそび&外ごはんをはじめよう noyama 文藝春秋 2014-04-15 |
(聞き手・文 スタッフ津田、写真 キッチンミノル)
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