【植物のある暮らし】第2話:グリーンスタイリストに聞く、鉢植えの上手な飾り方
編集スタッフ 野村
植物が共にある暮らしは、その空間を彩ってくれるだけでなく、過ごす人の気持ちも穏やかに癒してくれます。
そんな植物のある暮らしを楽しむヒントを伺えないかと思い、フラワー&グリーンスタイリストのさとうゆみこさんを訪ねました。
1話目では、グリーン初心者が知っておきたい観葉植物を楽しむコツについて伺いました。第2話の今回は、さとうさんのご自宅の様子とともに、どのように観葉植物を飾っているか、伺っていきます。
あえて、大きめの観葉植物は置かない
玄関から入ってすぐ、たくさんのグリーンのあるリビングが広がります。手に取りやすい小ぶりな鉢物を中心に、棚に置いたり、ハンギングして飾ったりと、高低差をつけて植物がディスプレイされています。
さとうさん:
「私の家には、10号くらいのサイズの尺鉢と呼ばれるような大きな観葉植物をあえて置いていません。
というのもどんな植物もなるべく定期的に外に出して、お手入れをしてあげたいので、移動が大変なものは自分には向かないと思って。それにやっぱりいろんな種類のものを置きたくて、大きいものだとどうしても飾る場所が限られてしまうので、比較的移動しやすいサイズの鉢物が中心です」
グリーンの増やし方は、こんな感じ
たくさんの植物に囲まれた、気持ちのいいリビングですが、もともとは、ソファ横の窓際スペースのみを植物を育てる場所にするつもりだったそう。
さとうさん:
「色々な場所に植物を点在させるより、一つの場所にまとめて置いておきたいなと当初は考えていて。
なので、この窓際を植物を育てる場所にしようと決めて、夫が作ってくれた木の台の上に植物を飾るようにしたんですが、この台だけでは結局全然置き場が足りなくてなってしまって」
さとうさん:
「それで、テレビ台の上のスペースにも植物を飾れたらなぁと思って、そのスペースにも棚を作って飾るようになりました。置く場所があると、やっぱりどんどんと飾っておきたくなるんですよね(笑)
テレビ台横には、もともとベンチを置いてたんですが、最近アンティークの棚を購入したので、そこにも植物をディスプレイするようになりました」
使い終わったキッズチェアは、花台に
ベランダへと続く窓際には、アンティークのキッズチェアにのせたオオタニワタリが飾られています。
さとうさん:
「この椅子は子供2人が使ってボロボロなんですが、娘が『捨てないで!』と言ってくれるので、そのまま植物を飾るための台として使っています。
大きめの観葉植物の代わりとまではいいませんが、自然と高さが出せるので、存在感も増してちょうどいいんです」
安心して、ハンギングを楽しむには
さとうさん宅のリビングには、たくさんの植物がハンギングされています。
さとうさん:
「植物をハンギングして飾ると、置いて飾るだけでは生まれない立体感が部屋に生まれるのでいいですよね。
小さくて軽いものであれば、カーテンレールや突っ張り棒にS字フックをかけてハンギングを楽しむこともできますが、安全面も考えて、ハンギング用の鉢はプラスチック製のものなど、なるべく軽いものを選ぶのがおすすめです。
私は大きな鉢もあるので、天井に専用のアンカーを打ってフックをつけて、吊り下げるようにしています」
さとうさん:
「天井や壁に穴を開けるのが難しくて、吊るす場所がなかなかないという方は、部屋の中で比較的高さのある棚やキャビネットの端に置いて、そこから葉を垂らしておくのも、ハンギングと同じように部屋に立体感が生まれる飾り方です。
棚などに置いて葉を垂らして飾る場合は、鉢自体にある程度重みがあった方が倒れにくいので、陶器製のものなどに入れてあげるのがいいですね」
ベランダにも、木は植えられる?
リビングの奥には、気持ちよさそうにグリーンが広がるベランダデッキが。このデッキは、さとうさんが友人と協力して作り上げていったものだそう。
さとうさん:
「ベランダには、落葉樹のアオダモを植えています。
春が近づくと葉が茂ってきて、窓際近くに落葉樹があると夏の間は日差しを遮ってくれます。そして冬が近づくと、葉が落ちて、今度は暖かい日差しが室内に入ってくる。
そんな自然のカーテンの役割をしてくれて、季節の移り変わりも一緒に感じられます」
さとうさん:
「この家に越してきた当初、ベランダ部分は藪が広がっていたのですが、近所のホームセンターで木材を買ってきて、友人たちと協力してこのデッキを作りました。
暖かくなってきたら、このデッキで家族でごはんを食べたりもしていて。外で食べると気持ちよくて、家の中でもこの場所はとても気に入っています」
「植物のある暮らし」のいいところ
たくさんのグリーンに囲まれ、穏やかな空気を感じられるさとうさんのお宅。最後に、さとうさんにとって植物とはどんな存在かを伺ってみました。
さとうさん:
「なんで植物に癒されるんだろうと考えてみると、植物と触れ合っている時に、自分自身が謙虚な気持ちになれるからと気がつきました。
植物の世話をしていると、新しい芽が出たりといった自然の営みを目の当たりにすることができます」
さとうさん:
「それに、この家に引っ越してきた当初から、元々ベランダに植えられていた植物が今も元気に育っているのを見ると、自分たちより長く生きている植物がたくさんあるんだって感じられて。
そうやって、植物の持つ力は偉大で、学ぶべきものがたくさんありすぎるなと私自身を謙虚な気持ちにしれくれることが多くて、そのことが癒しにつながっているように思うんです。
自分の気持ちをリセットしてくれるような植物との時間を持てることが、私にとって大切だなと感じています」
***
さとうさんにお話を伺い、植物のある暮らしの良さは、ただ単に植物の緑に癒されるだけではないということに気づけたような気がします。
日常的にグリーンと触れ合うことで、新しい芽が出ていることに気づけたり、時には植物の元気がない様子を気にかける時間ができたりする。
生活の中にそうした新たなコミュニケーションが生まれ、そんなちょっと特別な時間を持てることが、「植物のある暮らし」の良さなのかもしれません。
(おわり)
【写真】鈴木静華
もくじ
さとうゆみこ
フラワー&グリーンスタイリスト。「green & knot」を主宰。フラワーショップやインテリアショップ、専門学校の講師を経て、現在はフラワーコーディネイトやグリーンアドバイザーのほか、植物にまつわるあらゆるジャンルで活躍している。自宅で行なっているフラワーレッスンも人気。
Instagram:@yumikosatooo
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