【小さな家のインテリア】第1話:ダイニングテーブルを主役にした部屋づくり
ライター 木下美和
コンパクトな部屋の賃貸マンションやアパートでも、心地いい暮らしはできるはず。
限られた空間だからこそ生まれる、間取りやディスプレイの工夫には、住む人の個性が映し出されていて魅力的です。
今回インテリア特集に登場してもらうのは、賃貸住宅に暮らす山本紗矢佳(やまもと さやか)さん。
コンパクトな空間に、「こう暮らしたい」という意思がギュッと詰まった山本さんの住まい。そこから見える部屋づくりのこだわりや、山本さんにとっての居心地のいい暮らし方について、全3話にわたってお届けします。
1話目は、ダイニングテーブルを主役にした部屋づくりのお話を伺います。まずは、今の家に決めた理由を聞いてみました。
賃貸でも、築年数が経っていても。
都内の百貨店に勤める山本さんが暮らすのは、閑静な住宅街にある築30年の賃貸住宅。間取りは、小さなキッチンとその先にリビングが縦長に続くいわゆる典型的なワンルームです。
山本さんにとって、家を決める際の優先順位は築浅物件でも部屋の広さでもなかったようです。
山本さん:
「築年数はそんなに気にしてなくて、それよりも窓から光がたっぷり入ることと、近くに公園があることが家選びのいちばんの条件でした。今の家は公園と商店街、神社もあって、散歩するのが楽しいです」
この家に住む前、フランス・パリで2年間暮らしていた山本さん。現地では築100年以上の建物に住んでいたというから、その家選びにも納得です。
山本さん:
「パリで古い建物が立ち並ぶ街並みとか、現地の人が家族から譲り受けたものやブロカントで見つけたものを大切に自分らしく使っているのを見て、古いものを見る目が変わりました。ものに愛着を持って長く使い続けることって素敵だなと」
これからの暮らしの指針となるような経験を重ね、4年前に日本に帰国。パリから厳選して持ち帰った段ボール13箱分の荷物から、新しい家づくりが始まりました。
ダイニングテーブルが主役の部屋
パリから戻り、わずか10日ほどで住む場所を決めなければならず、予算、日当たり、環境の条件をクリアして選んだのが、今の家でした。結果的にワンルームになったものの、広さにかかわらず「ダイニングテーブルを置く」ことだけは最初から決めていたといいます。
山本さん:
「パリに滞在中、友人の家で開かれるホームパーティにお邪魔することがよくありました。みんなで大きなテーブルを囲み、食事やお茶をゆっくり楽しみながら、いろんな話をする時間を豊かに感じました。この家でもそういう時間が持てたらいいなあと思って、4、5人で囲めるダイニングテーブルを部屋の中心に置いています」
▲蠣崎マコトさん作のペンダントライト。横浜・反町のギャラリーショップ「ヨリフネ」で購入。
そんな家の主役ともいえるダイニングテーブルの周りは、ガラス作家・蠣崎マコトさんのペンダントライトと、パリの〈メルシー〉で購入したリネンのテーブルクロスでしつらえています。どちらもこの家に住み始めた当初から使っているという愛用品。
山本さん:
「蠣崎さんの照明はガラスなのにあたたかみが感じられるのと、水がゆらいだような質感が気に入っています。リネンのクロスはフランスで買って、もう5年くらい使っています。上品な色味と、使うほどに生地がクタっとなじんでいく素材感が好きで。テーブルクロス以外にもベッドカバーや部屋のパーテーションにもリネンを使っています」
小さな家に合わせた、家具選びのコツは?
ワンルームの中心に大きめのダイニングテーブルを置きながらも、まったく窮屈な印象を感じさせない山本さんの家。その秘訣はどこにあるのでしょうか。
山本さん:
「部屋が広くないので、色が多いとちょっとうるさく見える気がして……。なのでベースとなる色は、自分が落ち着く白や木の色で控えめにして、すっきり見えるように意識しています。あとはなるべく圧迫感が出ないように、家具は背の低いもので揃えました」
確かに、白い壁の面積が広い空間は、視野が抜けて広く感じられます。
山本さん:
「なかなか家具を入れ替えるほどの模様替えはできませんが、花で季節の移り変わりを感じられるようにしたり、飾る雑貨を入れ替えたりしながら、気分転換しています」
ということで、2話では花や雑貨を使ったディスプレイの方法を伺います。
(つづく)
【写真】田所瑞穂
もくじ
山本紗矢佳
都内百貨店に勤務する会社員。食への探究心から料理や茶道を勉強中。2021年春から友人とともに美濃の器を作り手から使い手へと結ぶプロジェクト「mont et plume」(モンテプリュム)」の活動をスタート。
https://montetplume.com
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