【わたしのホーム】前編:明るいお母さんになりたくて。家のなかが “現場” になる日

商品プランナー 斉木

「ホーム」という言葉を聞いたとき、あなたは何を思い浮かべますか? 一番はやっぱり、家でしょうか。生まれ育った故郷を思い浮かべた方もいるかもしれません。

でも、長い人生、時には家の扉を開けるのが苦しい日もあります。

そんなとき、偶然出逢った場所で、かたくこわばった心がほどけていった。わたしはわたしでいいんだ、と思えた。もしそんな気持ちになれたとしたら、たとえそこが家じゃなくても、わたしはその場所を「ホーム」と呼びたいと思います。

いまはまだ見つかっていないとしても、それぞれのこころに「ホーム」がきっとある。それを見つけるお手伝いができたなら、と企画した今回の特集。まずは、気になるあの人の「ホームとの出逢い」を聞いてみることにしました。

 

あなたのホームは、どこですか?

今回お話を伺ったのは、当店の読みもの「あのひとの子育て」にもご登場いただいている、中村暁野(なかむら あきの)さん。

2015年に創刊した「家族と一年誌『家族』」では、自身が編集長、夫の俵太(ひょうた)さんがクリエイティブディレクター、当時5歳だった娘の花種(かたね)さんが編集補佐を務めています。とある家族に1年間密着し、1冊の雑誌を作る、という手法が大きな話題を呼びました。

そんな中村家は、今年大きな変化を迎えました。娘の小学校入学を機に、神奈川県と山梨県の山間にある町へ移住を決断したのです。

住み慣れた東京を離れ、新生活をスタートさせたばかりの中村さんにとって、「ホーム」ってどんな場所なんだろう。そんな疑問を胸に、新居へお邪魔してきました。

 

母になる喜び、大きすぎた家族への期待

「わたし、子どもを産んでから、どんどん自分が好きじゃなくなってるんです」。インタビューは、中村さんのそんな言葉から始まりました。

いまからおよそ7年前。ミュージシャンとしての活動に悩みを抱えていた中村さんは、長女の妊娠がわかったとき、ほっとした部分があったといいます。

中村さん:
「子どもができたことで、もう自分のことばかり考えなくていいんだ、と思って嬉しかったというか。自分の夢ばかり追ってきたのに自己実現しきれないことが苦しくなってきていた時だったので、自分じゃない誰かを最優先できる『お母さん』になれることにどこか安心したんです。

同時に新しく生まれる『家族』というかたちにも、すごく期待していました。自分の力でイチから作ることのできる関係だし、そのなかで母親って絶対に必要とされる存在じゃないですか。

でも、実際にお母さんになって、家族との暮らしが始まったら、思うようにはいかなかったんです。夫とはなかなかわかりあえないし、子育ては育児書や雑誌に書いてあるようにはいかず、そんなひとつひとつに疲弊してイライラしている自分も描いていた『お母さん』からは程遠く、自己嫌悪におちいるようなりました」

 

家を出ても、誰かに話しても、晴れないこころ

自分はこの家族に認められていない。家族の誰もそんなことは思っていないのに、自分で自分を否定してしまうからこそ、ちいさな出来事や言い合いに過剰に反応して、時には家を飛び出すこともあったといいます。

中村さん:
「夫と喧嘩をして、雨のなか携帯電話も財布も持たずウロウロしたこともあります。でもそうやって逃げても、“現場” に戻れば状況は何も変わっていないこともわかっていて。扉を開けるのに、すごく勇気が必要でした」

日々溜まっていく小さなストレスを、友達に聞いてもらうことも何度となくあったそうです。

中村さん:
「わーっと愚痴を言って、友達に『頑張ってるよ』『悪くないよ』って言ってもらうと、その瞬間は救われるんですけど、家に帰るとまた辛くなる。

こころのどこかに『わたしの頑張りが足りない』という、自分を責めるような気持ちがあって、それは周りにどれだけ優しい言葉をかけてもらっても消せないんです。一時しのぎになるだけで」

“現場” の問題は、“現場” でわたしが解決しなくちゃ、とわかってはいても、自信もなければ、その方法もわからない。長女を産んでから6年間、中村さんは悩み続けてきたといいます。

でも、その生活に変化をもたらしてくれたのも、娘である花種さんの存在でした。引っ込み思案な彼女が、もっとのびのびと暮らせる環境を求め、小学校入学のタイミングで移住することを決めたのです。

 

「明るいお母さん」になりたくて

「お母さんが明るいと、家庭も明るくなる」。

よく耳にするこんな言葉も、東京にいた頃の中村さんを苦しめていました。暗くなりたくてなっているわけじゃないのに……そう思って、よりこころを閉ざしてしまったといいます。

でもそれは、誰よりも彼女本人が「明るいお母さん」にならなきゃ、というプレッシャーを自分自身にかけていたからなのかもしれません。

そんな東京にいた頃を振り返り、いまは「自分は自分でいいんだ」と思えるようになってきたと話す中村さん。

続く後編では、そう思うきっかけになった「ホーム」との出逢いや、その後生まれたこころの変化を伺います。

(つづく)

【写真】馬場わかな

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中村暁野さんインタビュー文字起こし

中村暁野さん

家族と一年誌『家族』編集長。Popoyansのnon名義で音楽活動も行う。長女・花種さん、長男・樹根くんと4人暮らし。現在は『家族』2号の取材を進めている。2017年3月に一家で神奈川県と山梨県の山間の町へ移住した。http://kazoku-magazine.com


 

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