【欲ばらないふたり】前編:人にも、モノにも、チームにも頼れるように。「仕組み」で進んでいくのが大切なんですね(森下 × 壽山)
【欲ばらないふたり】後編:健やかな暮らしをベースに。今日も人生の先輩に「希望」を学んでいます(森下 × 壽山)
ふだんはせわしなく、仕事と向き合うクラシコムのスタッフたち。ゆっくり、じっくりと、お互いのこれまでを振り返って話す時間は......実はそれほど多くありません。
でも、あらためて話してみると、人となりがもっとわかったり、新鮮な発見が得られたりするもの。そこで、スタッフ同士でインタビュー(というより、おしゃべり?)してみる機会を持ってみることにしました。
今回はMDグループで商品の仕入れを担当する森下と、メディア編集グループで読み物を中心としたコンテンツを作る壽山が登場。森下は2018年入社、壽山は2016年入社ですが、どちらも産育休を経験しながら働いています。
仕事の内容が直近の数年でも変わり続けている2つのチーム。この変化に、産育休を挟みながらも対応しているふたりは、どんな気持ちでチームのテーマに向き合い、日々の仕事に取り組んでいるのでしょうか。
後編は主に森下が聞き役となって、壽山に色々と質問してみました。
前編を読む「呼ばれて呼ばれて」インテリアから編集者の道へ
森下:
壽山さんって、ずっと編集の仕事を続けてきたんですか?
壽山:
いえいえ、全然。心理学が学びたくて大学に入ったけれど、勉強したらそれを職業にするイメージが湧かなくて…ダブルスクールで、インテリアと建築の学校にも通ったんです。
大学を卒業して、最初はインテリア関係の仕事に就きました。そこでカタログ的なものを作る仕事があり、社長から「キャッチコピーを考えてみて」と言われて(笑)。
森下:
そこが編集との出会いだったんですね。
壽山:
今思えば、それが最初のきっかけですね。「言葉を添える」という面白さに気付かされた瞬間でした。
そうしたらある時、「デザイナーさんを12人くらい取材して、ムック本を作るからやってみない?」と声をかけてもらい、面白そうだからやってみようと。扱ったこともない一眼レフを渡されて、話を聞きながら写真も撮って……と。
森下:
今のお仕事にグッと近くなりましたね。
壽山:
それをまたきっかけにいろんな方に呼ばれて呼ばれて、編集の仕事にどんどん引き寄せられていった感じです。転職をして、新聞社で生活情報を担当したり、一番好きだった雑誌の出版社に入ったり。それが、クラシコムに入る前まででした。
大切なのは、暮らしが健やかに回ること
森下:
一番好きだった雑誌を作れるお仕事をしていたのに、どうしてクラシコムに転職しようと思ったんですか?
壽山:
出産がきっかけです。その出版社で働いてた時は、本当に真夜中まで働いていて、とてもこのサイクルだと子育てしながらは働けないだろうなと思いました。それで一旦、仕事を見直すことにしました。そんな時に「北欧、暮らしの道具店」の読みものに出会って。あぁ、このメディアの距離感が心地いいなって感じたんです。
森下:
距離感ですか?
壽山:
作っていたのは、テーマも含めてニッチな雑誌だったので、限られた人に向けて作っている感覚がありました。でも、「北欧、暮らしの道具店」の読みものが届けていることって、私にとってはマスメディアだと思ったんです。「みんなのため」の情報発信だなって。
子どもを産んだことで、もっと地に足をついて暮らしたいと考えていたタイミングでもあって、自分の気持ちとリンクする部分も大きかったです。
森下:
壽山さんも産育休を経験されてますよね。
壽山:
クラシコムでは2人目の時に産育休を取りました。産んだのが41歳だったこともあり、ちゃんと働き続けるためには、自分や家族の体調にもあまり無理がない「枠組み」を作らないといけないと考えました。夫と話し合って、長女にも手伝ってもらって、「家族みんなで健やかに毎日を回す」ための枠組みです。
例えば、保育園の送り迎えは夫婦で分けっこする。1人目の時は全て自分でやってたんです。何か呼び出しがあれば私が行く。でもそれを続けていたら、きっと私、くたびれてしまうなぁ、と。
森下:
家族全体で協力しあうように変えたんですね。
壽山:
家族が一人でも二人でも、何人でも、まずは暮らしが健やかに回ることがベースになって、それで初めて働けると思うんですよ。
むしろ、「ふわっと」してるから、やりやすい
森下:
メディア編集グループも変化が結構大きいと思うんですが、どう感じていますか?
壽山:
基本的な私の性質として、新しいことを、新しいやり方で考えるのが好きなんです。いまは、おおらかに「ふわっと」新しいお題が振られることも多いのですが、それを「どうしようかな」と言いつつ楽しむタイプです。
森下:
いいですね。私も壽山さんと同じで、新しいことにワクワクを感じるタイプなんです!お題は、どれくらい「ふわっと」振られるんですか?
壽山:
「ショート動画を作ってみたい!」みたいな感じです(笑)。
わかろうとしながら取り組んで、「あっ、こうすると良い感じ」とか、「こう変えると数字にも表れるな」とか。「やってみて、お客様にどう響く」を見るのが楽しいです。
森下:
それは確かに「ふわっと」してますね(笑)。私たちMDグループも似たような感じで、メンバー同士で「今はこういう洋服が気になっている」「こういうインテリアが気になっている」と見せあいながら、何か共通点を探したり掴んだりしながら開拓していく……みたいな。
壽山:
謎解きみたいですね。
森下:
そのすり合わせを毎日やってる感じ。実際に販売してみたら、お客様の反応が想像と違ったりも。そういった「すり合わせの種類」がいっぱいあって、それらをずっと練りながら向き合っています。
壽山:
「ふわっと」してるのは悪いときにも使われる表現ですけど、明確な言葉になるとやりづらい場合もあるじゃないですか。むしろ、私は「ふわっと」がやりやすいし、楽しいです。かたまりきっていない空気感があるから、「ちょっと新しいことをやってみようかな」と思えますし。
見に来てよかった、と感じられるものを。変わらずに、作り続けたいです
森下:
壽山さんが最近作られた読みもので印象的だったのがあって…デザイナーで人形作家の粟辻早重さんを訪ねた記事です。ほんとうにお元気なのもそうだし、一つずつの言葉が響く感じでもありました。
壽山:
まさに人生の先輩にお話を伺えたなぁ、と思いました。御年92歳と感じないほどお元気でした。
森下:
「人生の先輩」っていい言葉ですよね。
壽山:
言葉全てに体験が伴っているから、私も聞いて心にもっと響くこともありますね。そのたびに「これはお客様にもきっと届いて、希望になる」と思える言葉を、現場ではなるべく集めたいと思っています。
森下:
壽山さんは、クラシコムで今後どんなことをやってみたいですか?
壽山:
そんなに大きな目標みたいなのはないんですけど、やっぱり「読んでよかった」とか「希望が持てました」とか思ってもらえるもの、「北欧、暮らしの道具店」に来てよかったと感じられるものを、変わらずに何かしら作り続けていきたいですね。
森下:
「変わらずに」というのがポイントですね。
壽山:
記事だけでなく動画も増えたように、手段は色々変わっていくはずですが、大事にしていることは変わりませんね。いつ、何を見ても「来てよかった」「読んでよかった」「なんだか明日も元気に暮らせそう」と思ってもらえるのが一番だなって。
自分にもそういう存在が色々とあって、助けられることが本当によくあるので。「とりあえず明日も元気に暮らす」って、大事なことだと思うんです。10年後を考えることも大切ですが、「明日も楽しい」が積み重なっていくと、10年先にも素敵な未来があると思うから。
(おわり)
【写真】川村恵理
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