【スタッフコラム】古道具屋でケトルを買ったら、お湯を沸かすだけでも楽しい気分になれました。
編集スタッフ 長谷川
今週お届けした読みもの「はたらきかたシリーズ」で、東京・国立にある古道具店「LET ‘EM IN(レットエムイン)」の店主、原尊之(はらたかゆき)さんにお話を伺いました。
当初のテーマは「お店の作り方」だったのですが、お話を聞けば聞くほど、原さんの物への視線や考え方が奥深く、そちらをググッと掘り下げる読みものにしていきました。
将来、お店を開きたい方はもちろん、仕事や暮らしにつながる「自分らしさの磨き方」へのヒントがたくさん詰まっていると思います。ぜひお時間あるときにお読みいただけたらうれしいです。
そして、ケトルを買って帰りました。
第1話にも少し書いたのですが、お店で写真撮影をしている時に、写真のケトルと出会ってしまったのです。まさに一目惚れ。
寒くなってきましたし、ちょうど「大ぶりのやかん」があれば、たくさんお湯を沸かせてゆっくり飲めていいなぁ、と思っていた矢先のこと。
ステンレスのうつくしいフォルムにまず目を惹かれました。
大ぶりなのに注ぎ口が短いおかげか、コンパクトに感じます。棚にもしまいやすそうですし、むしろいつもコンロに出しておいても、見栄えがしそう。
上からのぞくと、フタが一枚ついていて、半分まで開きます。水を勢い良く注ぐと、フタがずれて水がはいっていくユニークな仕掛け。フタも簡単に取り外せるので、洗いやすいです。
見た感じ、あまり壊れるところが思い浮かびません。長く使えそう。と、自分で自分にお客さまへの商品ページで説明するように、物を選んでいっています(笑)。
よく見ると、あら、DANSKと書いてある。DANSKといえば、当店でもホーローのバターウォーマーや両手鍋を取り扱っていますが、カラフルなそれらとはちがって、こちらはずいぶんとすっきり。
購入したときに付いてきた箱から、当時販売していたと思しきショップの名刺と、輸入販売先がつけた商品説明のタグが出てきました。
どうやらこのケトルはホーロー鍋と同じく「DANSK」から発売され、1980年にデザイナーのV. Lorenzo Porcelli氏が手がけたものだそう。
お湯を沸かすのが「楽しいこと」になりました。
いちばん最初に「良い!」と思ったのは、うつくしいフォルムと耐久性です。DANSKは後付けでしたが、その順序がうれしかった。
「良い!」をもっと感じられるように、自分の中で「良いと思った理由」を言語化するのが大事だと原さんもおっしゃっていましたが、たしかにその通りだなぁ、と実感。
そうそう、このケトル、注ぎ口が短くても水が垂れるようなこともなく。ただ、音は鳴らないので、「たくさん湯気が出てるから沸騰したな」と、いくらかのんびりした気持ちで見守らなければなりません。愛嬌でゆるすことにします。
今ではコーヒーやらお酒やらのあったかい飲み物と過ごす時間が増えました。自分が「良い!」と思ったケトルだからか、お湯を沸かすだけなのに、ちょっと楽しくなってきます。
「気に入った道具を使う」って、こういう心地よさがいいですね、やっぱり。
タグによれば、デザイナーのV. Lorenzo Porcelli氏は「生粋のニューヨーカー」とのこと。わが家にも都会的な風が少しは吹いているのでしょうか。ケトルよ、長い旅路の果て、うちに来てくれてありがとう。
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