【心地よく、暮らしたい】第2話:すこやかに歳を重ねるためのアイデア

編集スタッフ 寿山

わたしには40代の姉が3人いるのですが、皆それぞれの環境で、暮らしに仕事に忙しくしながらも、楽しそうに歳を重ねています。

仕事も価値観もまちまちだけれど「楽しく暮らしていきたい」という思いは同じ。そんな姉たちとの会話で最近話題にあがるようになったのが、体の変化について。月経の乱れや不調など、これまでに経験がない変化に、戸惑いを感じているといいます。

そこで今回は、内科医であり漢方やハーブを取り入れた診療を行っている橋口玲子(はしぐち れいこ)さんに、女性の体の変化について取材。

1話目では40代で女性が経験する体の変化について。2話目では、橋口先生のセルフケアやリフレッシュ法を教わります。

第1話

 

時間がなくても、生活しながら運動できる?

見るからに健康そうな橋口先生も、30代の後半で体に異変を感じたことがあったそう。

橋口先生:
「私じつは高脂血症なんです。30代の後半あたりに、自分の健診の結果を見ていたら数値が明らかにおかしくて、医師に相談しました。食事や生活習慣が原因というより体質的なものだったので、40代から本格的に治療しています」

ちょうど同じころに診療所を開設した橋口先生は、多忙ながらも、生活の延長で無理なく続けられる、いくつかの習慣を始めたそう。

橋口先生:
「ここに越してきてから犬を飼うことになって、毎日散歩するようにしました。だいたい30〜40分で4000歩以上は歩きます。うちは山の中腹にあるので結構アップダウンもあるから程よい運動に。

仕事で都内に行くと、地下鉄などの移動も含めて1万歩ほど歩いているので、都内に住んでいる方は通勤もよい運動になっていると思います。リモートの方は、スーパーへの買い物も、いつもより大股で歩けば腹筋と背筋、それから太ももの表と裏の筋肉が鍛えらますよ。

あとは立ったり座ったりを意識してゆっくり行うことでスクワットがわりに。1日に何度もくり返す動作なので、それだけでも腰痛予防になります。あとは床の拭き掃除も、日常生活で使わない上半身の筋肉が鍛えられるのでおすすめです」

▲院内でも屋外用の靴を着用してなるべく歩くように

橋口先生:
「それと、じつは私けっこう好き嫌いがあって……30代までは野菜や魚をあまり食べていなかったんです(笑)。海の近くに引っ越して、40代から意識して魚も野菜も食べるようにしたので、この20年でぐっと健康的な食生活になりました。

人の細胞は毎日入れ替わっていますし、体は食べたものからできているので、食生活を見直すのに、遅すぎるということはありませんよ」

 

更年期におすすめのハーブティー

▲左がオレンジフラワーで右がリンデン

セルフケアとしてハーブティーを楽しんでいるという橋口先生。更年期におすすめのブレンドを教えてくれました。

橋口先生:
「更年期の不調におすすめなのは、リンデンとオレンジフラワーのブレンド。ドイツでよく飲まれているハーブティーです。リンデンは体を温めてリラックスできますし、オレンジフラワーは更年期や生理前のイライラによく処方されるハーブです。オレンジフラワーは単独だと味がよいとは言えませんが、ブレンドすると美味しく飲めますよ。

それからジャーマンカモミールもほっとする香りでリラックスできますし、レモンバームはリラックス兼リフレッシュにもなるので、憂鬱な気分のときにおすすめです。

精油やハーブを扱う専門店なら買えるので、ぜひ試してみてください」

 

オリーブオイルで、美味しくセルフケア

さらに、ふだんの食事でもセルフケアができる方法を教えてくれました。

橋口先生:
「更年期の不調によく使われるハーブのひとつに、セージがあります。

セージの精油は刺激が強くて扱いづらいので、スパイスとして料理に使うのがおすすめです。

ただ、ご家庭では頻繁にスパイス料理は作らないかもしれないので、オリーブオイルにセージを漬けて香りと成分を移しておくことで、サラダや調理に気軽に使えるようになります。

オイルに漬けるセージはスーパーなどで買えます。乾燥セージはそのまま、フレッシュセージは紙袋に入れて冷蔵庫のドアポケットで2〜3日乾燥させて。いずれもオイルに1〜2週間ほど漬けたら香りのよいオイルが出来ますよ」

 

スキンケアの時間を、リフレッシュに

▲精油をマカデミアナッツオイルで希釈したものを愛用。スキンケアだけでなく、ヘアオイルとして髪にそのままつけても◎

更年期に肌荒れを経験する人もいると聞きます。とっても肌がきれいな橋口先生は、どんなスキンケアをしているのでしょうか?

橋口先生:
「特別なことはしていませんが、私は香りが好きなので、精油をマカデミアナッツオイルで希釈したものを常備しています。手のひらにとった化粧水に1~2滴垂らして、手の中で混ぜてエマルジョン化してから顔や首筋へ。ゼラニウムは肌を守ってくれますし、バラに近い華やかな香りがふわっとやさしく香るのでおすすめですよ。

希釈するのは簡単で、50ccの容器に精油を20滴たらして、マカデミアナッツオイルを満タンになるまで足せば1%の濃度のオイルができます。

人によって香りの感度が違いますが、まずは0.5%〜1%の希釈でつくるのがおすすめ。0.5%にしたければ、精油を10滴にすればいいだけ。

ちょっとしたスキンケアの時間がリフレッシュにもなります。バブルバスに直接精油をたらしてお湯に入れたら、香りがブワっと一気に広がって、それもまた楽しいです」

 

いくつになっても「今、心地よい暮らし」を見つけていきたい

更年期を怖がる必要はないけれど、年齢に伴う体の変化は、無理なくつづけられる習慣で乗り切っていけばいいと教えてくれた橋口先生。

お話を伺いながら「更年期がきちゃった!」と身構えるより、いつも通り「もっと心地よい暮らし方はあるかな?」と、自分に合った習慣をアップデートしていけばいいのかもしれないと感じました。

とはいえ体も心も元気がない日だってあるもの。そんなときは、ハーブや精油に頼ったり、運動したりでリフレッシュして。生活に支障がでるほどの不調は医師に相談して。出来ることをやりながら、健やかに歳を重ねて行けたらいいなと思います。

 

【写真】鈴木静華

 

もくじ

 

橋口玲子

1954年鹿児島県生まれ。東邦大学医学部卒。1994年より緑蔭診療所で現代医学と漢方を併用した診療を実施。循環器専門医、小児科医、認定内科医、医学博士。高血圧、脂質異常症、メンタルヘルス不調などの診療とともに、ハーブティやアロマセラピーを用いたセルフケアの指導および講演、執筆活動も行う。著書は『医師が教えるアロマ&ハーブセラピー』(マイナビ出版)、『専門医が教える体にやさしいハーブ生活 』(幻冬舎)ほか


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