【小さな家のインテリア】第2話:雑貨があれば。コーナーひとつから始める模様替え
ライター 木下美和
コンパクトな部屋の賃貸マンションやアパートでも、心地いい暮らしはできるはず。そのアイデアを知りたいと、今回は築30年の賃貸住宅に住む山本紗矢佳(やまもと さやか)さんを訪ね、全3話にわたってお話を伺っています。
1話ではダイニングテーブルと背の低い家具でつくるメリハリのある空間づかいを見せてもらいました。今回は、小さなコーナーの飾り方にフォーカスします。
家具の配置が同じでも、花が一輪、本が一冊あれば
家具の配置を変えたり、買い足したりといった模様替えは、ワンルームのような小さな空間ではなかなか難しいもの。こうした制限がある中で、山本さんはコーナーのディスプレイを定期的に変えることで気分転換しています。
そのポイントとなっているのが、花とアートブック、キャンドルなどの小さな雑貨です。
山本さん:
「パリでは散歩途中のムッシュが、コーヒーを買うようにお花を数本買って帰る、みたいな風景が日常にありました。特別なことがなくても普段からお花がある暮らしっていいなあと思い、いつの間にかお花を飾るのが習慣になりました。
この家でも大ぶりの枝ものや切り花をできるだけ欠かさず飾るように心がけています。お花や植物に季節の変化を感じさせてもらいながら、たった1輪のお花で部屋の印象も自分の気分も大きく変わるなあと思っています。
好きなアーティストや印象深かった展覧会の図録・アートブックは、目の届くところに置いています。日常の中で目に入るようにしておくと、それだけで忙しい日も心が豊かでいられる気がするので。朝起きた時や夜寝る前に手に取り、自分の心をチューニングしています」
その言葉通り、部屋のあちらこちらに一輪差しや枝ものなど大小の花が差し色のように置かれ、アートブックは見せる収納として並べたものから、植物やブロカントで出合った雑貨と合わせて無造作に積み重ねたものまで、コーナーごとにいろんな表情をつくり出しています。
センスよく飾るコツは、高低差と配置にあり
リラックス感のあるこなれた飾り方が印象的な山本さん宅のコーナーづくり。飾る時に気をつけているポイントとは?
山本さん:
「花は1カ所に飾るよりも、どちらかというとその時の気分で部屋のあちこちにポン、ポンと散りばめるように飾るのが好きです。花瓶や器との組み合わせ、それぞれのお花はどの角度や表情がかわいいのかな? と考えて飾るのが楽しい時間です。お花を起点に模様替えがスタートすることもよくあります。
割と直感的なのですが、花と雑貨の組み合わせで高低差をつけることと、コーナーごとに色やテーマでまとまりをつくることは意識しているかもしれません」
各所に点在する一輪挿しは、ガラスの花器で揃えていることも相まって部屋全体をゆるやかにつなぐリズムが生まれています。
色やテーマをまとめて印象を整える
山本さん:
「何か一つテーマを決めて、そこからイメージを広げることもあります。
白だけを集めたコーナーを作ってみたり、お気に入りのアートブックを1冊を飾って、それに合う花や雑貨を周りに置いてみたり。最近はなんとなく “和” の気分だったので、食器棚の上にお香立てに見立てた器を飾って、香りを楽しむスペースにしてみました」
気負わず、手軽に。その時々の気分で小さなコーナーの模様替えを楽しんでいる山本さん。まずは1輪の花と好きな本を飾るスペースをつくることから始めてみるのもいいかもしれません。
次回は山本さんのキッチンを見せていただきながら、好きな料理の話を伺います。
(つづく)
【写真】田所瑞穂
もくじ
山本紗矢佳
都内百貨店に勤務する会社員。食への探究心から料理や茶道を勉強中。2021年春から友人とともに美濃の器を作り手から使い手へと結ぶプロジェクト「mont et plume」(モンテプリュム)」の活動をスタート。
https://montetplume.com
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