【ポタージュ好きなもので。】第3話:甘くとろけるとっておき。サワーチェリーのポタージュ
ライター 片田理恵
初体験!甘酸っぱいピンクのポタージュ
フード&デザインユニット・オカズデザインと一緒に、ポタージュスープの魅力を探っていく全3話の特集です。第1話ではポタージュにあわせるスプーンやパンについて伺い、第2話からはいよいよ、オカズデザインのおふたりに習ったレシピをご紹介。
この3話では、生まれて初めてこの味と出会う方も多いかもしれない、あたたかいチェリーのポタージュをお届けします。 鮮やかで美しいピンク色と、その新鮮なおいしさに驚いてください。
果実たっぷり、夢見る味
グリオットチェリーのポタージュ
材料(3~4人前)
シロップ漬けのグリオットチェリー…200g
砂糖…30〜50g
シナモン…1本
カルダモン、クローブ…各3粒
八角…1粒
生クリーム…100g
コーンスターチ…小さじ1
サワークリーム…90g
※グリオットチェリーはざるに上げて水気をきっておく、シロップも300mlとっておく
(1)チェリーとスパイスを煮る
鍋にグリオットチェリー、シロップ、水1カップ(分量外)、砂糖、スパイス類を入れて中火にかけます。沸騰したら弱火にし、10分ほど煮ます。
知子さん:
「ポタージュ作りに使う鍋は、ル・クルーゼやストウブなど、ゆっくり火が入る厚手のものがおすすめです」
(2)クリームを混ぜる
ボウルに生クリームとコーンスターチを入れてホイッパーで混ぜます。サワークリームを入れてさらに混ぜあわせ、1の鍋のスープを少量入れてなめらかに。
(3)味をととのえる
2を1に入れてよく混ぜます。味見をして、足りなければ砂糖を加えて味をととのえて。
(4)器を選び、スープをよそう
スパイスを取り除いて器に盛りつければ出来上がり。冷やす場合は常温に戻してから冷蔵庫に入れます。
知子さん:
「伝統的なハンガリー料理、チェリーのポタージュです。甘くてクリーミーなおいしさで、大人から子どもまで喜ばれる味。ハンガリーでは生のチェリーで作るため、初夏の代表的な料理として冷たく冷やして食べますが、日本では缶やビン詰めで作るので季節は問いません。寒い季節は温めてもおいしいですよ」
軽くトーストしたカレンズ&クルミ入りパンとともに食卓へ。クラシカルなパープルの色合いが素敵なスープボウルは吉村和美さん、素朴でシンプル、まっすぐな存在感を持つスプーンは山口和宏さんによるもの。グリオットチェリーのポタージュの食卓、完成です。
知子さん:
「ポタージュがピンク色なので、器とスプーンも個性のあるものを選びました。ピンクとパープルという女性らしい華やかな組み合わせを楽しんでいただきたいですね。また果物を使った料理同士、カレンズ入りパンとは見た目も味もぴったりだと思います」
肉料理とポタージュのおいしい関係
いよいよ試食。初めて出会うポタージュに胸を踊らせつつ、さっそく一口。クリーミーで奥行きのある上品な甘さが口いっぱいに広がります。大粒のチェリーを一緒にすくって食べると、果実の甘酸っぱさと相まって、こちらも美味。スパイスの香りがほどよいエッセンスになって、豊かな広がりをもたらしています。意外とお酒にも合いそう。
知子さん:
「ハンガリーではコース料理の中によく取り入れられていて、ワインと一緒に楽しむことも多いんですよ。果物は肉料理と相性がいいので、メインの前にこのポタージュを食べることで、よりお肉をおいしく味わえるといわれます。
グリオットチェリーのシロップ漬けは通販で購入するのが手軽でおすすめ。材料さえ手に入れば作り方は簡単ですし、ぜひ肉料理とのマッチングをご自宅で試してみてほしいですね」
ポタージュに正解はない、だから楽しい
オカズデザインとともに考えるポタージュ特集、いかがでしたか? その日の気分でスプーンやボウル、パンとのコーディネートを変えてみるという新しい視点は、私たちにポタージュのさらなる魅力を教えてくれたような気がします。
そしてそのうえで大事なことは、野菜につけ器につけ、そのどれを選んでも、どれと組み合わせてもOKということ。ポタージュの楽しみ方に正解はありません。自信を持って、遊び心を持って、ポタージュを食べ、作ってみてはいかがでしょうか。
自分の「好き」をたっぷり詰め込んだ、その人だけのポタージュストーリーが、この冬もたくさん生まれますように。そしてそれがおいしく、心地よく、心と体をあたためてくれますように。
(おわり)
【写真】原田教正
もくじ
オカズデザイン(吉岡秀治・知子)
「時間がおいしくしてくれるもの」をテーマに活動する、料理とデザインのチーム。器と料理の店・カモシカを不定期でオープンし、さまざまな作家の器の展示、季節の保存食の販売をはじめ、食にまつわる企画を開催している。『二菜弁当』(成美堂出版)など著書多数。NHK朝の連続テレビ小説『半分、青い。』では、料理指導を担当。
ライター 片田理恵
編集者、ライター。大学卒業後、出版社勤務と出産と移住を経てフリー。執筆媒体は「nice things」「ナチュママ」「リンネル」「はるまち」「DOTPLACE」「あてら」など。クラシコムではリトルプレス「オトナのおしゃべりノオト」も担当。
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