【フィットする暮らし】 第2話:「うまく使えるか」が一番大事。ワタナベマキさんのキッチンを拝見。

シリーズ「フィットする暮らしのつくり方」は、自分らしく心地いい暮らしをつくっている方を取材し、暮らしのヒントをお届けする読みものです。
vol.15となる今回は、第1話に引き続き、料理家のワタナベマキさんのお宅に伺っています。

長い時間をともに過ごす自宅用にと選ばれたものにこそ、その人らしさはきっと宿っているはず。ワタナベさんのお宅は、どこをみてもぬくもりがありつつ洗練された雰囲気の家具や小物で彩られています。
その中でもやっぱり気になってしまうのが、ワタナベさんが毎日使うキッチン。仕事はもちろんお母さんとして、日々料理と向き合うワタナベさんは一体どのようなキッチン道具や食器に囲まれているのでしょうか。
今回はそうしたもの選びの視点を通し、ワタナベさんらしさを探りたいと思います。
リビングやダイニングも、まるでキッチンの一部。

ワタナベマキさんの家のダイニングは、キッチンカウンターを超えて冷蔵庫や自家製の梅干し、シロップなどの瓶が置かれています。
そしてダイニングで一番存在感を放っているのが、腰の高さほどの棚。その棚を開けて見せていただくと、なんとずらりと食器がおさまっていました。

どこまでがキッチン、なんていう垣根がなく、まるでリビングダイニングもキッチンの一部のようなレイアウト。
そこからは、料理家であるワタナベさんの横顔が垣間見えるように思いました。
重要なのは「うまく使える」かどうか。

ワタナベさん:
「10代の頃も、母の誕生日に贈るのはいつも器でした。それくらい器が好き。センスは母から影響を受けているかもしれないですね。でも、母は大切な器はお客様がきた時にしか使わない人。それとは逆に、わたしはどんどん使ってしまいます。
ものを選ぶ時に気にするポイントは『使いやすい』かどうか。なのでシンプルなものが好きですね」

ワタナベさん:
「さらに『うまく使えるか』も重要。
一見『使いやすい』と感じさせるものでも、『自分に合うか』『うまく使えるか』は別のように思います。
特に料理で使う物は、実際に使ってみないと自分に馴染むかどうかはわからない。人によって使いやすさはぜんぜん違う。なのでわたしもまだまだしっくりきていないなぁ、と思うものもあります。
持ってみて自分に合うか見極めて、少しずつお気に入りを揃えていっています」
長い年月をかけてじっくり選び抜かれた食器や道具たち。そのなかから愛用中のアイテムを3つ、ご紹介いただきました。
だから長く使いたい
ワタナベマキさんのお気に入りアイテム

あらゆるシーンで使える、白い器。
▲左奥:「サタルニア」は当店でも取り扱っています。
ワタナベさん:
「スープ皿が好きで、いろいろ揃えています。適度な深さがあるので、汁物にもご飯物にもさまざまに使えて便利なんです。
そして白いシンプルなお皿は、取り分け用としてもぴったり。購入しやすいプロダクト物であれば値段もそこまでしませんし、何枚も揃えておけばお客さまが来た時も対応できます。
『サタルニア(写真左奥)』はオーバルの形がお気に入り。オーバルはどんな料理を盛っても見栄えよく見えるんです」

ワタナベさん:
「その他はアラビアのものや台湾の『大同(だいどう)』というところの物も。『大同』は台湾だと数百円で売っているんです。旅行に行った際についでに購入しています。
真っ白ではなく微妙に象牙色なのも料理にぬくもりが出て、気に入っているポイントです」

力を入れなくてもストンと切れる、毎日の相棒。

ワタナベさん:
「毎日使う包丁は亀有にお店を構えている『吉實(よしさね)』のものを使っています。何年も前にたまたま実演販売で出会い、職人肌の店員さんにすすめられて購入しました。それ以来使い心地が気に入り、牛刀や三徳包丁など種類違いで5本ほど揃えて愛用しています。
すごく重いのですが、おかげで力を入れなくてもストンと切ることができるんです。そして鋼(はがね)でできているので、よく切れるし、切れ味も長持ちします。
でもその分しっかり拭いておかないと錆びてしまうんです。鋼に比べると切れ味は劣りますが、はじめての方はステンレスの物を買い、まずは拭く習慣を身に付けるのもおすすめですよ」

じんわり、いい色。うっとり飴色のお鍋。

ワタナベさん:
「長年愛用している銅の鍋はフランスで購入したもの(写真左)と京都のウェストサイド33というところで購入したもの(写真右)です。
銅は熱伝導率が良いので焼きムラなどが起こりにくく、ジャムなどにも最適。深さのあるものは主にスープを作るのに使っています。ウェストサイド33で購入したものはオーバルの形なので、魚料理にぴったり。魚を蒸すと、身がふっくらと仕上がってとてもおいしいんです。
あまりお手入れもしていないのですが、いい色艶が出てきました」
自分に合ったものを、味わい深めて長く使う。
▲棚とテーブルは「monokraft(モノクラフト)」のもの。
ワタナベさん:
「時間とともに、味わいが深まり変化していくものが好きです。なので天然素材のものが多くなりました。
リビングにおいている棚は、知り合いに作ってもらったんです。当時使っていた無印良品の棚がわたしの体のスケールに合っていたので、同じ高さにしてもらいました。
素材はウォールナット。手前に置いたローテーブルと同じ素材なので、元は同じ色でした。でも陽に焼けていつの間にか明るい色に変化していったんです」

20代の頃は、買いものでたくさん失敗もしたというワタナベさん。時間をかけて本当に自分に合うもの、そして好きなのはどういうものなのかを見極めていったそうです。
多少遠回りしてでも自ら体験し納得してたどり着いたものこそ、背伸びせず、自然体で付き合っていけるものなのかもしれません。
つづく第3話では、ワタナベさんの仕事と暮らしを作り出す「こだわり」について聞きました。いつもふわり朗らかなワタナベさんですが、仕事やレシピの数々には、ひとつの芯が宿っているように思います。
ワタナベさんが譲れないものとは果たして何なのか、お話を伺いました。
(つづく)
【写真】木村文平
もくじ


ワタナベマキ
料理家。雑誌、広告などで旬の食材を使用した季節感ある料理を提案している。祖母から受け継いだ保存食を元に、今の時代にも作りやすさとやさしい味付けで何度も作りたくなる味が人気。
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