【はたらきかたシリーズ】第2話:「やりたいこと」を仕事にするための、イケアの工夫

編集スタッフ 長谷川

160802ikea_workstyle_22写真 鈴木静華

特集シリーズ『その「働きかた」が知りたい』では、さまざまな方に仕事や働き方についてお話を伺い、ヒントをもらっています。

今回ご登場いただいているのは、イケア・ジャパン株式会社で広報部長として働く岩﨑有里子さん。現在34歳で、ふたりの子どもを育てるお母さんでもあります。大学を卒業後、新入社員としてイケア・ジャパンで働きはじめ、二度の産休と復職をご経験なさっています。

前回は岩﨑さんがイケアで働きはじめるまでのヒストリーを伺いました。第2話はイケア・ジャパンに入社して驚いたことや職場環境、はたらくときに大切にしている考え方などを聞いていきます。


もくじ


 

イケアで働いている人が、どこか似ている理由。

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イケアの特徴を伺うと「カルチャーやバリューを全世界の店舗で共有していること」と岩﨑さん。

岩﨑有里子さん:
「各国で採用をする時に、イケアでは “10の価値観” を大切にしています。たとえば『考えるときに簡潔であるか』『責任を自らとって物事を変えていくのが好きか』といったものです。

同じ価値観を大切にしているから、全世界のイケアで働いている人って似ているんですよね。会ってもすぐに打ち解けられますよ」

イケアでは特に「Togetherness(連帯感、みんなでやる)」という雰囲気を重視するといいます。さまざまな国籍の、さまざまな人が働くからこそ、仕事の内容以上に価値観をあらかじめ確認しあっておくのが大切なのでしょう。

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似ているのは人だけでなく、店舗や商品ラインナップにも表れています。

各国の事情に合わせ、スウェーデンのスタッフと考えたりアドバイスをもらったりしながら店舗を作り上げていきますが、イケアは店舗の設計や内容も全世界でほぼ同じなのだとか。これも文化や価値観を共有しているからこそ成り立つといえそうです。

ちなみに、イケアに並んでいる商品も基本的には全世界でほぼ同じですが、国ごとの限定アイテムもあるとのこと。箸置き、クールマット(冷却マット)、ダーラナホースの形をした食器用スポンジあたりは、日本オリジナルなのだそう。

(食器用スポンジ、どこにでもあるかと思っていたので、びっくりでした!)

 

「ライフパズル」が働きかたの基本。

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岩﨑さんは大学卒業前にアルバイトで働き始め、入社してから現在までにレストラン部門、店舗開発のサポート、店舗立地のリサーチ、広報と複数の部署を経験なさっています。出産や産休といった節目に合わせて、自らの仕事も変えてきました。

岩﨑有里子さん:
「私もさまざまな仕事をしていますが、イケアはジャングルジムのように職種を重ねていく人が多いんです。

私たちはそれを『ライフパズル』と呼んでいます。いろんなピースを組み合わせて、自分のライフステージに合ったものを選びとっていくのが、イケアの働きかたの基本ですね」

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岩﨑有里子さん:
「人事制度では『平等であること』というのを大事にしています。イケアで働く人は『コワーカー』と呼び、現在ではアルバイトやパートという呼称も廃止して、全員を正社員として採用しています。

それぞれにどのような業務が求められているかも決められており、マネジャーと相談する制度があります。短時間正社員からフルタイムに切り替えて働く方もいますよ。

イケア・ジャパンで働くコワーカーは誰もが福利厚生を同じように受け、いろんな仕事にチャレンジする機会も平等にある。それが考え方のベースになっています」

 

なによりも重視するのは、その人のパッション。

「誰もが平等にチャレンジできる」というイケアでは、働く人のパッション(情熱)も重視されます。岩﨑さんもパッションを表して、希望の部署で働くことになったヒストリーを持っていました。

岩﨑有里子さん:
「イケアには『オープンイケア』という社内公募制度があって、ポジションに空きが出ると誰でも応募できるんですね。

だから、応募する準備が常にできているように、『ディベロップメントプラン』と呼ぶ、それぞれの従業員とマネジャーで年に何回かの面談を行います。

1年後、3年後、5年後、どんなポジションにつきたいかをまとめるんです。準備ができているから、ポストが空いた後に後任が決まるのも早いわけです」

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岩﨑有里子さん:
「私がイケアに入社しようと思ったのは、スウェーデンの豊かな暮らしを広めたい、イケアをもっと知ってほしいという想いからだったのもあって、出店計画に携わる部署に入りたいと考えたんです。そこでオープンイケアで手を上げて、その部署に異動することになりました。

手を上げておいて驚くのも不思議な話ですが、『出店計画の仕事がしたい!』というパッションだけで買ってくれたのは、イケアらしいユニークなところかなと思います。

トレーニングの機会は設けてくれますが、だんだん学ぶうちにスキルはついてくるという考え方で、やりたい気持ちをなにより尊重してくれるんです」

新しい場所でイケアの良さを伝えたい。その場所にイケアの青い建物をつくりたい。岩﨑さんは真っ直ぐなパッションを胸に、出店計画や店舗開発の仕事を7年間続けました。

たとえば、出店する場所の候補探しも仕事のひとつ。スウェーデンの本国スタッフとやりとりをしながら検討し、10年、20年、30年後と長く地域に根ざしたお店にするために、どういった人々が暮らしているかを調べたり、現地の人と話したりと、出張も多くこなしながら熱中したといいます。

 

かばんの中身を拝見!すっきりデジタル派でした。

産休を取るまでは「赤ちゃんがいる暮らし」の想像がつかず、これまで通りに日本各地へ足を運んで働くつもりだった岩﨑さん。

ところが、子どもが生まれてみると「かわいくて離れるのがツラい!となってしまって……(笑)」という気持ちが芽生えたそう。

そこでライフパズルを組み直し、店舗でのマーケティング職を経験してから、現在の広報職へつなげていきました。

ご主人やご両親のサポートも得ながら、5月に上海、6月にはスウェーデンと海外出張の機会も増えてきているといいます。そんな岩﨑有里子さんの、いつも使っている “かばんの中身” を拝見しました。

160802ikea_workstyle_28▲いくつかのチョコレートも、仕事を助けるアイテム。

仕事はほぼパソコンとスマートフォンで進めるというデジタル派。変圧器は海外出張になくてはならないものですね。

残念ながら非売品というソファの形をしたUSBメモリは、取材陣が思わず「欲しい!」と声に出してしまうキュートさでした。

さて、岩﨑有里子さんはイケア・ジャパンで働きながら、2人の子どもを育てるお母さんでもあります。子育てについても伺ってみると、いまや「ママ友」となったスウェーデン留学時の友達から教わり、岩﨑さんが「子育てでやめたこと」があるのだとか。

明日公開の第3話では、そんな母としての一面にフォーカスしてみます。

 


もくじ

 


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