【クラシコムのしごと】“ちょうど良い”をみつけるために、今この瞬間の真ん中を探究し続ける。半年に一度の「リアル全社会議」を開催しました
【欲ばらないふたり】前編:人にも、モノにも、チームにも頼れるように。「仕組み」で進んでいくのが大切なんですね(森下 × 壽山)
ふだんはせわしなく、仕事と向き合うクラシコムのスタッフたち。ゆっくり、じっくりと、お互いのこれまでを振り返って話す時間は......実はそれほど多くありません。
でも、あらためて話してみると、人となりがもっとわかったり、新鮮な発見が得られたりするもの。そこで、スタッフ同士でインタビュー(というより、おしゃべり?)してみる機会を持ってみることにしました。
今回はMDグループで商品の仕入れを担当する森下と、メディア編集グループで読み物を中心としたコンテンツを作る壽山が登場。森下は2018年入社、壽山は2016年入社ですが、どちらも産育休を経験しながら働いています。
仕事の内容が直近の数年でも変わり続けている2つのチーム。この変化に、産育休を挟みながらも対応しているふたりは、どんな気持ちでチームのテーマに向き合い、日々の仕事に取り組んでいるのでしょうか。
前編は主に壽山が聞き役となって、森下に色々と質問してみました。
もっと仕事に「想い」を乗せることって、できないのかな
壽山:
森下さんって、クラシコムの前には、どんなお仕事をしてきたんですか?
森下:
海外のベビー用品全般を扱う専門商社で働いていました。大学で教育学を修めていたのもあって、子どもの世界をより良いものにできたらと思っていました。子どもに大きな影響を与えるのは親だからこそ、そこへアプローチする仕事ができないかなと。
海外からの買い付けや輸入の仕組みも学べて面白かったですね。海外ブランドをどう国内へ広めていくか、という「ブランディング」も自分なりにやったりして。
壽山:
そこからクラシコムへ移る理由が、何かあったのですか?
森下:
商社が仕入れた商品がお客様へ届くまでには、自社の営業担当、卸商や問屋、小売店といった様々な人を介していきます。私が「こんなふうに広めたい」と思っても、全員で同じ思いを共有するのはなかなか難しくて……。
壽山:
「北欧、暮らしの道具店」みたいに、お客様と直接つながれない構造なんですね。
森下:
そうですね。いつからか、私にたくさんの想いがあっても伝わりきらない現実が、なんとなく寂しいというか……悔しいというか。もっと「想い」の部分を届けられる方法があるはずだと試行錯誤はしたけれどうまくいかず、もやもやする時間が続きました。そんな時に「北欧、暮らしの道具店」の読みものと出会って、強く心が動いたんです。
愛用品コラムが気づかせてくれた、お客様とのつながり
壽山:
そうなんですね!どんな読みものだったか、覚えていますか?
森下:
今でも忘れないのが、スタッフ竹内のHARIO「炊飯用土鍋」の愛用品の読みものです。お米にはこだわりがある方なのですが、初めての一人暮らしをしていて、炊飯器は間に合わせのものだったんです。そうしたら、味がイマイチで……。
壽山:
あー、なんでおいしくないんだろうと思って、炊飯器のせいにしたんですね(笑)。
森下:
そう! そもそもキッチンも狭いし、どうせ新しいものを買うなら、土鍋にチャレンジしてみようかなと。そうして、ごはんを炊く方法を色々と検索した時に「読みもの」が出てきました。そこで、土鍋の使い方の説明以上に「物一つから、その人が見える」って、すごくいいなって感じたんです。
壽山:
炊飯用土鍋、買いました?
森下:
実はこの頃にプレゼントでいただいて。炊飯器よりも早くできあがるのにおいしくて、今でも重宝しています。
その読みものをきっかけに「北欧、暮らしの道具店」を見るようになって。そうしたら、ある時にスタッフ募集が出たんです。まさに私がもやもやしていた、「物を通じて想いを乗せて、どういうふうに人の暮らしに携われるか」を届けられることにチャレンジできると考えて、応募することにしました。
入社してみたら「みんなキビキビ仕事してる!」
壽山:
クラシコムに入社してから、最初はどうでした?外から見ていた印象と違いはありました?
森下:
良い意味で、ありました! お店の雰囲気から、「18時退社が基本」と聞いてたから、皆で落ち着いてとゆったりと働いているかと思っていたんですけど……みんなキビキビ仕事してるなって。
壽山:
確かに、外から見ているのと印象違いますもんね(笑)。
森下:
そうなんです。みんなで和気あいあいと盛り上がっていたと思いきや、ふっとした次の瞬間に、みんな黙々と仕事へ戻るような感じ。メリハリがはっきりしているんでしょうね。
でも、すごく良いギャップでした。「メンバーのそれぞれの得意や強みを活かして、気持ちよく働きつつ、お店の価値をどうしたらあげられるか」を、全員で模索しながら向き合っている印象を受けました。
クラシコムでの会話って「本題を話せばOK」で、気を遣うところが少なくありませんか?
壽山:
あぁ、わかります。さっぱりしていますよね。私も入社して驚いたのが、同じように考える人がこんなにいるんだ、ということだったんです。会社から一歩出れば、いろんな人と「すり合わせること」が当たり前だと思っていたから。「これを言ったらだめかな?」みたいなことがなくて、話すべきことをフラットに伝えて、終わったらすぐ解散みたいな。
森下:
それって、青木さん(※クラシコムの代表青木)がよく言いますけど、「みんなで同じ船に乗って、それぞれの役割を果たしながら同じ方向を目指している」という心地良さかなと思うんです。
壽山:
心地良いですよね。確かに、都度つど言ってくれますもんね。「今こういうことが気になっている」みたいなことを全体会議などで伝えてくれるから、すり合わせもできますし。
森下:
そこへ向かって自分の持ち場をよりよく進めよう、と思える道筋を考えられるんですよね。
産休からの復帰は「アクセル全開」で失敗しました…
壽山:
森下さんは入社後に産育休も経験されましたよね。今振り返って、思うことはありますか?
森下:
私は二度取っているのですが、特に反省しているのは最初のお休みです。産休中は、とにかく早く戻って仕事がしたかったんです。「早く会社に、チームに貢献したい」って。それで「アクセル全開」で戻ってみたら……2ヶ月くらいで爆発しちゃって。
壽山:
爆発......?
森下:
いろんな仕事を自ら引き受けるくらい積極的だったんですが、2人目の妊娠が重なり、悪阻も重くて体が全然ついていけず……。しかも、子ども経由で新型コロナにも感染。「もう無理だ」と2週間ほどお休みをいただくことにして、結果、スタッフたちにも迷惑をかけてしまうことに……。
それを教訓に、2人目の復帰の時はもう「絶対に頑張らない」って決めたんです。
壽山:
でも、頑張りたくなる気持ちも分かります。森下さんの「頑張らない」は「手を抜く」とは違いますよね。どういうイメージでしょう?
森下:
「欲張らない」が近いですね。チーム全体がさらにパワーアップしていたので、流れに身を任せて、自分ができる仕事をしよう、と。
壽山:
流れに身を任せることで、森下さんなりの役割を見つけたんですね。
森下:
そうですね。あとは、ベストではなくベターでも十分、と思うようになったり。休んでいた期間、外からお店を見てきたことを言葉にして、みんなに向けて伝えるのも役目だと思ったり。あとは、年齢を重ねたのも大きいかもしれません。個人的には、いわゆる「働き盛り」だからこそ立ち止まらないといけない歯がゆさもありますけど。
壽山:
仕事の変化に加えて聞いてみたいのが、家庭での役割分担みたいなものも変わったりしましたか?
森下:
変わりました。子どもたちがそれぞれ別の保育園が分かれたのもあって、夫婦で分担を見直したり。でも結局は、自ら抱え込んで倒れてしまうより、自分がご機嫌だと家族もご機嫌になると思って、まずは私自身を大事にしようと。
壽山:
本当にそう思います。お母さんが病気になったら大変ですもんね。
森下:
そうそう。だから最近は人にも頼るし、チームにも頼るし、モノにも頼るし。本当にいろいろな「仕組み」で進んでいこうとなりました。
壽山:
あぁ、わかります。自分なりに新しい仕組みを考えて試してみて、うまくいったら「よし、これでしばらく行こう」と思う。でも、しばらくしてまた「うまく回らないな…」と思ったりして、仕組みを変えてみたり。私も、その繰り返しです。
森下:
仕組みという意味では、MDグループも育児中のスタッフが増えたこともあって、どうしてもお休みが必要なときに頼みやすくなったり、お互いに誰も嫌な顔せず引き受け合ったりと、チームで補い合える部分も助かっていますね。
小さな積み重ねが、いつの間にか、大きな変化になっている
壽山:
MDチームも変化が大きいと思うんですけど、それについてはどう感じていますか?
森下:
その瞬間ごとでは大変だなって思うことはあれど、「変わらないために変わる」プロセスの一つだと捉えています。
毎月の全体会議で目的を共有してもらえているのもあって、「なぜ、この仕事をやるのか」に疑問を抱きながら進めることもなくて。目的が分かるから、その大変さも「意味のある苦労」だと思えて、マイナスに感じないのかもしれません。
壽山:
確かに「みんなで変化を作ってる」っていう感覚がありますよね。
森下:
本当にそうですね。自分たちの持ち場で新しいことをやった小さな積み重ねが、いつの間にか「北欧、暮らしの道具店」を変えているような実感があるんです。
ほんの数年前までお取引がなかったブランドが、気づいたら主軸になっていたり。みんなそれぞれで「ありたい姿」を解釈して地道に開拓してきた、動いた結果がそうなってるのかなって思います。
壽山:
これからもっと「やってみたいこと」ってありますか?
森下:
海外へ買い付けに行ってみたいと思っています。今までも別注や特注での展開はありましたけど、もっとできることはあると思うんです。まだ日本法人もなくて、現地でしか手に取れないけれど、私たちにフィットする魅力的なものを、先駆けてご案内できるようにしたいですね。
(つづく)
【写真】川村恵理
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