【いまの私の「フィット」】第1話:自分を変えなくても、心地よく暮らせる工夫を探す(バイヤー・加藤)

編集スタッフ 奥村

10年間、変わらず大事にしてきたこと。

今年、開店10周年を迎えた「北欧、暮らしの道具店」。10年前に代表青木と店長佐藤が立ち上げたお店は、スタッフが38名になりました。

お店を営みながら私たちが大切にしてきたのは、「フィットする暮らし、つくろう」のメッセージ。

自分にとっての心地よさを、自分のものさしで選択して暮らしを楽しむきっかけを提案したい。お店が変化していっても、その思いは変わりません。

 

そもそも「フィットする暮らし」って?

けれどいま改めて考えてみたいのは、「フィットする暮らし」ってなんだろう?ということ。

暮らしに対する価値観は人それぞれに違うもの。だから心地よい暮らしにも、きっといろいろな形があるはずです。

そこで今回の特集では、クラシコムに長く勤めているスタッフ4人の自宅を取材。それぞれが実践する等身大の「フィットする暮らし」の一部をご紹介します。

 


引越しをきっかけに
見つめ直した家事の悩み


バイヤー 加藤(31歳・入社5年目)

はじめにご紹介するのは、入社5年目のバイヤー・加藤の暮らしです。

昨年、夫の仕事の都合で東京から京都に移住した加藤。現在は2LDKの戸建に夫婦2人で暮らしています。

環境の変化を経て、スタッフ加藤が今の暮らしを心地よくするために意識している4つのポイントを聞きました。

 

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水切りカゴを手放したら、
手間は増えても気持ちがラクに

バイヤー加藤:
「引越し前から小さなストレスになっていたのが、水切りカゴの衛生面。水切りの受け皿に水垢や汚れが溜まりやすくて、お手入れが追いつかずにモヤモヤしていたんです。

そこでこの間、思い切って処分することに。代わりに水切りマットを敷きました。

水切りカゴよりお皿を置ける容量が限られるから、前のように洗ってそのまま自然乾燥というわけにはいかなくなって。今は洗い終わったものから順に拭いて、食器棚にしまっています。

最初は手間が増えるのが気になったけど、習慣になってしまえば案外面倒な作業じゃないと気づきました。

何より衛生的な気がかりがなくなったから、気持ちはずっとラクになったんです」

 

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忙しい日の「あと一品」に、ぬか漬けを

バイヤー加藤:
「今年に入って始めたのが、ぬか漬け作り。行きつけの漬物屋さんで『ぬか漬けキット』を見つけて、試しに買ってみたんです。

このぬか床は冷蔵庫で保管できて、3日に1度かき混ぜるだけで大丈夫。出張で家を空ける機会が多くても、負担なく続けられています。

自家製のぬか漬けは、市販品よりも塩味が控えめだから常備菜のように活用できて、『あと一品ほしい!』という時にも便利なんです。

時間のない朝には冷やご飯を温めて、ぬか漬けとザーサイ、おろし生姜をのせて即席お茶漬けを作ることも。手早く作れて栄養もしっかりとれるから、うちの定番朝ごはんになりました」

 

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思い切った買い物で、
苦手だった家事が楽しく

バイヤー加藤:
「家事の中で特に苦手に感じていたのが、洗濯です。

中古で購入した洗濯機をずっと使っていたからか、洗うたびに衣服が傷んでいる気がしてモヤモヤしていました。

雨の日の室内干しも苦手の理由。生乾き臭が残るから、洗濯へのモチベーションが下がってしまって。

だから引越しのとき、洗濯機だけは性能が良いものを新調する!と思い切ってドラム式洗濯乾燥機に変えました。

もう、仕上がりが格段に良くなって。特にタオルは乾燥機にかけるたびふわふわの手触りになるんです。おかげで洗濯をするのが楽しみになったほど。

悩みがこんなに一掃されるなら、思い切って奮発して良かったなと思います」

 

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収納棚は、DIYで「ぴったり」を実現

バイヤー加藤:
「今の家はリノベーションを経て住み始めたのですが、いちばん意識したのは収納問題です。

自分にとってのちょうど良い収納システムって、実際に暮らしてみないとわからないもの。だから新居のプランニングの時、家のあちこちに収納用のスペースはとりつつも、あえて収納棚は置かなかったんです。

おかげで暮らし始めて半年以上は、収納棚がないすごく不便な状態だったのですが(笑)。

最近になってわかってきた『ここにこんな風にこれを収納したい』という具体的な希望を、夫に頼んでDIYで実現してもらっています。

例えばクローゼットの収納システム。私は洋服をたたむのが苦手なので、思い切って全部ハンガーで『掛ける収納』にしてしまおうと、クローゼットに長めのハンガーポールを買って設置しました。ふだん着る服は、すべてここに掛けられるから楽ちんです。

そのほかにも納戸スペースには、しまいたい扇風機やスーツケースのサイズにぴったり合う高さの棚板を設置するなど、少しずつ収納システムが増えてきたこの頃。

時間と手間はかかるけど、低コストで自分にぴったりの収納が叶うから、DIYもひとつの選択肢としてアリかもしれません」

 

憧れの対面キッチンには、新たな悩みも。

引越しとリノベーションを機に、暮らしの中に新しい心地よさを見つけつつあるバイヤー加藤。けれど、新しい悩みも出てきたといいます。

バイヤー加藤:
「新居のキッチンは、憧れだった対面式タイプ。開放的な雰囲気が気に入りつつも、収納場所が意外と少なく、それが今の悩みです」

壁に面していた以前のキッチンでは、吊り戸棚や、S字フックを壁に掛けてキッチンツールを吊り下げる十分なスペースがあったそう。

けれど対面式では、壁がないので収納スペースを作りづらい状況に。現在はコンロ横のツール立てに、すべての道具を収納しているのだとか。

ひとつの理想が叶ったら、新たに生まれる課題。すっきり心地よい空間をめざしての試行錯誤はまだまだ続きそうです。

 

今の「フィットする暮らし」とは?

昔から面倒くさがりで、家事も苦手。丁寧な暮らしは、自分には程遠いものだと感じていたという加藤。

バイヤー加藤:
「今もズボラな性格は変わらないから、家事に対して後ろ向きなことも多いんです。

でも最近は、『面倒くさがりな私でも、心地よく過ごすための工夫』を考えるのは面白いなって思えるようになった気がします。

だから今、『フィットする暮らし』とは、自分のリズムで続けられる日々のことだと思っています。

例えばゴミ出しを忘れたときにも、パントリーにいったん置いておけるスペースがあれば落ち込みすぎないし、扉つきで中が見えないチェストなら、中身は『ざっくり収納』で良しとした方が気楽です。

それから、服をたたまずに収納できる、長めのハンガーポールを設置したこともその一つ。どれも無理せず暮らせるような、私らしいアイデアだなと思うんです」

自分を無理に変えるより、変わらない自分でも心地よくいられる工夫を模索したい。

新しい環境の中でスタートした暮らしには、これからもそんな加藤目線のアイデアが一つずつ活かされていくのでしょう。

(つづく)

 


もくじ

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