【コンディションづくり】料理人・長谷川知子さん編 第3話:自分の体や心が発する声に、どこまで耳を澄ませられるだろう?

ライター 本城さつき

_DSC3615写真 衛藤キヨコ

東京郊外の東村山市で和食店「結う食 SASAYA-楽屋(ゆうしょく ささや)」を営む長谷川知子さんに、日々のコンディションを整える方法について、おうかがいしています。

最終回の今日は、子どもたちと過ごす時間や、暮らしの中の小さな楽しみについて、お話しいただきます。

 

実は自分のためでもある、読み聞かせの時間。

_DSC3580▲家には、長谷川さん自身が読んだ絵本もたくさんあるそう。

料理人としてお店を切り盛りする日々を送りながら、5歳、3歳、1歳の子どもを育てるお母さんでもある長谷川さん。お店が休みの日は、思い切り子どもたちと向き合います。

中でも絵本の読み聞かせは、本の内容はもちろん、それを受けた子どもたちの反応が、忙しさにざわざわと波立った心も穏やかにしてくれるのだそう。

「母が絵本作家だったこともあり、子ども時代は、毎晩絵本を読んでもらっていました。それがすごくいい思い出として残っているので、自分の子どもたちにも、できる限り読んであげたいな、と」

そう考えて始めた読み聞かせでしたが、長谷川さんは、しだいに自分が癒されていることに気づきました。

_DSC3343▲お店のBGMは、もともと好きで聴いているアーティストばかり。

「子どもたちに読むことで、自分もまた暖かな気持ちに満たされます。彼らが喜ぶ様子を見るのは、素直に嬉しいものですし。面白いのは、子どもは絵本の世界と現実の境をわかっていないところがあって、本の見開きいっぱいに描かれた桜の花を見て『お散歩に行こう』と言い出したり(外へ行けば、その風景が見られると思っている)、食べ物が描かれたページがあると、手を伸ばして取ろうとしてみたり(食べようと思っている)。

そんな反応のひとつひとつが新鮮で、ハッとさせられたり、笑わされたり。本を閉じた時に、とてもゆたかな気分になるんです」

絵本の時間は、長谷川さんのコンディションをまあるく整えてくれる宝物のような時間。もちろん子どもたちにとっても、記憶の奥底にいつまでも残る、幸せなひと時に違いありません。

 

子どもが料理に興味を持ってくれることが、嬉しい。

_DSC3471-2▲仕込みの前の、ひと休み。

また、5歳と3歳の男の子たちは、最近、料理にも興味しんしん。家にある料理本や料理番組を見て、作ってみたい!と言い出すことが増えてきたそう。

「作りたいのは、ケーキとかビスコッティとか、ほぼお菓子。要は、食べたいんですね(笑)。ともあれ、自分の仕事である料理に興味を持ってくれるのはやっぱり嬉しくて、作りたいと言われると、大変なのはわかっていても無視できない。保育園がお休みの週末の、午前中にチャレンジします」

ところが、いざ始めてみると、案の定兄弟ゲンカが勃発。しかも、おぼつかない手元を見かねて長谷川さんが手を出すと、「卵を割りたかった」とか「混ぜたかったのに」など、ますます大騒ぎに……。特に粉ものは、舞い散った後片付けが大変!

「できあがる頃にはすっかりヘトヘトですが、それでもやっぱり、みんなで作ったお菓子はおいしくて。疲れながらも、コンディションは悪くないぞ、という(笑)」

もう何年か後には、末の女の子も加わって、ますます楽しい時間になりそうです。

 

日常の小さな楽しみが、コンディションを支えてくれる。

_DSC3340▲蚊帳生地で作られた白雪ふきん。使い古したら掃除道具に下ろし、最後まで使い切る。

日々の家事の中にも、長谷川さんのコンディションづくりに欠かせない小さな楽しみがあります。それは、なんと、掃除。面倒ではないのですか……?

「気分転換にうってつけなんです。家の掃除は、朝出かける前にサーッと済ませることがほとんどですが、朝食の洗い物をして、掃除機をかけて、散らかったモノをあるべき場所へ戻して。なんでこんなところにこんなものがあるのー! などと怒りながらやることも多いのですが(笑)、体を動かすことができて、部屋も片付くし、終わると気分スッキリ。気持ちよく家を出られます」

小さな子どもがいる家の中では、片付いた状態はなかなか続かないものの、「もう!」と言いながら楽しんでいる様子が印象的。この大らかさこそ、いいコンディションをキープする秘訣に違いありません。

料理を作ることが仕事の長谷川さんですが、自分が食べることも、もちろん楽しみです。例えば、朝ごはん。

「朝は、自家製パンで簡単に。食べること自体が楽しみというより、お店がある日は、朝が子どもたちとやり取りできる唯一の時間なので、それが楽しみですね。時には、『今日お弁当なんだけど』などと突然言い出されてびっくり! ということもありますが(笑)。子どもたちのその日の様子も観察できて、大切な時間です」

_DSC3223▲食べるのも料理するのも楽しい、野菜。

季節の野菜を口にすることも、喜びのひとつ。

「特に好きな野菜は、カブ。生でも漬物でも、スープでも炊き合わせでもおいしい包容力が好きなんです。旬を迎えると、ちょっとテンションが上がります。それから、春を告げる山菜や、夏のゴーヤなど、苦味がある野菜も好きですね」

季節がめぐるにつれて変わっていく、野菜の顔ぶれ。食べることで季節を感じ、楽しい気持ちになれば、心身のコンディションも自然と整います。

 

小さな楽しみをこまめに拾って、五感で味わう。

_DSC3307▲看板は、鉄作家の友人に作ってもらったもの。世田谷時代から変わらない。

料理人としてお店に立ちながら、お母さんとして日々を過ごす長谷川知子さんの、コンディションの整え方をうかがってきました。
同じく料理人の旦那さんとふたりで営むお店なので、仕事も子育ても、すべてふたりで協力しながらゆっくりと。そうして、お店はこの4月で10年を迎えました。

お話をしながらたびたび感じたのは、自分の体や心が発する声への敏感さ。そして、「何も決まったメンテナンスをしていなくて」と言いながらも、本格的に具合が悪くなる前に持ち直すことができたり、忙しい時こそ、いっぱいいっぱいな心の声をユーモラスなつぶやきに変えて発することができるのは、長谷川さんが、忙しい日々の合間に潜む小さな楽しみを、こまめに拾い集めて味わえる人だからではないでしょうか。

食べることに真剣に向き合いつつ、無理はしすぎない。そんな姿勢を見習って、まずは楽しく食べることから始めてみたいなあと思いました。

自分の体の声、心の声に、もう少しだけていねいに、耳を傾けながら。

 

(おわり)

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長谷川知子(結う食 SASAYA-楽屋店主)

埼玉県出身。東京・西荻窪「のらぼう」を経て、2006年4月世田谷区に夫婦で「楽屋」を開く。2014年に東村山市へ移転。地元でその日の朝に収穫された野菜を使って、誰もが安らぐ料理を作り続ける。http://u-sasaya.sakura.ne.jp

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ライター 本城さつき

東京都出身。出版社勤務を経て、現在はフリーのライター・編集者。雑誌や書籍でライフスタイル系の記事を手がける。食の分野では、お店の取材、生産者さんの取材を中心に、レシピも少々。食以外では、雑貨、グリーン、旅なども担当している。

 


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