【明日できる、おもてなし】第2話:玄関からトイレまで。ゲストの印象に残る、ちょっとした心遣い。
ライター 嶌陽子
「居心地がいいお宅だね」と思ってもらうために。
簡単にできて、かつセンスが光るおもてなし術を、料理家の河井美歩(かわい みほ)さんにお聞きしています。
テーブルコーディネートに注目した第1話に続き、第2話では、ゲストに心地よく過ごしてもらうための 「ちょっとした心遣い」 を紹介します。
洗面所やトイレといった、地味だけれど意外と気を使う場所の工夫についても教えてもらいました。
第2話
ゲストへの心遣い編
玄関ドアには、目印のブーケ。
自宅がマンションの場合、廊下にドアがずらっと並んでいて、表札がないこともしばしば。部屋番号を伝えられているとはいえ、「本当にここかな?」とゲストが迷うこともありそうです。
河井さん:
「人を招くときは、小さなブーケを作って、マスキングテープでドアの外に貼っておきます。リースよりも手軽にすぐ作れるし、来てくださる方にも『ブーケがあるドアだよ』と伝えておけば、すぐに分かりますから」
ブーケはフレッシュな花でも、ドライフラワーでもOK。マスキングテープで留められるよう、小さくて軽めのものにするのがおすすめだそうです。
靴がたくさん並ぶ玄関に「はっか油」を。
来客時はたくさんの靴が並ぶことになる玄関。河井さんが消臭対策におすすめだというのが、はっか油です。
河井さん:
「前田京子さんの『はっか油の愉しみ』(マガジンハウス)という本を見て、私も取り入れました。
はっか油とは、和種のはっか(ミント)の茎や葉から採られた精油のこと。薬局に行けば、20㎖の瓶が700円くらいで買えます。
このはっか油に含まれるメントールに、消臭や抗菌など、さまざまな効果があるのだそうです。
うつわに粗塩を少し盛って、その上にはっか油を10滴ほど垂らして。玄関に置いておけば、消臭・抗菌効果だけでなく、さわやかな香りでゲストをお出迎えできますよ」
作り置きしたいハーブシロップ。
ゲストが到着したら、いつもとちょっと違うハーブドリンクでお出迎えするのはいかがでしょう?
河井さんがよく出していて好評なのが、手づくりのミントシロップを使ったドリンク。
河井さん:
「ミントシロップは冷蔵庫で2ヶ月間保存可能なので、時間がある時に作っておくようにしています。
用意するのはミントの葉100gと水300cc、砂糖250g。ミントの葉の1/3量は刻んでおきます。
鍋に水と砂糖、刻んでいないミントを入れて弱火で10分間煮込みます。そこに刻んだミントを入れ、火を止めたら蓋をして10分蒸らす。ザルで漉して瓶に詰め、完全に冷めたら蓋をして完成です!
ドリンクにする際は、大さじ1のミントシロップを好みの量の炭酸水や水で割り、フレッシュミントを添えてください」
さわやかな香りと味は、ウェルカムドリンクにぴったり! ゲストが喉を潤している間に料理を運んだり、ホストも準備の余裕ができますね。
「私のグラス、どれだっけ?」がないように。
「あるある」なのが、たくさんのグラスが並ぶ中、自分の使っていたものがどれか分からなくなってしまうこと。
河井さん:
「そうならないよう、グラスの底に違う種類のマスキングテープを貼っておきます。ゲストに好きな柄や色を選んでもらうのも盛り上がりますよ」
トイレの場所がひとめで分かるために。
ホームパーティーの間、何度も聞かれるのがトイレの場所。その都度教えるのも大変だし、間違ったドアを開けられて、プライベートスペースを見られてしまうのも避けたいところ……。
そこで、トイレのドアにも目印を。小さな葉っぱをマスキングテープで留めておくのが河井さん流です。
▲今回貼ったのは、ドライの葉。
消臭&リラックス。
トイレにアロマキャンドルを。
トイレは、意外とゲストの記憶に残る場所ですよね。清潔にしておくのはもちろん、プラスアルファの演出をすれば、印象もグッと良くなりそうです。
河井さん:
「プレゼントなどでアロマキャンドルをいただくことがあるんですが、普段はなかなか使う機会がないんですよね。だから、お客様が来る日は、トイレに置いて焚いておきます」
消臭効果にもなるうえに、ゲストも香りにリラックス。一石二鳥のアイデアですね。
洗面所の手ふきタオルは、多めに用意。
▲ミニタオルは10枚セットなどで比較的安く売っています。
たくさんの人が使う洗面所の手ふきタオル。途中から、びしょびしょに濡れてしまって……なんてこともありがちです。
河井さん:
「ホームパーティーの時は、ミニタオルをたくさん用意しておいて、ゲストがその都度新しいものを使えるようにすると喜ばれますよね。
容器は小さめのかごや、なければカフェオレボウルなどのうつわでも。使い終わったタオルを入れる容器も横に添えておきます」
余った料理は、ステキなおみやげ風に。
▲割り箸にそえたのは、ローズマリーを輪っかにしてひもで結んだもの。
つい作りすぎて余ってしまった料理たち。
ゲストに持ち帰ってもらいたいけれど、せっかくなら 「余り物」 ではなく 「手土産」 にしたいですよね。
河井さんが使っているのは、モールド容器という紙製の容器です。業務用パッケージの専門店のほか、インターネットなどでも購入できます。ラップやアルミホイルとはひと味違って、見た目も素敵。
ピクルスや汁物などは、普段から取っておいている空き瓶に入れて。これなら汁もれの心配もないうえ、かわいいので、もらった方が嬉しくなりそう。
▲ジャムなど使い終えた瓶は、きれいに洗って取ってあるそう。
家に入った瞬間から帰り際まで、ゲストに居心地よくすごしてもらう。そのための細やかな心遣いについて、河井さんに伺いました。
もちろん、準備に無理のしすぎは禁物。けれども、トイレや玄関などにほんのひと工夫しておくだけで、ゲストに後々まで「ステキなおもてなしだったな」と思い出してもらえそうです。
最終回の次回は、忙しい時でも、スマートに、そして楽しみながらおもてなしができるような、効率のよい段取りについて教えてもらいます。
(つづく)
【写真】岩田貴樹
河井美歩(料理家)
徳島生まれ。大学卒業後は大手料理教室で10年間勤務の後、2009年から茨城県つくば市と東京・神楽坂で、季節の素材を大切にした野菜が主役の料理教室 Cocochi を主宰。「レシピ検索では見つけられないような料理」、そして「ヘルシーで身体に優しいけれど、家族も喜ぶような料理」を基本としたレシピを日々考案している。著書に 『バター・卵なし! しっとり、もちもち! はじめてのおいしいフォカッチャ』(主婦の友社)がある。
▽河井さんの著書はこちら。
▽記事に登場した前田京子さんの著書はこちら。
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