【特別企画】香菜子さんの私服でコーディネート。2WAYトップスを素敵に着こなすポイントは?
編集スタッフ 小針
2017年の発売以来、毎年春がくるたびに再販しその度とても好評をいただいてきた「香菜子さんとつくった2WAYトップス」。
7年目となる今年、初めてデザインをリニューアルし、本日新発売となりました。
サッとかぶるだけでいい感じに決まり、着心地のよさもお手入れの気軽さも自分にとってちょうどいい。
そのコンセプトはそのままに、より今の気分にフィットしてこれからも長く着られるよう、デザインを見直しました。
そこで今回は特別に、このトップスの開発当初から携わってくださっている香菜子さんに、私服でコーディネートをお願いしました。
2児の母でありながら、モデル・イラストレーターとして活躍し、最近ではご自身がデザインした「おぱんつ君®️」のグッズ制作やイベント開催など、日々精力的に活動されている香菜子さん。
そんな彼女だからこそ作れる「最強の普段着」。そこに込めたこだわりや、着こなし方のコツ、おしゃれの楽しみ方についてもお話を伺いました。
やっぱり譲れなかった「着やすい」というポイント
香菜子さん:
「もう6年も経つんですね〜!2017年の発売以来、私もクラシコムのスタッフさんも、それぞれに6年分の歳を重ねました。
体型で気になるポイントや好きな着こなしも自ずと変わり、それを一緒に深堀りしながらデザインを決めていきました。
テーマは『しなやかに、大人っぽく』。今の自分にもしっくりきて、これからも長く着たいと思えるものを作りたかったんです。
でもリニューアルをする中でも一番譲れなかったのは、当初から大事にしてきた『着やすい』というポイントですね。
おしゃれは我慢!ではなくて、ちょっとしたストレスを減らすのもおしゃれの一部だと思うので、日々の生活の中で着ることを考えながらディティールは決めていきました」
香菜子さん:
「一番こだわったのは首元ですね。前回は1周リブだったけど、今回は大人っぽく見せたくてすっきりしたパイピングに。鎖骨が綺麗に見える首の開き具合もこだわりました。
でもサッと着られることは外せないから、後ろだけゴムを入れてあるんです。
これも全面に入れると幼くなっちゃうから、何センチ寄せようとか細かいところまで話し合いましたね」
香菜子さん:
「裾も今回は少し長めにしました。お尻周りは隠れてないと出かけていてもやっぱり気になっちゃって。ここは大丈夫!って思えるとお出かけも楽しくなるんですよね。
インでもアウトでも楽しめるから、着こなしの幅も広がりましたね。ボトムスもこれが一番合う!とかはなくて、デニムもワイドも細身も、なんでも合うと思います。
袖も少し長めの七分丈になって、着られる時期も長くなったんじゃないかな。素材もコットン100%の通年使えるものだから、今の時期から長く楽しんでほしいですね」
香菜子さんイチオシ。グレイッシュな大人ベージュ
香菜子さん:
「3色ある中でも、トープベージュは一番のお気に入りです。でも最初、スタッフさんは『ベージュって顔まわりがくすんでしまう時がある』と懸念されていて。
でもベージュって、ちゃんと色を選べば、どんな肌色の人でも明るく見せてくれるはずなんです。
それで今回はちょっと明るめのグレイッシュなベージュを選びました。グレーが入ると黄味がおさえられるからか肌映りがよくなる気がします。
あと私、黒の服が多いので『黒と合わせやすい』というのもポイントでした。グレーが入ってるから相性がいいんですよね」
香菜子さんのこだわりがたくさん詰まった新トップス。私服コーディネートで、実際の着こなし方を伺っていきます。
アレンジしながら着回したい。
香菜子さんの私服コーディネート
毎年人気のペールグレー
大人カジュアルは小物使いがコツ
香菜子さん:
「まずはペールグレーでシンプルにデニムと合わせてみました。このペールグレーは前のデザインでも人気で、普段使いしやすい色だと思います。
前回よりも袖の膨らみを抑えて大人っぽいデザインにしたので、こういうストレートシルエットのデニムとかメンズっぽいアイテムとも相性がいいですね。
カジュアルスタイルは昔から大好きで。でも最近は、年齢的に耐えられなくなってきたというか(笑)。カジュアルをアイテムでどう大人寄りにしていくかは最近強く意識していることですね。
例えば若い時はこれにスニーカーを合わせて全部カジュアルにしていたけど、それだと少年っぽくなりすぎるから、足元はあえてシルバーのローファーを合わせてみました」
▲シルバーの靴は「U.No.5」。おぱんつ君のイベントで一緒だった出店者さんから購入したものだそう。
香菜子さん:
「これも普通の色のローファーだと落ち着きすぎちゃうけど、ちょっと意外な色だと目を引きますよね。
シルバーのアイテムって難しく感じる方も多いかもしれないですけど、ちっちゃいポイントで入れるとか、小物だと取り入れやすいんです。
黒のトレーナーに黒いスカートみたいなワントーンコーデのときに、ポイントでシルバーの靴を入れたりするのも素敵ですよ」
▲袖がピタッとならないのが嬉しい〜!と香菜子さん
ネイビーはワントーンでかっこよく
異素材の黒アイテムで奥行きを
香菜子さん:
「ネイビーはワントーンでかっこいい感じにまとめてみました。深みのあるシックな紺なので、黒いアイテムと合わせれば比較的簡単にワントーンコーデが作れますよ。
ワントーンを作るときに気をつけているポイントは、『素材を被らせないようにする』ことですね。色は一緒だけど、ツヤっとした黒やマットな黒でメリハリをつけて、奥行きがある見せ方を意識しています。
黒でもスミクロだったり真っ黒だったり、素材が違うと見え方も違ってきますよね。いろんな黒を組み合わせると面白いコーデになるので、持っている黒を合わせてみるとか、色々試してみるといいと思います」
香菜子さん:
「このトップスは夏でも着られる素材だから、足元はサンダルでもいいかな〜と思ったのですが、今日は少しハードめなローファーを合わせてみました。
これは伊勢丹とのコラボで作ったもので、最近こういうメンズの感じを入れるのが気分なんですよね。
でも全部をメンズ寄りにすると無骨になりすぎちゃうから、パンツはロールアップして。足首が出るだけで、華奢な足元になります。
袖も肘の上までまくればバルーン袖のような形になるから、ここも可愛らしさを出せるポイントですね」
甘めも似合うトープベージュ
大人っぽさがスパイスに
香菜子さん:
「トープベージュは3色の中で一番柔らかい色味なので、少女らしさを意識して組んでみました。こういう可愛らしいコーデの時は『大人っぽさを残してあげる』ことがポイントかなと思います。
例えばカーディガンはあえて肩掛けに。着てしまうと本当に少女になってしまうから、肩掛けまでに留めておくと、こなれた感じになると思います。
スカートもシルクのような艶のある素材を合わせると、ちょっと上品になりますね。全体の色合いもベージュ・ブラウン系でまとめてあげると素敵です」
▲バッグは『eb.a.gos(エバゴス)』のもの。
香菜子さん:
「かごバッグも革がポイントで使われてるから少しピリッとしますよね。
足元にもパッと目を引く白を持ってきて、ぼやっとなりすぎないように引き締めてみました。白い靴はこういうときに差し色的に使えて、便利なんです」
▲アクセサリーはその時の気分で。ゴールドが最近のブームなんだとか
香菜子さんが、今着たいフェミニンって?
もともとは「香菜子さんが着たいフェミニン」をテーマにデザインされた2WAYトップス。
お話を伺うとそのフェミニンのスタイルにも、この6年で変化があったといいます。
香菜子さん:
「だんだんとメンズライクに寄ってきてる感じがするんです。セットアップとかジャケットとかがほしいなって。意識しているわけじゃないんですけど、自然にそうなっていったんです。
でもそこでちらりと、柔らかさを感じるものを混ぜるのが好きで。セットアップとか、ベースは無骨なんだけど、そこにどうしたらしなやかさを足していけるかなって考えるのが、最近は楽しいんですよね」
香菜子さん:
「例えば大きめのイヤリングをつけてみたり、差し色で可愛い色を入れてみたり、ちょっとしたアイテムでもしなやかさをプラスすることができますよね。
他にもジャケットの袖をめくって手首を出して、華奢さを強調することもそのひとつ。
そういうふうに、小さく取り入れるからこそ際立つフェミニン、みたいなのが今好きなスタイルかな」
ときどき、自分の「好き」を確認する
好みのスタイルに変化を感じていると話す香菜子さんですが、今日見せていただいたどのコーデにも“らしさ”が滲んでいるような気がします。
何かブレない軸のようなものがあるのでしょうか?
香菜子さん:
「わたし『Pinterest(ピンタレスト)』っていうアプリをしょっちゅう見てて。ファッションのお気に入りカテゴリーをひとつ作って、そこにいいなと思った画像をどんどん入れてるんですよ。
それを時々見返して『あ、そうそう、こういうの好きだった』って自分の“好き”を思い出すようにしてるんですよね。
世の中の人がみんな着てるとなんとなく可愛く見えちゃうじゃないですか。でもこれって自分がやりたいんだっけ?好きなんだっけ?って一回立ち止まってみて。
それでこのストックたちを見返すと、自分が好きなものを再確認できるんです」
香菜子さん:
「ファッションで参考にするのは海外の人たちが多いですね。今回のトープベージュを選んだのも、この影響が大きいかも。フランスでよく使われる色なんですよね。
芯の部分は変わらないんだけど、こうしてストックを増やしていくことで、『好き』が新陳代謝されている感覚はありますね」
おしゃれは「筋トレ」の繰り返し。それが楽しい
香菜子さん:
「でもやっぱりそういうのって、ストックしているだけだと急ににパッとできるようにはならないんですよね。
常にこうしたら可愛いかな?この組み合わせはどうかな?って考え続けることも大事で。
『おしゃれの筋トレ』みたいな感じかな(笑)。それをやめちゃうといつの間にか見えない贅肉みたいに『面倒くさい』っていう気持ちがついてきちゃうんです」
香菜子さん:
「まず鉄板の組み合わせみたいな、基本を作っておくとやりやすいかもしれないですね。
高校生の時とかってみんな決まった制服の中で、スカートを短くしてみたり工夫しながらなんとか可愛くしようとしてたじゃないですか。あれ楽しかったですよね。
それと同じ気がするんですよ。まず基本があって、それをどう崩していくか。限られた中でどれだけできるかって考えると、きっと普段のおしゃれも楽しくなってくると思います。
このトップスも、1枚でサッと着る基本形はもちろん素敵だけど、袖が2wayだったり、裾をイン・アウト両方で楽しめたり、アレンジできるようにしてあるんです。
ここまで作ったので、あとは楽しんでください!って気持ちですね」
***
香菜子さんにお話を伺う前は、おしゃれに漠然と自信がなくて、つい楽な方へ考えてしまい、せっかく買った服もワンパターンで着ることがほとんどでした。
でもインタビューを終えた帰り道、クローゼットの中の服を思い浮かべながら「こんなこともできないかな、あれとこれの組み合わせもいいかもしれない」と、久しぶりにおしゃれに対してワクワクしている自分がいたんです。
そこにこのトップスが加わったら……。ますますおしゃれの妄想が広がりそうです。
取材に行った日から私自身も発売を心待ちにしていた、2WAYトップス。ぜひ前向きにおしゃれを楽しむきっかけにしていただけたら嬉しいです。
▲撮影中近くに潜んでいた猫のボンさん
photo:上原朋也
hair & makeup:宇津木明子(kilico.)
香菜子(かなこ)
1975年、栃木県足利市生まれ。女子美術大学工芸家陶芸専攻卒業。在学中にモデルを始め、現在2児の母。母の立場から「こんなものがほしい」をかたちにした雑貨ブランド“LOTA PRODUCT(ロタ プロダクト)”を設立する。2008年よりイラストレーターとしての活動もスタート。著書に『毎日、無理なく、機嫌よく』(すばる舎)など。
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