【私たちのものづくり】後編:自分が本当に欲しいものは何?現場で奮闘するスタッフに聞きました
編集スタッフ 松浦
クラシコムのオリジナルブランドとして誕生した「KURASHI&Trips PUBLISHING」も、この夏で3年目を迎えます。
ジャムから始まったオリジナル商品は、雑貨や服、リトルプレス、そして短編ドラマと、時間とともにさまざまなカタチへと変化していきました。
でもそこにあるのは、「日常(KURASHI)のなかに、ひとさじの非日常(Trips)を」という想い。
この特集では、あらためて私たちのものづくりについてお話できればと思います。なぜここまで「非日常」にこだわるのか? そして、なぜカタチを変えて作り続けるのか。
前編では、店長佐藤の家を訪ね、KURASHI&Trips PUBLISHINGのきっかけとなった「非日常」という言葉について聞きました。後編では、店長佐藤に加え、実際に現場で商品開発にかかわる、バイヤーの佐藤と加藤、デザイナーの佐藤と鈴木を中心に話を聞きます。(偶然、クラシコムの「佐藤」が勢ぞろいしました。笑)
▲今月発売予定の新作ワンピースのサンプルを囲み話し合う、バイヤー佐藤(左)と店長佐藤(右)
まずは、先日発売したばかりの「コットンリネンタオル」を例に、オリジナル商品が生まれるまでの流れをご紹介します。編集スタッフの私もあまり知ることがない、商品づくりの裏側です。
「開発のきっかけは私たちが暮らしで感じるモヤモヤ」と、前編で話していた店長佐藤。どんなことに悩んで、何がそうさせているのか? バイヤーとデザイナーで意見を出し合い、細かく要素を分解しながら、企画を練っていきます。中には、一年以上構想していたものもあるとか。
企画が固まると次はサンプルづくり。素材や色、ロゴのデザインなど、様々なパターンをつくります。
タグに入れる言葉選びも大事な要素の一つです。今回のオリジナルタオルは、独特の風合いをデザインでも感じてもらえるよう、手書きの「コットンリネン」に決定。ロゴのパターンができると、紙に印刷し、位置やバランスを調整していきます。
メーカーからサンプルが届いたら、実際にスタッフの家で使ってみます。そこでの気づきを共有していく中で、「ここはもっとこうだったらな」と新たな意見がでてくることも。逆に「これは違う」とNGも見えてくるので、よりブラッシュアップされていきます。
バイヤー佐藤:
「拭いて、洗って、乾かして。しっかり水を吸ってくれるのか? 何度も洗濯したとき、風合いはどう変わるのか? 実際にいつもの自分の暮らしの中で使うことで、新たな気づきがあります」
素材や色については、バイヤーとデザイナーが工場を訪ね、直接相談することもあります。
デザイナー佐藤:
「もっとこんな風合いがいいなって、なかなか伝わりにくい。細かなニュアンスは、商品を手に取りながら、直接相談した方がスムーズなこともあります。この人たちが、こうやって作っているんだと、知れることも嬉しいですね」
オリジナル商品では、お届けするパッケージも様々なパターンを作ります。箱に入れるのか、透け感のある封筒にいれるのか? 手触りはどんなものがいいんだろう、ギフトだとしたら何が嬉しい? そんなことを考えながら、デザイナーが練りに練って作っています。
店長佐藤:
「買い物した商品が届く瞬間って、いくつになってもワクワクするもの。この一瞬の気持ちを大事にしたいと思っています。だからオリジナル商品はパッケージも命。すてきな装丁の本に惹かれるように、それを束ねたり、包んだりするものも中身と同じくらい大切だと思っています」
デザイナー鈴木:
「インスタグラムなどで、お客さまがパッケージと一緒に写真を撮っているのを見つけると、本当に嬉しい。小さくガッツポーズをしてしまいます(笑)」
決め手は、自分が本当に欲しいかどうか?
バイヤーやデザイナーに、オリジナル商品を作る上で一番大切にしていることを聞くと、みんな口を揃えて、「自分が本当に欲しいと思えるか」と答えます。
こんな人は、きっとこういうのが欲しいよね?ではなく、私が欲しいものはなんだろう?からものづくりをする。それは自由なようにみえて、時に厳しいものでもありました。
バイヤー佐藤:
「店長からは、『あなたはどう思う?』と、よく言われます。大切なのは、自分が欲しいと思ったきっかけ。肝心な動機の部分です。
頭では理解してるつもりでも、実際制作が始まると『ここはこだわったところだから、残したい』と、使い手よりも作り手の目線になってしまうことがあります。使いたいと思っている自分は、作っている自分でもあるから、そのさじ加減が難しいです」
「そんな時考えるのは、私みたいなお客さまは何が欲しいのかということ。
どんな問題に寄り添ったアイテムだったのか?どんなデザインでどれくらいの価格だったら買いたいと思うのか…… まずは自分が欲しいと思えるか?と自分に何度も問いながらつくっています」
スタッフに得てほしいのも「非日常」?
店長佐藤:
「オリジナル商品のきっかけは、すべて私たちのモヤモヤや好奇心。だとしたら、本当に心の底から欲しい!と思うものを作って欲しいんです。
だからスタッフからきた企画は、できるだけ通したいとは思っています。ただ、スタッフが使う人の目線を忘れてしまっている時や、どんなにやりたいものでも、喜ばれる企画に落とし込めてない時は、ラストサンプルまでいってもボツにするシビアな場面もあります」
▲京都でリモートワークするバイヤー加藤とテレビ電話会議
「誰かにこうやれって言われるよりも、熱量をもって取り組んだ自分の企画が紆余曲折を経て、しっかりお客さまに届いた時は、きっとスタッフにとっても『非日常』なはずなんです。
それは、自分の意思で進めることで得られる『気づき』だったり、自分を信じる『勇気』だったりします。
お客さまに『非日常』を届けるKURASHI&Trips PUBLISHINGは、作り手であるスタッフにもできるだけ『非日常』を実感できるものであって欲しいんです。
一緒に働くスタッフだって、お客さまと同じ、それぞれ暮らしを頑張る仲間ですから」
前を向いて頑張る人たちと、これからも
日々の暮らしは、きっといいことばかりじゃない。ただ、そんな中でも「もっといい暮らしってなんだろう」と考え、前を向いて頑張る人たちがいる。私たちはそんな人たちに、「非日常」をお届けしたい。
心がふっと軽くなったり、ちょっと自信がでたり…… そんな、ひとさじの非日常がくれる小さな変化が、やがてそれぞれの暮らしの大きな変化につながるはずと信じて。
KURASHI&Trips PUBLISHINGはこれからも、そんなみなさんと、そんな私たちのために、本当に欲しいものづくりを続けていきます。
(おわり)
【写真】鍵岡龍門
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